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前立腺肥大を小さくするには?手術の前にまずは排尿習慣の改善から

前立腺肥大を小さくするには?手術の前にまずは排尿習慣の改善から

前立腺肥大症と診断され、薬を飲んでいるけれど、なかなか症状がよくならないとお悩みの方も多くいらっしゃいます。

前立腺肥大症の治療には薬や手術がありますが、当院ではまず、ご自身で取り組める排尿習慣の改善から患者さんと一緒にサポートしながら進めていきます。

今回の記事では、前立腺が大きくなる原因から、前立腺肥大を小さくする排尿習慣の改善法、さらに前立腺肥大症の具体的な治療法まで詳しく解説します。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

前立腺が大きくなる原因

前立腺肥大症が発症するメカニズムについて、全ては解明されていませんが、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。なかでも、前立腺が大きくなる主な原因として以下の2つが挙げられます。

年齢によるホルモンバランスの変化

加齢とともに、性ホルモンのバランスが変化し、前立腺を刺激するホルモン(ジヒドロテストステロン)が増加します。これにより、前立腺の細胞が増殖し、肥大を引き起こすとされています。

前立腺は50歳を過ぎるころから肥大することが多くなり、年齢とともに増加する傾向にあります。70歳以降では約7〜8割の人が前立腺肥大を認めると言われています。

射精頻度が多い

射精頻度が多い男性は、前立腺への刺激が増え、肥大を促進する可能性があります。

前立腺は精液を作り出す際に活動するため、その射精回数が多ければ多いほど肥大になりやすくなります。筋力トレーニングと同じです。

そのため、性生活が旺盛な人や、マスターベーションの回数が多い人は前立腺肥大になりやすいと考えられます。一方、射精頻度が少ないと癌化の可能性が高くなるとされています。

前立腺肥大症の原因については、以下の記事でも解説しています。

前立腺肥大を小さくするにはまずは排尿習慣の改善から

前立腺肥大症になると、オシッコが出にくいのが一番の悩みですよね。前立腺肥大の症状を和らげるには、まずは日々の排尿習慣を見直すことから始めましょう。

症状が重くない場合は、これでかなりオシッコがしやすくなる患者さんも多くいらっしゃいます。

ここでは、ご自身でも実践可能な3つの改善法をご紹介します。排尿習慣の改善のポイントは、無理に排泄せず、自然に出す気持ちのいいオシッコである「快感オシッコ」を目指すことです。

改善法1:少し我慢してからオシッコに行く

「オシッコしたい」と思ったらすぐに行くのではなく、少し溜めてからオシッコに行くようにしましょう。

具体的には、作業に集中できている間は我慢でOK、オシッコのことが頭から離れなくなったらトイレに行きましょう。

一回のオシッコで300mlくらい出るようになれば良いです。ときどき検尿のように大きめの紙コップで量を測ってみましょう。

改善法2:1時間にコップ1杯の水分を摂る

適度なオシッコをするために、1日に2リットル、1時間にコップ1杯(200ml)ずつ飲むことをおすすめします。

オシッコは出し過ぎても、溜め過ぎても体に良くない影響が出ます。ちょうど良い量と濃さのオシッコをするために、1時間にコップ1杯の水分を補給してみてください。

改善法3:オシッコの時、いきまない

オシッコをする時、本来であれば膀胱は自然に収縮して、オシッコは流れ出します。この時に力を入れてオシッコをしてしまうと、膀胱や尿道、尿道括約筋など排尿に関する臓器の血行障害が起こり、排尿トラブルに繋がります。

