尿路結石になりやすい年齢は?なりやすい人の特徴や予防法を解説

尿路結石は、性別や年齢を問わず誰にでも起こり得る病気ですが、特に発症しやすい年齢層があることをご存じでしょうか?

この記事では、神楽岡泌尿器科が尿路結石になりやすい年齢やその背景、発症しやすい季節や特徴まで詳しく解説します。

年齢のみならず、日常生活まで発症するリスクを理解し、今後の予防にぜひ参考にしてみてください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

尿路結石になりやすい年齢は結石の場所によって変わる

尿路結石になりやすい年齢は、結石がどの位置にできるかによって変わります。

上部尿路結石と下部尿路結石に分けて解説していくので、尿路結石になりやすい年齢が気になる方は確認してみましょう。

上部尿路結石は20歳~49歳がなりやすい

腎臓に結石ができる腎結石や尿管結石の場合は、20歳~49歳の方がなりやすい傾向があります。

年代と性別に分けた上部尿路結石の人口10万人に対する罹患率は、下記の図のとおりです。

出典:中外医学社

2005年のグラフを見るとわかるように、20歳の年齢をすぎると男性女性問わず急激に上部尿路結石者が増えている結果となっています。

49歳になるまでが特に罹患率が高い傾向にあるため、20歳から49歳の間は注意が必要です。

また、近年は尿路結石になってしまう方が急増しているので、生活習慣の見直しを行うことが重要になります。

下部尿路結石は50歳以降に上昇傾向

膀胱結石や結石が尿道にできる尿道結石などの下部尿路結石は、50歳以降に上昇しやすい傾向があります。

下部尿路結石の年代階層別罹患率は、以下のとおりです。

出典:中外医学社

上部尿路結石とは大きく異なり、下部尿路結石は50代以降から急激に増えている状態です。

男性の場合は、時代が進んでも罹患率に大きな変化がありませんが、女性の場合は、近年下部尿路結石になる方が増加しています。

尿路結石は再発しやすい病気になるため、生活習慣に乱れが起きないように過ごしましょう。

男女別では圧倒的に男性が多い

男性と女性と尿路結石の罹患率を比べた場合、男性の方が多いことも圧倒的に多いことが疫学調査の報告によって明らかとなっています。

年間罹患率を見ると、2005年には人口10万人に対して男性は192人、女性は134人となっています。

1965年代に比べると約3倍の数値となっており、男性女性ともに急増している状態です。

男性の方が尿路結石になりやすい傾向がありますが、女性の患者も増えているため、男女問わず気をつける必要があります。

参照:中外医学社

尿路結石は季節によって変動することもある

尿路結石は、季節によって発作の起きやすさが変わります。

注意するべき季節は夏と冬で、気温が20度以上を超えると多くなりやすいという報告があり、なかでも6月から8月は健康に気をつけるのが好ましいです。

夏の季節に尿路結石の発作が起きやすい理由は、暑さによる脱水症状です。

脱水状態は尿が濃縮されやすく、成分が凝縮することでシュウ酸カルシウムが結晶化しやすい傾向があります。

一方、冬の季節に尿路結石が起きやすい理由は、水分摂取量が減るためです。

夏は脱水症状を避けるために水分補給をこまめに行う方も多いですが、冬の季節も夏と同様の水分補給が必要になります。

しかし、冬は夏と比べて脱水症状にならないという認識があるため、水分補給を行う意識が低い方が多いです。

そのため、夏場と冬場は水分が足らない状態になり、尿が濃くなって結石ができてしまう方が多い状態となっています。

尿路結石を招かないためにも、尿が濃縮しないようにこまめに水分補給を行いましょう。

尿路結石になりやすい人の6つの特徴

尿路結石になりやすい人の特徴は、以下の6つのいずれかに該当する方です。

  • お酒を飲む頻度が多い
  • 水分摂取の量や回数が少ない
  • プリン体や糖分の摂取量が多い
  • 生活習慣病の疑いがある方
  • 就寝前に食事を取っている
  • 痛風を患っている

