当院に受診される女性の多くは頻尿・強い尿意のために日常生活に支障がでている方がほとんどです。原因は過活動膀胱が多く、特に産後に問題を抱えだした女性が多くいらっしゃいます。
実際、過活動膀胱とは女性の方に多い排泄トラブルで、40歳以上の女性の8人に1人が経験があると言われているほどメジャーな疾病です。
そこで、排泄トラブルのスペシャリストである泌尿器科が、過活動膀胱の原因・症状・治療について解説します。
実際に過活動膀胱なのか悩んでいる方には、過活動膀胱の診断基準にもなるチェックリストも掲載しているため、ぜひ参考にしてみてください。
女性の過活動膀胱の原因
女性の過活動膀胱の原因は、膀胱が過敏に反応してしまうためです。
膀胱が過敏に反応することで、十分に尿がたまっていない状態にも関わらず勝手に縮み、我慢できない尿意が起き、トイレが近くなります。
- 神経系のトラブル・・・脳卒中などの後遺症で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起き、膀胱が異常な働きを引き起こすため。
- 骨盤底筋のトラブル・・・出産や加齢により、子宮・膀胱・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなり、膀胱の異常なはたらきを引き起こすため。
他にも、トイレのことばかりを考えた時や、人前で発表する時などストレスなどの心因性で起こる場合もあるため、原因がはっきりしないことも多いです。
過活動膀胱以外の排泄トラブルの原因
尿意切迫感・昼間頻尿・夜間頻尿があると過活動膀胱とされがちですが、別の疾患が原因となっている場合も多いです。
尿意切迫感・昼間頻尿・夜間頻尿などの排泄トラブルの原因となる疾病をご紹介します。
排泄トラブルの原因となる疾病一例
- 腹圧性尿失禁…排泄の要となる骨盤低筋の働きが弱くなり、尿漏れが起きる。
- 感染症(膀胱炎や尿道炎など)…尿道から細菌が入って炎症が起こる。発熱や排尿痛などの症状がみられる。
- 子宮内膜症…子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にできる疾病。排尿の他に、下腹部痛や排尿痛などが起こります。
- 心因性の頻尿(神経性頻尿)…精神的な問題が原因で、頻尿や尿意切迫感が起こる。
- 膀胱結石…膀胱内に結石ができる疾病。他に、血尿や排尿痛などが起きる場合もある。
- 膀胱がん…膀胱にできるがん。痛みを伴わない血尿、排尿時の痛み、残尿感などがみられます。
頻尿や残尿感が起こりやすい代表的な疾病は過活動膀胱ですが、腹圧性尿失禁も女性に多い疾病です。2つの疾病にかかっている方もいらっしゃいます。
腹圧性尿失禁を経験した方の割合は、40歳以上の女性の8人に1人と言われています。
特に、出産を経験した女性に多くみられるため、尿漏れに悩んでいる方は一度かかりつけ医にご相談してみるのも一つの手です。
腹圧性尿失禁のよくある症状一例
- 咳をする、くしゃみをする、笑う
- 走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする
- 重い物を持ち上げる
- 坂道や階段を昇り降りする
【症状】心当たりありませんか?女性の過活動膀胱
- 尿意切迫感…それまで何でもなかったのに突然トイレに行きたくなり、我慢することが難しい症状。
- 昼間頻尿…日中に8回以上トイレに行く症状。
- 夜間頻尿…夜中に1回以上おしっこのために起きる症状。
- 切迫性尿失禁…突然のがまんできない強い尿意に襲われ、トイレまで我慢できずに尿がもれてしまう症状。
多くの過活動膀胱の方に尿意切迫感・昼間頻尿・夜間頻尿の症状が見られますが、切迫性尿失禁は見られないことも。
すべての症状があれば「過活動膀胱だ」と断定するわけではありません。4つのうち1つしか症状がない方であっても、過活動膀胱の方もいらっしゃいます。
ちゃんと知りたい!過活動膀胱のチェックリスト
トイレの回数や強い尿意を感じている方は、「過活動膀胱かも…?」と思い当っているかもしれません。
しかし、実際に排泄トラブルがなぜ起こっているのかは、診察・検査してみないとわからないですよね。
実は、手軽に過活動膀胱かどうかチェックできるチェックリストがあるんです。
過活動膀胱には、過活動膀胱診療ガイドラインがあり、質問票に従って点数をつけることで症状の重さ・過活動膀胱の傾向があるかがわかります。
排泄トラブルで過活動膀胱を疑っている方は、ぜひチェックリストを活用してみて下さい。1週間のあなたの状態を思い返してチェックしてみましょう。
チェックリストの合計点数は何点でしょうか?
- 質問3が2点以上(=「急に尿がしたくなり,がまんが難しいこと…」が週1回以上)
- 合計点数が3点以上
両方に当てはまる方は、過活動膀胱の可能性があります。
また、チェックリストの合計点数によって、症状の重さがわかります。
過活動膀胱診療ガイドラインの合計点数
- 5点以下・・・軽症
- 6~11点・・・中等症
- 12点以上・・・重症
治療については、こちらの記事でもまとめていますので、参考にしてみてください。
まとめ
女性に多い過活動膀胱の、原因・症状・チェック方法について解説しました。
頻尿や我慢できないほどの強い尿意が頻繁にある方は、チェックリストで点数を出してみましょう。
過活動膀胱かどうか悩むのであれば、かかりつけ医か、最寄りの泌尿器科を受診してください。
排泄トラブルは、医者とはいえ人に相談しにくいと思います。もし、恥ずかしくて受診を悩んでいるのであれば、無料メール相談窓口も用意しているため、お気軽にお問い合わせください。
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また、著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
著者:渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など