
「セックス」と「コンドーム」。
このふたつは、切っても切れない関係だといえます。男性であっても女性であっても、やはり、気にかける事柄だと思います。
今回は、コンドームの重要性と題して、セックスする際の心得について、神楽岡泌尿器科の院長である渋谷先生に教えていただきました。
「性行為 ゴムなし」のリスク
性行為において、コンドームを装着しないという選択は、決して軽視できない複数のリスクを伴います。安易な判断は、予期せぬ妊娠や深刻な性感染症へと繋がる可能性があることを、改めて強く認識する必要があります。
性行為は、お互いの心と体を結びつける大切な行為ですが、その際には常に相手への思いやりと、起こりうるリスクへの正しい理解を持つことが不可欠です。
①妊娠の可能性
「挿入はしたけれど、最後までしなかったから大丈夫」「外に出したから妊娠しないだろう」といった考えは非常に危険です。
男性が性的興奮を感じると分泌される我慢汁(カウパー腺液)にも、精子が含まれているからです。
つまり、膣外射精(外出し)を行ったとしても、この我慢汁によって妊娠するリスクはあるということです。
WHOの調査によると、「外出しによる妊娠確率は約20%」とされており、国内の調査では、人工妊娠中絶を経験した方の4割以上が避妊方法として膣外射精を選択していたという結果も出ています。
また、挿入行為がなくても、勃起した陰茎の先端に付着している可能性のある我慢汁が膣付近に触れたり、我慢汁が付着した手で女性器に触れたりした場合にも、妊娠の可能性は否定できません。
もし、避妊せずに性行為を行ってしまい、妊娠の可能性が心配な場合は、性行為後120時間以内であればアフターピルの服用が有効な手段となります。しかし、これはあくまで緊急的な対応であり、常習的な利用は推奨されるものではありません。
②性感染症(STI)のリスク
コンドームを使用しない性行為の最も重大なリスクの一つが、性感染症(STI)への感染です。
性感染症は、クラミジア、淋病、梅毒、HIVなど、様々な病原体によって引き起こされ、無症状のまま進行することもあります。
放置すると、不妊症や重篤な合併症を引き起こす可能性があり、ご自身の健康だけでなく、パートナーの健康も脅かすことになります。
コンドームは、物理的なバリアとして病原体の接触を防ぎ、性感染症のリスクを大幅に低減することができます。たとえ膣外射精で妊娠を回避できたとしても、コンドームを使用しない限り、性感染症のリスクから身を守ることはできません。
性病になることは決して「悪いこと」ではありません

性病と聞くと、どうしてもネガティブなイメージや罪悪感を持ってしまう人がいるかもしれません。
「自分が悪いことをしたからだ」「恥ずかしいことだ」と一人で悩んでしまう方もいるでしょう。しかし、性病に感染してしまうことは、決してその人の人格や行いを否定するものではなく、誰にでも起こりうる不可抗力の側面があることを理解してほしいのです。
性病は、性行為を通じて病原体が感染することで起こります。
たとえ注意深く行動していても、完全にリスクを避けることは難しい場合があります。なぜなら、感染している人が自覚症状がないまま、他者に感染させてしまうケースも少なくないからです。また、避妊具を適切に使用していても、100%感染を防げるわけではありません。
性病は性行為でしか感染しません。
つまり相手が信頼できるパートナーであれば、その病気を共有できるということです。
その覚悟があれば悪いことではないでしょう、運命共同体ですから。コロナやインフルエンザのような感染とは全く違う概念なんです。
誰にもらったか、誰に移したか、覚悟を持って性交渉して欲しいということです。
もし、万が一性病になってしまったとしても、決して自分を責めたり、恥じたりしないでください。最も重要なことは、その事実をしっかりと受け止め、早めに適切な対処をすることです。

早期に治療を開始することで、多くの場合、症状の悪化を防ぎ、完治させることができます。放置してしまうと、症状が重くなったり、不妊などの深刻な合併症を引き起こしたりする可能性があります。また、知らないうちにパートナーに感染させてしまうリスクも高まります。
性病の検査や治療は、医療機関で適切に行われます。プライバシーにも配慮されますので、安心して医療機関を受診してください。早期発見・早期治療は、ご自身の健康を守るだけでなく、大切なパートナーを守ることにも繋がります。
神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。性に対して不安や悩みがある場合は、お気軽にご連絡ください。
世界と日本のコンドーム使用率
じつは世界と比較すると、日本のコンドーム(男性用)の使用率は高い傾向にあります。
興味深いのは、他国とはピル(modern contraceptive)を使う人たちが多いという点です。
以下のデータは、国連のContraceptive Use by Method 2019を参考にしたものです。
15歳~49歳まで(生殖可能年齢)の女性の使用している避妊法を国別に表示しており、数字は%です。
日本 | 中国 | オーストラリア | アメリカ | イギリス | フランス | ドイツ | |
ピル | 6.2 | 34.5 | 38.5 | 22.3 | 36.4 | 52.1 | 54.6 |
コンドーム | 75.8 | 33.4 | 21.2 | 15.1 | 11.3 | 12.6 | 17.2 |
本当はみんなコンドームなんてしたくない!


コンドームは性感、快感を軽減させます。できたらつけたくないよねというのが男の本音。
しかし、妊娠や性感染症など、不都合な事態を避けるためにはコンドームは必須のものということになります。
もし、コンドームを着けないでセックスするのであれば、責任をも持たなければならないのも事実だといえます。避妊せずに妊娠したら、産むか産まないかという選択があります。子供を産むと決断したら、育てていかなければいけません。
もちろん、子供を産むのはパートナーである女性です。パートナである女性の意見を尊重し未来の選択までする責任があることは忘れないでいただきたいです。
コンドームをしたくないなら命懸けでセックスしなさい

例えば、コンドームを着けたくない、病気も移されたくないという男性がいますが、渋谷先生いわく、それはダメだねとのこと。

つまり、コンドームなしでセックスするなら「パートナーと一生寄り添う覚悟でしましょう」ということです。
病気も共有できるパートナーシップを二人で確立させて欲しいです。
この人となら性病になってもいいな、本当にこの人と連れ添っていきたいなという、強い覚悟があるのなら、コンドームしなくてもいいという考えもありです。

まとめ
今回は、ちょっと人には聞きづらい内容「コンドーム」についての疑問を渋谷先生に聞きました。
コンドームつけないでセックスするならパートナーにも自分にも責任を持つこと。
現在の、性に悩む人全員に知って欲しい内容でした。
ところで、渋谷院長先生はどんな人?
【著作・メディア掲載など】
- 2014年 『「気持ちいいオシッコ」のすすめ』(現代書林)刊行
- 2016年 『現代の赤ひげ 医療最前線の名医9人』掲載
- 2016年 『週刊新潮』(10/27 号)掲載
- 2020年 『メディアあさひかわ』(4月号)掲載
- 2020年 『メディアあさひかわ』(5月号)掲載
- 2021年 『メディアあさひかわ』(5月号)掲載

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など