尿路結石は遺伝が関係する?生活の注意点や治療法を解説

実際、家族に尿路結石を経験した人がいる場合、自分もなる可能性があるのか不安に感じることもあるでしょう。

この記事では、尿路結石と遺伝の関係性について、神楽岡泌尿器科が最近の研究を基に詳しく紹介します。

遺伝がどの程度影響するのか、また日常生活で予防する方法についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

尿路結石は遺伝と関係が深いって本当?

尿路結石は遺伝と深い関係があるという噂がありますが、この話は事実です。

名古屋市立大学がカリフォルニア大学サンフランシスコ校と国際共同研究を行った結果、以下の3つの報告が上がっています。

  1. 尿路結石の発症原因は人間主幹の遺伝子発現のパターンに差がない
  2. 尿路結石患者の腎組織では、脂質代謝を調節する遺伝子の機能が弱くなっている
  3. 脂質代謝を調節する遺伝子の機能不全に陥ってるマウスを用意た実験で尿路結石の形成が増えた

わかりやすくまとめると、腎組織で脂質代謝を調節する遺伝子が弱まっている場合、尿路結石になりやすいことが報告の内容となっています。

そのため、親からの遺伝によって腎組織の遺伝子が弱まりやすい場合は、尿路結石になりやすい可能性があります。

親族で尿路結石を発症した場合は、生活習慣に注意を払いましょう。

参照:名古屋市立大学

尿路結石と遺伝が関係している病気

尿路結石と遺伝が関係している病気では、シスチン尿症とキサンチン結石があげられます。

シスチン尿症は遺伝性疾患で、生まれつきアミノ酸の代謝異常が起こる病気でもあり、シスチン結石ができた場合は先天的な可能性があります。

またキサンチン尿症もシスチン尿症と同様の遺伝性疾患で、プリン体の代謝異常によって結石が生まれる可能性があるため、注意しましょう。

親がカルシウム結石の場合は結石となる可能性が高い

親がカルシウム結石ができた場合、尿路結石になる可能性が高いです。

尿路結石の大部分はカルシウム結石で、家族内の生活環境が似ていて、食生活などに同じ問題を抱えている場合は、子どもも親と同様に結石が発生すると考えられています。

そのため、親がカルシウム結石になった際に、食生活が大きな原因となっている場合は注意が必要です。

遺伝によって尿路結石を招く確率はどのくらい?

尿路結石を招く確率は明確には発覚していませんが、原因不明が60%、1~2%が遺伝性、残りの約40%が疾患による原因で結石ができると考えられています。

そのため、遺伝によって尿路結石を招く可能性は、尿路結石の原因の中でも極めて低いといえます。

ただし、家族内の生活環境が似ていて、食生活などに問題を抱えている場合は、親が尿路結石になった際に結石が発生する可能性が高いです。

遺伝によって尿路結石にはなりにくいですが、環境要因で結石が発生する可能性があるため、生活習慣には気をつけましょう。

尿路結石は遺伝と合わせて生活習慣病と深いつながりを持つ

尿路結石と生活習慣病またはメタボリックシンドロームは、深いつながりを持ちます。

たとえば、生活習慣病の場合は尿酸値が高い場合が多く、血液中の尿酸濃度が高い状態にあるため、体に結石ができやすい状態となっています。

そのため、生活習慣病になっている方は、尿路結石になりやすい状態にあるといっても過言ではありません。

尿路結石は生活習慣病予備軍の方が多いとされているため、運動不足や不規則な食生活に心当たりがある場合は、見直しを行いましょう。

尿路結石の治療法

尿路結石は、結石のサイズによって治療方法が変わります。

たとえば、結石のサイズが8mm以下の場合は薬物療法や生活改善によって自然排出を促す保存療法が選択可能です。

しかし、結石のサイズが10mmを超えてしまった際は、保存療法が選択できず、手術による治療が必要になります。

手術による治療を避けたい場合は、結石が大きくなる前に早期発見を行い、生活改善や薬物療法を行いましょう。

尿路結石を患わないための生活上の注意点

尿路結石にならないために気をつけたい生活上の注意点は、4つあります。

  1. 1日2Lを目安にした水分摂取を行う
  2. 1日60分以上の有酸素運動を行う
  3. 就寝4時間前までに夕食を済ませる
  4. シュウ酸を豊富に含む食材を摂取しすぎない

それぞれの注意点について解説していきます。

1、1日2Lを目安にした水分摂取を行う

尿路結石を避けたい場合は、食事以外で1日2Lを目安に水分摂取を行いましょう。

500mlのペットボトルを4本摂取するイメージで、水分は水やお茶が好ましいです。

理想的なのは朝起きたタイミングから1時間ごとに100ccずつ摂取すると、体に負担なく摂取できます。

水分不足は血中濃度を上げてしまうため、尿路結石を避けるためにもこまめに水分を取りましょう。

2、1日60分以上の有酸素運動を行う

1日60分以上の有酸素運動を行うと、生活習慣病を防ぎやすくなるため、尿路結石になる可能性を下げられます。

1日60分以上の運動は約8,000歩以上が目安となっており、息が弾み汗を掻く程度が良いです。

外で行える場合はランニングやウォーキングがおすすめで、室内で運動したい方はエア縄跳びや階段昇降などが手軽に行えます。

生活習慣病や尿路結石を患わないために、毎日有酸素運動を行う習慣を取り入れましょう。

参照:厚生労働省

3、就寝4時間前までに夕食を済ませる

尿路結石を防ぐための生活上の注意点では、就寝4時間前までに夕食を済ませましょう。

食事を取ってから2時間~4時間は、尿中形成促進物質の濃度がピークを迎えます。

血中濃度を高めないために、なるべく食後は積極的に水分摂取を行うのが好ましいです。

しかし、就寝時に食事を取ってしまうと、消化を行う際にエネルギーが消費されるほか、水分補給が行えません。

そのため、尿路結石を防ぎたい場合は夕食後に水分補給をこまめに行い、4時間を超えたあたりから眠りにつくようにしましょう。

4、シュウ酸を豊富に含む食材を摂取しすぎない

尿路結石になりたくない場合は、ほうれん草やブロッコリー、ピーナッツなどのシュウ酸を多く含む食材は摂りすぎないようにしましょう。

食材の他にも、シュウ酸はコーヒーや紅茶にも含まれているため、水分補給として摂取しすぎるとかえって結石を生む原因に繋がる場合があります。

シュウ酸を多く含む食品を食べる際には、カルシウムを含む食事を同時に食べることで、便として排出されやすいです。

まとめ

尿路結石は、遺伝による影響は極めて低いです。

しかし、家族内で同じ乱れた食生活を送っている場合は、親と同様に結石ができる可能性があります。

そのため、尿路結石を防ぎたい場合は、規則正しい食生活や1日60分以上の有酸素運動を行うのが好ましいです。

またこまめに水分摂取を行うことで、結石ができにくい状態を作れるため、夏場だけでなく定期的に水分補給を行うようにしましょう。

神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。メール相談では、具体的にどのような方が尿路結石になっているのか、あなたに遺伝する可能性があるのかなど、詳しく相談に乗ってくれます。また尿路結石全般の相談にも乗っていますので、お気軽にご連絡ください。

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