ただし、前立腺肥大症はオシッコが出にくくなっています。いきなり自然に出せるようにはならないので、少しずつ力を緩めていけるようトレーニングしていきましょう。

ここまでご紹介した「快感オシッコ」のコツは、以下の本でも解説しています。オシッコで悩んでいる人にぜひ読んで欲しい本です。

気持ちいいオシッコのすすめ』 

著者:渋谷秋彦

前立腺肥大を小さくする治療法の解説

上記でお伝えした排尿習慣の見直しを行いつつも、なかなか前立腺肥大が改善しない、オシッコが出にくくなる一方の場合は、薬や手術で対処していくことになります。

ここでは、前立腺肥大を小さくする治療法である「薬物療法」と「手術」についてそれぞれ解説します。

①薬物療法

薬物療法は、前立腺肥大症の初期段階や、症状が比較的軽い場合に選択されることが多い治療法です。主に以下の2種類の薬が使用されます。

  • α1遮断薬:前立腺や膀胱頸部の筋肉を緩め、尿の通りをよくする薬です。
  • 5α還元酵素阻害薬:男性ホルモンの働きを抑え、前立腺の肥大を抑制する薬です。

これらの薬は、症状の改善に効果がありますが、副作用としてめまいや立ちくらみ、性機能障害などが起こる可能性もあります。

その他、前立腺肥大症で処方される治療薬の一覧については以下の記事でも詳しく解説しています。

②手術

薬物療法で効果が不十分な場合や、尿が出にくい、尿が漏れる、頻尿などの症状が重い場合には、手術が検討されます。

現在は従来の手術に比べ、出血や患部へのダメージが軽減された治療法も増えており、前立腺肥大症の手術には、主に以下の3種類があります。

①「TURP(経尿道的前立腺切除術)

前立腺の組織を内側から削り取る手術です。血液が多く出る手術であるため体への負担はやや大きい手術になります。

②「HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺蒸散術)」

HoLEPは前立腺組織を皮膜から剥がし、その組織を細かく細断して尿道から吸引する方法です。例えるならば、みかんの皮だけを残し実をレーザーを用いてくり抜くイメージ。患者さんの体への負担が少ないことが特徴で、近年取り入れている病院が増えてきた手術方法です。

③「WAVE(前立腺肥大水蒸気治療)」

WAVEは2022年9月に日本ではじめて保険適用になった新しい手術方法です。水蒸気を使い、前立腺の肥大した部分を壊死させ体に吸収させることで小さくする手術。出血が少ない、10分程度で手術が終わるなど、体への負担が少ないことが特徴です。

手術は、薬物療法よりも効果が高いとされていますが、入院が必要となる場合や、術後の合併症のリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。

前立腺肥大症の治療法については、患者さんの状態や希望に合わせて、専門医と相談しながら選択するようにしましょう。

それぞれ前立腺肥大症の手術の詳細については、以下の記事でも詳しく説明しております。

前立腺肥大を放っておくとどうなる

前立腺肥大症を放置すると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。例えば以下の通り。

合併症症状原因
尿路感染排尿時の痛み頻尿血尿など尿中や前立腺に細菌が繁殖する
膀胱結石排尿困難排尿時の痛み残尿感など尿中の成分が結石化してしまう
腎機能障害むくみ尿量の減少だるいなど尿を生成する時に腎臓に負担がかかる

特に腎臓にダメージが行くと、慢性腎臓病に繋がり、最悪の場合人工透析をすることになります。放っておくと良いことが無いので、オシッコが出にくいとか、痛みが出てきたなどがあればすぐに受診しましょう。

受診の判断がつかない場合はメールください。

院長直通メールを送ってみる

以下の記事では、前立腺に良い食べ物も紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてください。

まとめ

前立腺肥大は、加齢とともに男性ホルモンが増加し、前立腺が大きくなることで引き起こされる疾患です。前立腺肥大の症状を和らげるには、日々の排尿習慣を見直すことが非常に重要です。

具体的には、①少し我慢してから排尿する、②こまめな水分補給を心掛ける、③排尿時にいきまないといった対策が有効です。

これらの排尿習慣の改善に加えて、症状の程度によっては、薬物療法や手術といった治療法も検討されます。気になる症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

また、今回の内容にまつわる情報は、YouTubeにて動画でも公開しています。神楽岡泌尿器科では、前立腺肥大症を始めとした泌尿器のトラブルについて、わかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。

渋谷院長の解説付き動画はこちらから

知っておきたいオシッコの話<おもらしの種類>

前向きな生活への発想転換

老化に伴って起こりやすい排尿障害があります。
例えば、間に合わなくておもらしをする、夜中に何回もオシッコに起きる、
トイレに立ってもなかなか出にくくて困ってしまう、などの経験をお持ちの方も多いと思います。

もう年だから、恥ずかしいからとあきらめてはいませんか?
でも、ちょっと待って下さい。
自分のからだの状態や日常生活の過ごし方を見直して、正しい対応策をとれば、元気にいきいきと暮らしていくことができます。

