尿路結石と尿管結石はどのような違いがある?痛みの位置や症状の違いを解説

尿路結石と尿管結石は似た言葉ですが、その違いに迷う方も多いかもしれません。実際には、「尿管結石」は「尿路結石」の一種であり、大きな違いはありません。

しかし、症状や結石ができる場所にはそれぞれ特徴的な違いがあります。

この記事では、神楽岡泌尿器科がそれらの違い、さらには予防法まで詳しく解説します。

尿路結石や尿管結石に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

尿路結石と尿管結石はどのような違いがある?

尿路結石と尿管結石には、大きな違いはありません。

「尿管結石」は「尿路結石」の種類の1つで、病名からどこの部分に結石ができているかわかりやすいように尿管にできた結石を「尿管結石」と呼びます。

尿管結石のほかには、腎臓にできた場合は「腎結石」膀胱にできた場合は「膀胱結石」尿道にできた場合は「尿道結石」などと呼ぶため、どれも同じ尿路結石になります。

尿管結石と尿路結石の痛みの大きさや場所に違いはある?

尿管結石と尿路結石の痛みの大きさや場所の違いは、以下のとおりです。

  • 尿管結石で痛む場所は「側腹部から下腹部」
  • 尿路結石で痛みを感じる部位「腰部や下腹部」

それぞれの違いについて解説しているので、尿管結石や尿路結石について知りたい方はチェックしてみてください。

尿管結石で痛む場所は「側腹部から下腹部」

尿管結石は、側腹部から下腹部にかけて痛みを感じます。

尿路結石の種類の中でも特に痛みが強く、刃物で刺すような痛さが特徴です。

また、尿管結石は痛みの強弱に波があり、2時間から3時間続きます。

痛みの強さから冷や汗や吐き気を伴う方もいるため、側腹部から下腹部にかけて強い痛みを感じた際には泌尿器科医に相談してみてください。

尿路結石で痛みを感じる部位「腰部や下腹部」

尿路結石は、腰部や下腹部にかけて痛みを感じます。

たとえば、膀胱に結石ができている場合は、排尿時に痛みや残尿感が出ます。

また、腎臓に結石ができた場合は、腰部にかけて鈍い痛みがでやすいです。

結石ができる位置によって痛みの感じ方や場所が異なるため、腰部から下腹部にかけて痛みを感じた際には尿路結石になっている可能性があります。

尿路結石と尿管結石の症状による違い

尿路結石と尿管結石は、症状による違いがあります。

  • 尿路結石「尿の勢いの低下」や「腎機能に影響」がある
  • 尿管結石「痛みと合わせて吐き気や冷や汗」が伴う可能性がある

それぞれの症状の違いが気になる方は、参考にしてみてください。

尿路結石は「尿の勢いの低下」や「腎機能に影響」がある

尿路結石は、尿の勢いの低下や腎機能に影響がある点が症状の特徴です。

体にできた結石が尿をせき止めてしまい、腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。

また結石が体を通る際に壁に傷をつけ、出血が起きて血尿として現れる場合が多いです。

排尿時に痛みが出る場合もあるため、尿の勢いが低下しやすい傾向にあります。

血尿が出た際や排尿時に痛みが出る場合などは、泌尿器科医に相談するようにしましょう。

尿管結石は痛みと合わせて吐き気や冷や汗が伴う可能性がある

尿管結石は、痛みと合わせて吐き気や冷や汗などの症状を伴う可能性があります。

尿管結石は尿路結石の中でも特に痛みを感じやすく、刺すような痛みです。

夜間から早朝にかけて起きることが多く、痛みは2時間から3時間は続きます。

痛みの強さから反射として冷や汗や吐き気を伴うため、症状が当てはまる場合は尿管結石の可能性が高いです。

尿路結石と尿管結石の検査方法

尿路結石と尿管結石の検査方法は、以下の4つです。

  • 尿検査
  • 腹部単純X線検査
  • 超音波検査
  • CT検査

血尿が出た場合や尿路結石の疑いのある症状が出た際には、まず尿検査から行います。

