痛風の方は尿路結石になりやすい?尿路結石の症状 や原因を解説

尿路結石と痛風は、一見異なる病気に思えますが、どちらも体内の尿酸値や代謝異常が影響して発症するケースがあり、痛風のある方は尿路結石のリスクが高まると言われています。

この記事では、痛風もちが尿路結石になる理由、合併症、そして、それらを防ぐための生活習慣のポイントについて詳しく解説します。

痛風や尿路結石に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

痛風の方は尿路結石や尿管結石になりやすいって本当?

痛風の方は、尿路結石や尿管結石になりやすいのは事実です。

痛風は、血液中の尿酸値が上昇し、関節内に尿酸塩結晶ができて起こる発作となっており、肥満や高血圧などの生活習慣病と合併するケースが少なくありません。

尿路結石と尿管結石はどちらも痛風と同じ尿酸結石ができることが原因の病気で、尿管や腎臓・膀胱にできた際に激しい痛みとなります。

尿酸値が高い状態は体の中で結石ができやすい状態となっているため、尿路結石や痛風を防ぐためにも、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足の解消を図ることが必要です。

痛風の方が尿路結石になる原因

痛風の方が尿路結石になりやすい原因は、以下の3つがあげられます。

  • 尿量の低下や水分摂取不足
  • お酒の飲み過ぎ
  • プリン体の過剰摂取

それぞれの原因について解説していくので、痛風の方はチェックしてみてください。

1、尿量の低下や水分摂取不足

痛風の方で、尿量が少ない方や水分摂取不足の方は、尿路結石を招きやすいです。

1日の尿量は体重に対して20~25mlが理想とされています。

たとえば、体重が50kgの場合は、1,000mlから1,250mlが尿量の目安です。

水分が不足して尿量や尿の頻度が低下しやすく、不純物を排泄できない状態となります。

また尿量や水分摂取が不足している場合は、腎臓機能が低下しやすいため、弱った腎臓に結石ができてしまう可能性が高いです。

尿量や水分摂取不足を防ぐために、こまめに水分摂取を行うようにしましょう。

参照:厚生労働省

2、お酒の飲み過ぎ

痛風の方を含め、生活習慣病の方はお酒の飲み過ぎを避けるようにしましょう。

なかでもビールを毎晩飲む方は注意が必要で、結石ができてしまう状態を作っている可能性があります。

お酒に含まれているアルコールは、体内で代謝される際に水分が必要となります。

そのため、水分を適度に摂取していないと、脱水状態になってしまい、尿路結石を招きやすくなります。

お酒を飲む場合は、同量以上の水や麦茶、ほうじ茶を飲むのが良いでしょう。

3、プリン体の過剰摂取

ビールをよく飲む方は、プリン体の過剰摂取に注意しましょう。

プリン体は尿中の尿酸濃度を高くする傾向があり、尿酸が結晶化して尿路結石を発症する可能性があります。

たとえばビール瓶大1本に入っているプリン体は、日本酒の1合の約15倍ほどとされています。

また、ビールを毎日1缶飲む方は、6年間で血清尿酸値が0.5~1.0mg/dl上昇すると報告されているため、注意が必要です。

痛風でビールを飲む方は、尿酸濃度を高くしている状態になるため、尿路結石ができないうちに飲む量や頻度を抑えるようにしましょう。

痛風の合併症「尿路結石」は結石のできる位置によって痛みの具合や場所が異なる

尿路結石は、結石ができる位置によって名称と痛みの強さが変わります。

  • 腰痛に鈍痛を感じる「腎結石」
  • 刺すような痛みのある「尿管結石」
  • 排尿する際に痛みを感じる「膀胱結石」
  • 瞬間的な痛みのある「尿道結石」

位置と痛みの強さについて解説しているので、尿路結石の疑いがある方は参考にしてみてください。

腰痛に鈍痛を感じる「腎結石」

腰痛に鈍い痛みを感じた経験がある方は、腎結石ができている可能性があります。

腎結石とは腎臓にできる結石で、人によって絵は痛みがでない場合もあるため、注意が必要です。

結石が尿の流れを妨げた際に腰痛に鈍痛が現れやすく、無症状の場合は検診で血尿が出て発見されるケースがあります。

腎臓機能の低下と血液中の尿酸値上昇が理由で招きやすいため、お酒を飲む機会が多い方は注意が必要です。

刺すような痛みのある「尿管結石」

側腹部から下腹部にかけて刺すような痛みがある方は、尿管結石の可能性があります。

尿管結石は尿の流れを結石がせき止めている状態になるため、強い痛みが現れやすい点が特徴です。

痛みの強さから冷や汗や吐き気を伴うケースも多く、結石ができた際にわかりやすくなっています。

尿酸値の高い尿が尿管を通る際に結晶ができて尿管結石となるため、シュウ酸やプリン体を多く含む食事は避けるようにしましょう。