ここでは、高齢者によくみられるオシッコの問題に対して、考え方のちがいによって生活状況が大きく左右されることについてみていきましょう。

上手に解決できなかった人の話②

Tさんは62歳の男性です。糖尿病を長く患っています。最近、排尿に時間がかかるようになってきたのですが、年のせいで仕方ないだろうと思い、気にしていませんでした。

ところが、出にくいばかりでなく、だんだん回数も多くなってきたことに気づきました。トイレから出てきてもまたすぐに行きたくなるので、わずらわしくて仕方ありません。そのうちもらしてしまいそうな気がして、仕事にも集中できず、落ち込みがちで、家族も心配しています。

おもらしの種類

160209_3「おもらし」といっても、いろいろな種類があります。ちょうど「目」の場合の、近視や遠視、乱視や、老化とともに起こる老眼と同じようなものです。その上に、男性・女性特有のからだの構造に関連したおもらしもあります。

ここでは、そんなおもらしの種類と、その特徴や症状などについてわかりやすくまとめてみました。

切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)

● 特徴・症状 ●
急に我慢できないような強い尿意があり、トイレに間に合わない状態。頻尿を伴うことが多い。

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
興奮(収縮する)普通160209_4

● 原因 ●
脳卒中後遺症、脊髄損傷、加齢などによる過活動膀胱

腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)

● 特徴・症状 ●
尿意に関係なく、力んだ時(咳、クシャミ、スポーツ)にもれる状態。

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
普通にぶい160209_5

● 原因 ●
出産、肥満、加齢などによる真性腹圧性尿失禁

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)①

● 特徴・症状 ●
膀胱の中に尿が満杯になっても出ないため、尿道より溢れ出てしまう状態。ひどい頻尿として自覚することが多い。尿意の低下が特徴

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
力がない普通160209_6

● 原因 ●
糖尿病、子宮癌術後などによる低活動膀胱

※「溢流性尿失禁」は2002年の国際禁制学会で定められた用語基準では推奨されていない用語ですが、日本では使用されることがあります。

溢流性尿失禁(いつりゅうせいにょうしっきん)②

● 特徴・症状 ●
膀胱の中に尿が満杯になっても出ないため、尿道より溢れ出てしまう状態。ひどい頻尿として自覚することが多い。排尿困難が進んだ状態

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
普通興奮する

● 原因 ●
前立腺肥大症など

※「溢流性尿失禁」は2002年の国際禁制学会で定められた用語基準では推奨されていない用語ですが、日本では使用されることがあります。

全尿失禁(ぜんにょうしっきん)①

● 特徴・症状 ●
膀胱に尿がたまらないでダラダラもれる状態。膀胱が萎縮した状態

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
融通がきかない普通

● 原因 ●
脊髄損傷、子宮癌治療後で萎縮した状態、カテーテルの長期留置

全尿失禁(ぜんにょうしっきん)②

● 特徴・症状 ●
膀胱に尿がたまらないでダラダラもれる状態。尿道括約筋が働かない状態

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
普通力がない

● 原因 ●
脊髄損傷、子宮癌治療後で萎縮した状態、カテーテルの長期留置、二分脊椎、尿道の術後などの内因性括約筋機能不全

機能性尿失禁(きのうせいにょうしっきん)

● 特徴・症状 ●
膀胱や尿道の障害はないが、身体機能に障害があり、トイレへの移動や下着の着脱ができないために失敗してしまう。

膀胱の状態尿道の状態膀胱と尿道の状態
普通普通

● 原因 ●
老化や脳卒中後遺症などにより、移動能力や日常生活動作に支障をきたした人

排尿困難について
おもらしとは別に、オシッコが出にくい状態のことを「排尿困難」といいます。出始めまでに時間がかかる、尿に勢いがないなどの症状がある場合は「排尿困難」の可能性があります。

尿失禁について詳しくはコチラをご覧ください

知っておきたいオシッコの話<前立腺肥大症>

前向きな生活への発想転換

老化に伴って起こりやすい排尿障害があります。
例えば、間に合わなくておもらしをする、夜中に何回もオシッコに起きる、
トイレに立ってもなかなか出にくくて困ってしまう、などの経験をお持ちの方も多いと思います。

もう年だから、恥ずかしいからとあきらめてはいませんか?
でも、ちょっと待って下さい。
自分のからだの状態や日常生活の過ごし方を見直して、正しい対応策をとれば、元気にいきいきと暮らしていくことができます。