尿に血液が混じっていないか確認して、結石ができていた場合は成分なども含めて調査を行います。

また、尿検査を通して体内に尿路結石ができていることがわかった場合は、レントゲンや超音波検査などの高度な検査で状態をさらに確認する流れです。

尿路結石や尿管結石のような症状が現れた際には、泌尿器科で尿検査を受けるようにしてみてください。

尿路結石と尿管結石の治療法

尿路結石と尿管結石の治療法は、結石の大きさが8mm以下の場合と、10mm以上の場合で変わる点を知っておきましょう。

8mm以下の場合は保存療法が選択可能で、薬物治療や生活改善を行って結石の自然排出を促します。

一方、結石の大きさが10mm以上の場合は、自然排出が難しく、手術療法によって治療を取り除きます。

ただし手術を行う医師や施設によって入院期間が異なるため、事前にかかりつけ医と相談して治療法を決めるのがおすすめです。

尿路結石と尿管結石を防ぐ方法

尿路結石と尿管結石を防ぐ方法は、以下の4つがあげられます。

  • 1日2Lを目安にした水分摂取
  • 1日60分以上の有酸素運動
  • 就寝4時間前までに夕食を済ませる
  • プリン体を多く含む食事を避ける

それぞれの方法について解説しているので、尿路結石や尿管結石を避けたい方は参考にしてみてください。

1日2Lを目安にした水分摂取

尿路結石や尿管結石を防ぎたい場合は、一日2Lを目安に水分摂取を行いましょう。

2Lと聞くと量が多いイメージですが、朝昼夕晩に500mlのペットボトルの水やお茶を摂取すると考えるとわかりやすいでしょう。

水分が不足している状態は尿量や頻度が減りやすく、腎臓機能に影響を与えます。

また尿酸値が上昇して結石を作る原因になってしまうため、毎日2L以上の水分は摂取するように生活してみてください。

ただし、紅茶やコーヒー、ジュースなどはシュウ酸や尿酸が多いので、水やお茶で必要分の水分を摂取するようにしましょう。

1日60分以上の有酸素運動

尿路結石を防ぎたい場合は、1日60分以上のウォーキングやランニングなどの有酸素運動を行いましょう。

息が弾み汗を掻く程度の運動量が目安で、身体の代謝を上昇させて結石ができにくい環境を作ります。

結石は運動不足による肥満や体内機能の低下によって招くため、座り仕事が多い方や運動する機会が少ない方は、注意してください。

就寝4時間前までに夕食を済ませる

夕食を取る際には、就寝4時間前に行うようにしましょう。

食後2時間から4時間は、結石の形成を促す物質の濃度がピークです。

そのため、早く眠りについてしまうと、排尿によって結石を作りやすい成分を排出できないだけでなく、腎機能などに負担がかかり機能が低下してしまうおそれがあります。

0時に就寝する際には、20時に食事を取るなどを意識した生活を送るようにしてみてください。

プリン体を多く含む食事を避ける

動物の内臓類やビールなど、プリン体を多く含む食事は避けるようにしましょう。

プリン体は体内で代謝される際に、尿酸に変わります。

過剰摂取を行ってしまうと高尿酸血症や酸性尿を引き起こし、結石ができてしまう原因につながります。

ほかにも痛風になってしまう原因になるため、プリン体の多い食事を摂る際には量に注意してください。

まとめ

尿管結石は尿路結石の種類の一つでもあり、強い痛みの症状が現れる点が特徴です。

また結石は小さい間であれば薬物や生活改善で自然排出を行いますが、サイズが大きいと手術の治療が必要になります。

体に負担がないようにするために、1日60分以上の有酸素運動や1日2L以上の水分摂取など、尿路結石や尿管結石ができない生活スタイルを意識してみてください。

神楽岡泌尿器科では、院長直中の無料メール相談を承っています。尿路結石について詳しく知りたい方や、尿管結石の前兆・ほかの病気を抱えている場合に注意するべき点など、こまかく相談に乗っていますのでお気軽にご連絡ください。

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