排尿する際に痛みを感じる「膀胱結石」

膀胱結石は、排尿する際に痛みを感じる点が特徴です。

膀胱部分に結石ができており、頻尿や残尿感などの症状が現れる傾向があります。

血尿が出た際や、排尿時の痛みから発覚するケースが多いです。

瞬間的な痛みのある「尿道結石」

尿道結石は、排尿時に瞬間的な痛みを招きやすいです。

結石が尿道を通る際に尿をせき止めていることによって起こる傷みで、排尿困難や尿閉などの症状が現れます。

また、尿道を通る際に結石が壁を傷つけてしまい、出血して血尿になる可能性が高いです。

血尿が現れた際や排尿時に痛みが出た場合は、泌尿器科の医師に相談するようにしましょう。

痛風の方必見!尿路結石を予防する方法

痛風の方が尿路結石を予防したい場合は、次の5つを意識した生活を送りましょう。

  1. 1日600mg~800mgを目安にカルシウムを摂取する
  2. 2g~5gを目安にしてクエン酸を摂取する
  3. シュウ酸やプリン体を多く含む食品を摂りすぎない
  4. 1日60分以上の有酸素運動を行う
  5. 1日2,000ml以上の水分摂取を意識する

それぞれのポイントについて解説していきます。

1、1日600mg~800mgを目安にカルシウムを摂取する

尿路結石を防ぎたい場合は、1日600mg~800mgのカルシウムを目安に摂取しましょう。

カルシウムは、腸管内で尿路結石ができる原因の「シュウ酸」と結合し、便に排出されます。

また、結石患者の方が結石のない方たちと比べて、摂取しているカルシウム量が少ないことが報告されています。

コップ1杯200gの牛乳には約110mgのカルシウムが含まれているため、1日約3杯から4杯を目安にすると良いでしょう。

2、2g~5gを目安にしてクエン酸を摂取する

痛風の方が尿路結石を予防したい場合は、1日2g~5gを目安にしてクエン酸を摂取してください。

クエン酸は、シュウ酸とカルシウムの結合や、リン酸とカルシウムの結合を抑制してくれます。

酸性尿を是正してくれるため、尿酸結石やシスチン結石の予防に役立ちますよ。

クエン酸は果実や野菜に多く含まれますが、摂りすぎてしまうとシュウ酸の摂取量が増えるため、注意が必要です。

3、シュウ酸やプリン体を多く含む食品を摂りすぎない

シュウ酸やプリン体を多く含む食品を摂りすぎないことが、尿路結石を防ぐためには重要なポイントです。

シュウ酸は、ほうれん草やブロッコリー、キャベツなどに多く含まれています。

飲料ではココアやコーヒー、紅茶に多く含まれているため、摂りたい際には量に気をつけることが必要です。

コーヒーを飲む際には、ミルク入りにしたり、食後に飲むようにすると、カルシウムとシュウ酸が結びつきやすくなるので、尿路結石ができてしまう状態を防ぎやすいですよ。

4、1日60分以上の有酸素運動を行う

尿路結石ができる状態を防ぎたい場合は、1日60分以上の有酸素運動を日常に取り入れましょう。

1日60分以上の運動は、約8,000歩以上/日が目安で、息が弾み汗を掻く程度が良いでしょう。

運動不足の状態は身体の代謝が悪くなるため、尿路結石だけでなくさまざまな病気の原因に繋がります。

縄跳びや階段昇降を行うと室内でも手軽に運動できるので、毎日の生活リズムに1日60分以上の有酸素運動を取り入れてみましょう。

参照:厚生労働省

5、1日2,000ml以上の水分摂取を意識する

水分を摂取する場合は、1日2,000ml以上の水分摂取を意識しましょう。

500mlのペットボトルを1日4本消費する量の水やお茶を摂取すると、尿路結石の予防が行えます。

ただし、同じ水分摂取でもジュースやコーヒー、紅茶などはシュウ酸や尿酸などの物質を多く含むため、避けるのが好ましいです。

また夜間や睡眠中は水分補給が少なくなるので、就寝前に意識して水分を取るようにすると良いでしょう。

まとめ

痛風の方は尿酸値が高くなっているため、尿路結石を招きやすいです。

風が吹くだけで強い痛みを感じる痛風ですが、尿管結石などの結石ができた際にも刺すような痛みがあるため、注意が必要になります。

結石が大きくなってしまうと自然治療ができず、手術による治療が求められるため、本記事で紹介した予防法を参考にしながら生活習慣の改善を図りましょう。

神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。尿路結石に対して不安に感じていることがある方や、痛風に関する悩み事がある方は、お気軽にご連絡ください。相談をすることで、どのような生活が好ましいのかなどがわかりますよ。

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