ここでは、高齢者によくみられるオシッコの問題に対して、考え方のちがいによって生活状況が大きく左右されることについてみていきましょう。

上手に解決できた人の話②

160202_2Uさんは68歳の男性です。最近、トイレに行ってもチョロチョロと出るだけで、以前に比べて排尿に時間がかかるようになったことが気になっていました。夜寝ている間に、必ず1回はトイレに起きるようにもなりました。数年前までは会社勤めをしていたので、定期的に健康診断を受けていたのですが、退職後は全く受けておらず、一度きちんと調べてもらった方がよいと思い、病院に行ってみることにしました。

問診と診察の結果、「前立腺肥大症」と診断され、まずは飲み薬で治療することになりました。食生活にも気を配ることで症状も軽くなり、趣味の陶芸に集中できるようになったそうです。

前立腺肥大症の自己チェック

「最近、よく夜中にオシッコいってるわね」と妻が言う。もしかして・・・?
高齢男性の1/3に認められる代表的な疾患が前立腺肥大症で、夜間頻尿、排尿困難などの排尿症状がまず現れます。排尿障害の程度を判断するため、WHO(世界保健機関)が推薦する「国際前立腺症状スコア(I-PSS)」で簡単な自己チェックをしてみましょう。

160202_1

前立腺肥大症の自己判断表
(国際前立腺症状スコア)
International Prostate Symptom Score (I-PSS)

質問症状全くなし5回に1回の割合未満2回に1回の割合未満2回に1回の割合2回に1回の割合以上ほとんど常に
1最近1ヵ月間、排尿後に尿がまだ残ってる感じがありましたか012345
2最近1ヵ月間、排尿後2時間以内にもう一度行かねばならないことがありましたか012345
3最近1ヵ月間、排尿途中に尿が途切れることがありましたか012345
4最近1ヵ月間、排尿を我慢するのがつらいことがありましたか012345
5最近1ヵ月間、尿の勢いが弱いことがありましたか012345
6最近1ヵ月間、排尿開始時にいきむ必要がありましたか012345
7最近1ヵ月間、床に就いてから朝起きるまで普通何回排尿に起きましたか012345

上記、1~7までの質問の答えに該当する点数を合計して、下のテスト結果を見てください。

160202_3

泌尿器科領域の治療標準化に関する研究班編:“Ⅰ.前立腺肥大症の基礎知識 2.症状”EBMに基づく前立腺肥大診療ガイドライン じほう:1,2001[L20080520008]

前立腺肥大の詳細についてはコチラをご覧ください

中高年男性の尿トラブルの症状と治療について 2/4

・トイレが近くなった
・排尿に時間がかかる

など尿に関するトラブルは男性の場合、50歳を過ぎたころから増えてきます。

尿トラブルの原因は「前立腺肥大症」がよく知られていますが、前立腺肥大症に伴って起こることの多い「過活動膀胱」も近年問題視されています。

中高年男性の尿トラブルの原因となる「前立腺肥大症」と「過活動膀胱」の症状や治療について4回にわたってご紹介いたします。
2回目の今回は前立腺肥大症の症状と治療についてご紹介いたします。

関連記事:中高年男性の尿トラブルの症状と治療について 1/4

中高年男性の尿トラブルの症状と治療について

中高年男性の尿トラブル 前立腺肥大症

60歳男性の半数以上が前立腺肥大症にかかっているといわれています。原因について、はっきりと解明されてはいませんが、加齢と関係が深いとされています。

また、肥満や性生活、男性ホルモンが発症にかかわっているとする説もあり、様々な要因が重なって発症すると考えられています。

前立腺肥大症の主な症状は7つ

前立腺肥大症の主な症状は7つあります。ただし、それらすべてがおこるわけではありませんし、症状の有無や強さは人によって異なります。

頻尿一度排尿したあと、2時間以内にまた排尿する
残尿感排尿したあと、まだ尿が残っているような感じがする
尿意切迫感がまんできないほどの強さで、急に排尿したくなる
尿の勢いが弱い
排尿している間、何度も尿が途切れる
尿が出にくく、排尿を始めるためにおなかに力を入れなければならない
夜間頻尿排尿のために夜中に何度も起きる

前立腺肥大症は命にかかわる病気ではありませんが、放置して症状が進行すると、尿閉や腎不全など深刻な事態を招くことがあります。

尿のトラブルは人に相談しにくく、年齢のせいと軽く考えてしまいがちですが、症状によっては外出しにくくなったり、十分な睡眠をとれなくなるなど、日常生活に少なからず影響を与えます。

症状に心当たりがある場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。泌尿器科の専門医を紹介してもらうこともできます。