それぞれの特徴について解説していくので、尿路結石を防ぎたい方は参考にしてみてください。

1、お酒を飲む頻度が多い

お酒を飲む頻度が多い方は、尿路結石になりやすい人の特徴としてあげられます。

お酒は利尿作用があるほか、体内で代謝する際に水分が必要となります。

体の水分を消費してしまうため、体内が脱水状態に陥りやすく、尿が濃縮されて結石ができやすいです。

そのため、お酒を飲む際には適量を意識し、同量以上の水や麦茶、ほうじ茶などを飲むようにしましょう。

2、水分摂取の量や回数が少ない

水分摂取の量や回数が少ない人は、尿路結石になりやすいです。

水分摂取の量や回数が少ない場合は、体に水分が足りていない状態になるため、排尿回数や量が減りやすいです。

そのため、血液が濃くなるうえに尿酸値が上昇し、結石ができます。

体の中の水分量を増やすために、1日2Lの水分摂取を意識しながら生活を送りましょう。

3、プリン体や糖分の摂取量が多い

ビールをはじめとしたプリン体を多く含む食品を多く摂取する方や、糖分の摂取量が多い方は、尿路結石になりやすいです。

とくにプリン体は、尿酸濃度を高くする傾向があります。

尿酸は結晶化するため、尿路結石を発症する原因になりやすく、注意する必要があります。

たとえばビールを1日1缶を6年間飲み続けた場合、血清尿酸値が0.5~1.0mg/dl上昇すると報告されています。

また尿酸濃度が上昇することで尿路結石にならなくても、通風になる可能性があります。

プリン体や糖分の摂取量が多い方は、尿路結石になりやすいため注意しましょう。

4、生活習慣病の疑いがある方

尿路結石になりやすい人の特徴として、生活習慣病の疑いがある方もあげられます。

尿路結石と生活習慣病は密接な関係があり、尿路結石になる方の多くは生活習慣病予備軍であるともいわれています。

生活習慣病は肥満や運動不足、不規則な食生活などからなりやすく、尿路結石となるシュウ酸や尿酸値が上昇している状態です。

そのため、健康診断を行った際に生活習慣病に関する指摘を受けた場合は、尿路結石ができる前に生活改善を行っていきましょう。

5、就寝前に食事を取っている

就寝前に食事を取っている方は、尿路結石になりやすい傾向があります。

就寝中は水分補給を行えないため、尿が濃縮されます。

また、食後から2~4時間の間は尿中形成促進物質の濃度がピークを迎えるタイミングでもあり、水分補給を行って濃度を薄めていくことが好ましいです。

そのため、就寝前の食事は避け、4時間以上前に夕食を取るのが理想的です。

夕食の時間をずらすのが難しい場合は、水やお茶などの水分を多く摂るようにしましょう。

6、痛風を患っている

痛風を患っている人は、尿路結石になりやすいです。

尿路結石と痛風は密接な関係で、ビールをたくさん飲む方やプリン体を豊富に含む食事を摂ることが多い方になりやすい傾向があります。

痛風は血液中の尿酸値が上昇し、関節内に尿酸塩結晶ができて起こる発作です。

痛風の原因でもある尿酸塩結晶が関節内ではなく、膀胱や尿管などにできた場合は、尿路結石となります。

尿酸値が高い状態は体の中で結石ができない状態にあるため、痛風と診断された方は水分摂取や食生活に注意することが大切です。

尿路結石の治療法は「保存療法」と「手術療法」がある

尿路結石の治療方法は結石のサイズによって異なり、大きく分けて保存療法と手術療法があげられます。

結石が8mm以下の場合は薬物治療や生活改善によって自然排出を促す保存療法が選択できます。

しかし、8mmより大きく10mm以上の場合は保存療法が難しく、手術療法による治療しか選択できません。

手術による治療を避けたい場合は、尿路結石の大きさが大きくならないうちに治療を始めることが大切です。

尿路結石の疑いがある方は、泌尿器科医を受診して様子を診てもらいましょう。

尿路結石の予防法

尿路結石を予防する方法は、以下の3つがあげられます。

  • 水分を摂取を意識した生活を送る
  • 定期的な検査を受ける
  • バランスの良い規則正しい食生活を心がける

たとえば、水分は食事以外に1日2Lの摂取が目安となります。

朝昼夕晩のタイミングで500mlのペットボトルを1本飲み干すようなイメージで過ごすのがおすすめです。また、できるのであれば朝から1時間ごとに200ccずつ摂取すると、身体の循環を行いやすいですよ。

さらに定期的に検査を受けることで、結石の早期発見が可能です。

サイズが小さい場合は保存療法を選択できるため、定期的に泌尿器科で診察を受けましょう。

まとめ

尿路結石は、結石の位置によってなりやすい年齢が変わりますが、20代から60代にかけてなりやすい傾向があります。

また生活習慣病や痛風と密接な関係があり、体に結晶を作らないためには1時間に200ccを意識したこまめな水分摂取が理想的です。

尿路結石を防ぎたい場合は、水分摂取や生活習慣の見直しを行ってみましょう。

神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。尿路結石は幅広い年齢で気をつける病気ですが、具体的にどのような生活習慣を送っているか伝えるだけで改善ポイントや注意したい点がわかりますよ。尿路結石に対して悩みや不安を抱えている方は、お気軽にご相談ください。

院長直通無料メール相談