女性の皆さん、正しいおしっこの拭き方・仕方があるのはご存じですか?
泌尿器科で働く私たち看護師は、身近で患者様の悩みを聞き、「下着の匂いが気になる」などの声も聞きます。
下着のシミ汚れや臭いで悩んでいる方の多くは、正しいおしっこの拭き方・仕方を知らないことが多いのです。間違った拭き方が、ちょびちょび尿モレや臭いの原因になることも。
そこで、多くの女性が下着の色や臭いで悩みを抱えてしまわないように、正しいおしっこの拭き方・仕方から、デリケート部分を清潔に保つ正しい方法をご紹介しますのでぜひ、参考にしてみて下さい。
女性の正しいおしっこの拭き方・仕方
日本人女性の多くは、おしっこの後に残った水滴をこすって拭き取っています。この拭き方が定着した理由は、日本の掃除文化と関係しているようです。
しかし、皮膚が薄い女性のデリケートゾーンは、摩擦などの刺激が強いと、腫れたり・赤くなってしまったりと皮膚トラブルを起こすこともあります。
もしかすると、正しいおしっこの拭き方・仕方で改善する可能性があります。
- 女性の正しいおしっこの拭き方:トイレットペーパーを3~5秒押し当てて、吸収させる
- 女性の正しいおしっこの仕方:足を肩幅に開いて前傾姿勢(排便排尿いずれもこの姿勢が自然)
今一度、正しい拭き方ができているのか確認してみましょう。
女性の正しいおしっこの拭き方
女性の正しいおしっこの拭き方は、「吸いとる」が基本です。
まずは、トイレットペーパーを重ね巻きし、簡易的な尿モレパットをつくります。その後、こすらずにトイレットペーパーを3~5秒軽く押し当ててください。
この時、雑巾がけのイメージでゴシゴシこするのは間違いです。スポンジに染み込ませるように、やさしく吸収しましょう。
女性の正しいおしっこの仕方
女性の正しいおしっこの仕方は、足を肩幅に開いて前傾姿勢です。
この体勢をすすめるのは、いきみをかけない自然な排便排尿姿勢だからです。
正しいおしっこの拭き方ができないと困ること
正しいおしっこの拭き方ができないと、外陰部の粘膜が傷つき、炎症を起こしたり外陰部や性器の免疫力を低下させる可能性があります。
女性が排尿後に拭き取る行為は、外陰部に尿が残りやすいため習慣となりました。
女性は、尿道が約5cmしかないため菌が膀胱に入り込みやすく、炎症など病気を引き起こしやすい身体の機能になっています。
さらに、洗いすぎや擦りすぎにより炎症を起こす可能性もあるため、おしっこの正しい拭き方で予防しましょう。
デリケートゾーンの洗い方にも注意!
デリケートな部分だからこそ、おしっこの正しい拭き方と一緒に、洗い方も繊細に扱う必要があります。
ここでは、デリケートゾーンの洗い方のポイントを紹介します。
- ボディーソープ、ボディークリーム、乳液などは弱酸性を使う
- ボディタオルは使わずに、指の腹を使って洗う
- 泡をしっかりと泡立てて洗う
- 膣内まで洗わない
まず、ボディーソープ、ボディークリーム、乳液などは弱酸性を使いましょう。
膣・尿道は弱酸性で保たれています。腸内の善玉菌と同じように、体には優しい常在菌がいて、これらは悪玉菌の侵入・繁殖を防いでいます。
しかし、ボディーソープでの洗いすぎや、クリーム・乳液などで外陰部の酸性度を変化させることでかえって外からの雑菌の侵入を助けてしまうことになります。
さらに、酸性のボディソープであっても、膣内まで洗うと膣の常在菌がいなくなり病気になりやすい環境になってしまう可能性があります。
デリケートゾーンを洗う際は、泡をしっかりと泡立てて、指の腹で優しく洗ってください。ボディタオルで洗うとデリケートゾーンが傷ついてしまう可能性があるため、泡で優しく包み込むように、陰毛までしっかりと洗いましょう。
拭いても下着の臭いが気になる場合に考えられること
おしっこの仕方・拭き方や、デリケートゾーンの洗い方も正しくできているのに、下着の臭いが気になる場合は、炎症や性病・尿漏れの可能性もあります。
もし気になることがありましたら、近くの病院でご相談ください。
実は皮膚の常在菌は腸内細菌叢の状況に左右されるので、適当な腸活が外陰部皮膚の免疫力改善につながります。
腸活に興味ある方はこちらも参考にしてみてくださいね。
神楽岡泌尿器科では、院長による無料メール相談を行っているため文章でお好きな時間にご相談ください。
ちょっとがまんで「気持ちいいおしっこ」を習慣に
おしっこの正しい拭き方と洗い方をマスターしたら、身につけてもらいたいのが、おしっこをすぐに出さない習慣です。
当院でも、尿トラブルに悩む患者さんには「おしっこは溜めてから出しましょう」とアドバイスしています。
膀胱が健康で、きちんと水分を摂っていれば、一日のおしっこの量は1500~2000ccほどで、これを6~7回に分けて排出します。
1回分の200~300ccを、いきまず中断せずに、20~30秒で出し切れば、おしっこはとても気持ちのよいものになりますよ。
「気持ちいいおしっこ」を実践するコツ
まずは、尿が150ccほど溜まって起こる「初発尿意」は、さりげなく無視し、尿意が起こってすぐトイレへいく習慣から見直していきましょう。
初めは「10分だけがまん」からスタートして、やるべきことや楽しいことを優先して尿意をやり過ごし、少しずつ時間を伸ばしていくのがおすすめです。
徐々に尿意が起こる間隔が短く、頻繁になったら排尿のベストタイミング。トイレへGO!
まとめ
この記事では、多くの女性が抱える「下着の臭い」の原因となる、間違ったおしっこの拭き方について解説しました。
デリケートゾーンは摩擦に弱く、ゴシゴシこするような拭き方は、炎症や免疫力低下の原因となる可能性があります。
正しい拭き方は、トイレットペーパーを押し当てて尿を吸い取るようにすることです。また、弱酸性のソープで優しく洗うことも大切です。
ぜひ今回の記事を参考に、正しいおしっこの拭き方を身につけて、デリケートゾーンの健康を守りましょう。
監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール
1961年(昭和36年) | 旭川生まれ |
1980年(昭和55年) | 道立旭川東高等学校 卒業 |
1988年(昭和63年) | 札幌医科大学 卒業 |
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
出版年数 | 著書・メディア掲載 |
2014年 5月15日 | |
2016年 5月10日 | |
2016年 10/27号 |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など