どうしておしっこが痛いのか?それは、尿道や膀胱で炎症が起こっている場合が非常に多いんです。
女性は男性よりも細菌が入りやすく、痛みを我慢していると悪化して腎臓が悪くなり、多臓器不全・敗血症など全身に広がっていく可能性もあります。早期発見・早期治療のために受診が必要です。
おしっこで痛みを感じる方は危険信号!
なぜ、おしっこが痛いだけで早期受診が必要になるのかを、神楽岡泌尿器科院長の渋谷がおしっこが痛い理由をタイミングごとに解説します。
【女性編】おしっこの最初の方が痛い場合の原因
おしっこをしようと思った最初から痛みを感じる場合、女性だと特に尿道炎により強い痛みを生じていると考えられます。
尿道炎の症状には排尿時痛だけでなく、高熱が出る・尿がピンク~赤色になる、トイレに行っても尿が残っている感じがする・尿が出にくくなったりトイレに行く回数が増えたりする・尿漏れするようになるなど、感染した病原体によって症状が異なります。
尿道炎以外にも、性器ヘルペス、クラミジア尿道炎、淋菌性尿道炎などの性感染症の可能性もあります。水ぶくれ・おしっこに浮遊物がある・性交時に痛み・発熱・のどの痛みなど、排尿時以外にも痛みを感じる場合は、性病の可能性も疑うべきでしょう。
おしっこの正常な色・臭いがわからないという方は『先生教えて!私のおしっこの色は異常?尿で健康を見極める術』や『ドクターがあなたのおしっこが臭い原因を教えます!そもそも嗅ぐ必要ない?』も参考にしてみてください。
【女性編】おしっこの最後の方が痛い場合
おしっこをした後や終わりかけの時に痛みを感じる場合は、尿路結石や膀胱炎になっている可能性が高いです。他にも、腎盂腎炎や敗血症など、入院が必須になるような病気が隠れている場合もあります。
逆におしっこをした後に痛みが取れる方は、おしっこを我慢している時ほど痛みが強くなっていませんか?そのような症状がある方は、間質性膀胱炎という細菌に関係なく慢性的に膀胱に炎症が起きている場合も考えられます。
いつ・どういったタイミングでおしっこの痛みを感じているのかを、自身で把握するところから、おしっこの痛みの原因を解明しましょう。
【女性編】おしっこが痛くなりやすい原因
そもそも何故おしっこが痛くなるのでしょうか?おしっこが痛くなる原因は、特に女性尿道が5cm程度と短いため、構造として尿道・膀胱で細菌が入りやすい傾向があるためです。
尿道は酸性で保たれているため菌の侵入を防いでいるのですが、冷え・疲労や睡眠不足などで免疫力が下がり、酸性に保てなくなると細菌が尿道に入り炎症を引き起こす可能性が高くなりがちです。
洗浄のし過ぎで発症することもあるため、おしっこが痛くなる習慣を繰り返していると腎臓に影響を及ぼす可能性もあり、炎症を引き起こしてしまうことも考えられます。腎臓にまで炎症が広がっているとかなり重症です。
腎臓にまで炎症が広がると怖いのが腎盂腎炎。腎盂腎炎の特徴は寒気を感じるほどの高熱ですが、全身に高熱の原因となる細菌が広がり、敗血症や急激な血圧低下・多臓器不全につながる可能性も出てきてしまう点で、大変危険な状態といえます。
おしっこが痛いだけと甘く見ずに、悪化する前に早期受診を検討ください!
女性でおしっこで痛みがある方の検査
おしっこで痛みがある場合は、尿道炎・尿路結石や膀胱炎が考えられますが、放置していると悪化し、重篤な腎盂腎炎や敗血症になる可能性があります。命にかかわるような急激な血圧低下・多臓器不全になっている可能性もあるため、決して放置せず、早期受診をしてください。
おしっこが痛いといっても、基本的には「尿検査」でほとんどのことがわかります。
尿をみて異常があれば、超音波検査、血液検査、CTやレントゲンなどの追加の検査を行います。
なんでこの症状が起きたのか原因を追求するために病院にきてみてください。病院で検査しないとわからないのです。
よく病院に来る前に「何されるのか不安」と予防線をはりながらいらっしゃる人もいますが、原因を一緒に探すために医者である私たちがいます。
安心して自分の体と向き合いましょう。
まとめ
女性の場合、おしっこが痛い原因として、尿道炎や尿路結石・膀胱炎などになっている方が多いです。女性の場合、尿道が短いため男性よりも細菌が入りこんで炎症を起こしてしまうリスクが高いもの。
少しでも痛みを感じたら早めに病院に行き、正確な判断の元で早期発見・早期治療を行いましょう。
監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール
1961年(昭和36年) | 旭川生まれ |
1980年(昭和55年) | 道立旭川東高等学校 卒業 |
1988年(昭和63年) | 札幌医科大学 卒業 |
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
私は泌尿器科院長をしており、腸活によって得られる便秘解消作用と健康には深いつながりがあると考えています。
腸活と健康との関わりについての考えを『泌尿器科院長がなぜ「腸活」にこだわるのか?便と尿は健康に密接に関係している』でまとめているため、知りたい方はぜひご覧ください。
出版年数 | 著書・メディア掲載 |
2014年 5月15日 | |
2016年 5月10日 | |
2016年 10/27号 |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など