治療の目的は症状の改善

前立腺肥大症の件さでは、まず問診で症状や病歴などについて質問されるほか、症状の程度を調べるために、「国際前立腺症状スコア(I-PSS)」や「QOLスコア」が用いられています。また、尿検査や血液検査(PSA検査)も行われます。

さらに医師が肛門から指を入れて前立腺の肥大の程度などを調べる直腸診や超音波検査、尿流測定装置という機器を用いる尿流測定を行う医療機関もあります。

前立腺肥大症の治療の目的は、症状を軽くし、日常生活を送りやすくすることです。主な治療法は薬物療法で、αブロッカー(前立腺部の尿道の緊張をやわらげ、尿の通りをよくする)や抗男性ホルモン剤などが用いられます。

この他、症状や重症度によっては、内視鏡を用いた手術療法などが行われることがあります。

I-PSSとQOLスコア

気になる症状は医師に相談を!

「前立腺肥大症」は、きちんと治療すれば通常通りの生活を送れるようになります!気になる症状がある場合は、まずは泌尿器科医師にご相談ください。

当院では院長による無料メール相談を行っております。

早期の治療こそが、スムーズな回復へと繋がります。
病院に行く時間がなかなかとれない方もまずは一度ご相談ください。

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中高年男性の尿トラブルの症状と治療について 1/4

・トイレが近くなった
・排尿に時間がかかる

など尿に関するトラブルは男性の場合、50歳を過ぎたころから増えてきます。

尿トラブルの原因は「前立腺肥大症」がよく知られていますが、前立腺肥大症に伴って起こることの多い「過活動膀胱」も近年問題視されています。

中高年男性の尿トラブルの原因となる「前立腺肥大症」と「過活動膀胱」の症状や治療について4回にわたってご紹介いたします。
1回目の今回は前立腺肥大症についてご紹介いたします。

中高年男性の尿トラブルの症状と治療について

前立腺肥大症について

前立腺は膀胱の出口に近い場所に、尿道を取り囲むようにしてある男性特有の生殖器官で、排尿や射精をコントロールする働きをしています。

前立腺肥大症はこれまで、その名のとおり、前立腺が肥大し、尿道を物理的に圧迫することによって起きる病気と考えられてきました。
しかし近年では、前立腺の大きさと症状が必ずしも一致するとは限らないということがわかっています。

前立腺がそれほど肥大していないのに強い症状が現れている場合もあれば、前立腺がかなり肥大しているのに何の症状も感じないという場合もあるのです。

そのため、前立腺の大きさにかかわらず症状があれば、前立腺肥大症と診断され、治療が行われるようになっています。

中高年男性の尿トラブル 前立腺肥大症

気になる症状は医師に相談を!

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あなたの排尿状態をチェックしよう!

これまで7回にわたって前立腺肥大症の症状や検査、治療方法などご紹介してきました。

第1回:前立腺肥大症とは
第2回:前立腺肥大で見られる症状
第3回:前立腺肥大症の検査
第4回:前立腺肥大症の薬物療法
第5回:前立腺肥大症の手術
第6回:日常生活で注意したいこと

本日は、病院を受診しようか悩んでいる方にオススメのチェックシートをご紹介します。

国際前立腺症状スコア(IPSS)とQOLスコア

下記の表の最初の質問は、国際前立腺症状スコア(IPSS)といって前立腺に関係する症状を点数化して、重症度などをチェックするための質問表です。

2つ目の質問は、QOLスコアといって前立腺肥大症の症状がどのくらい生活に支障をきたしているかを調べるための質問表になります。

まずはあなたの今の症状を確認してみましょう。

前立腺肥大症 チェックシート

↑画像クリックで拡大表示されます↑

チェックシートの結果からわかること

チェックをつけた数字の合計で現在の状態がわかります。

国際前立腺症状スコア(IPSS)の結果


7点以下:軽度症状
8~19点:中等度症状
20点以上:重度症状

中等症・重症の点数の方は、早めに泌尿器科医師へご相談ください。

また、合計点数が低く軽症の場合でも、とびぬけて点数が高い項目がある場合は、一度検査を受けることをオススメいたします。

QOLスコアの結果


1点以下:軽度症状
2~4点:中等度症状
5点以上:重度症状

QOLスコアの点数が高い場合は、ご自身の現在の排尿状態に満足されておらず、つらいと感じている状態です。IPSSスコアの点数が低くても、一度医師にご相談ください。

病院を受診される際は、等チェックシートを印刷したものを担当医師に見せ、ご相談ください。

前立腺肥大症になったら日常生活で注意したいこと

前回のブログで前立腺肥大症の手術について説明致しましたが、前立腺肥大症になってしまった時に、日常生活で注意したい点をご紹介いたします。

日常生活で注意すべきこと

前立腺肥大症は、日常生活を少し工夫するだけで、症状をある程度軽くできる可能性があります。

日頃から排尿状態を悪化させない生活習慣を心がけましょう。

前立腺肥大症 日常生活 注意すべきこと 予防 改善

前立腺肥大症の手術

前回のブログで前立腺肥大症の薬物療法について説明致しましたが、今回は前立腺肥大症の手術についてご紹介します。

前立腺肥大症の内視鏡手術

症状が重い場合や、お薬を服用しても効果が不十分な場合に、手術療法(内視鏡手術など)が行われます。

内視鏡手術

前立腺肥大症 治療 内視鏡手術 TRUP

当院で行っている手術

HoLEP(ホーレップ)治療

HoLEP(ホーレップ)とは、レーザー光を用いた治療方法で、痛みや出血が少なく、患者さんの体に負担がより少ない前立腺肥大症の治療方法です。

また、肥大した前立腺の残存組織が少ない為、再発の可能性もほとんどなく、患者さんへのメリットが大きい治療方法です。

前立腺肥大症 治療 内視鏡手術 HoLEP

前立腺肥大症 治療 内視鏡手術 HoLEP

前立腺肥大症 治療 内視鏡手術 HoLEP

HoLEPについてはこちらのページで詳しく説明しております。

神楽岡泌尿器科の設備はこちらからご確認いただけます。

[男性]前立腺肥大症による過活動膀胱

突然の尿意や頻尿などの症状を伴う過活動膀胱。その原因はさまざまですが,高齢男性で最も多い原因は前立腺肥大症です。今回は,前立腺肥大症とはどのような病気か,なぜ前立腺肥大症が過活動膀胱をもたらすのか,をご紹介いたします。

前立腺肥大症とはどのような病気ですか?

前立腺肥大症とは

前立腺が肥大し,尿道を圧迫することにより起こる病気(尿のトラブル)です。

前立腺は膀胱の下にあり,尿道を取り囲むような形をした臓器です。前立腺が大きくなったり,前立腺の筋肉が過剰に縮まって尿道が圧迫されるために,「尿が出にくい」といった症状が起こります。

前立腺肥大症とは

尿道の圧迫が続くと,膀胱が勝手に縮みやすくなるために,「トイレが近い」「もれそうで我慢できない」などの症状も起こってきます。

前立腺肥大症は,トイレが近いことに悩む高齢男性に,最もよくみられる病気です。

前立腺が尿道を圧迫する2つの理由

では,なぜ前立腺が過活動膀胱をもたらすのでしょうか。その理由は大きく2つに分けられます。

1.前立腺が大きくなり,尿道を圧迫している

前立腺が大きくなり 尿道を圧迫している

2.前立腺の筋肉の過剰な収縮により尿道が圧迫されている

前立腺の筋肉の過剰な収縮により尿道が圧迫されている

おわりに

今回は,前立腺肥大症とはどのような病気か,前立腺肥大症はどのようにして過活動膀胱をもたらしているのか,についてご紹介いたしました。

前立腺肥大症の薬物療法

前回のブログで前立腺肥大症の検査について説明致しましたが、今回は前立腺肥大症の薬を使った治療方法についてご紹介します。

前立腺肥大症の薬物療法

前立腺肥大症の治療は、多くの場合、お薬による治療(薬物療法)から開始します。

前立腺の大きさ(30ml以上)や症状によってはお薬を組み合わせて使うこともあります。

仕様する薬の種類

5α還元酵素
阻害薬
前立腺肥大症の発症と進行に関わっている男性ホルモンを減らして、肥大した前立腺を小さくするお薬です。
(性機能系に与える副作用は少ないといわれています)

α1受容体遮断薬
(α1ブロッカー)
「前立腺と尿道の筋肉の緊張」をゆるめて、尿を出しやすくするお薬です。

抗男性
ホルモン薬
男性ホルモンの作用を抑えて、肥大した前立腺を小さくするお薬です。

漢方薬
植物エキス製剤
など
前立腺の炎症をおさえたりして、前立腺肥大症の症状を和らげるお薬です。

抗コリン薬「膀胱の筋肉の緊張」をゆるめて、頻尿を抑えるお薬です。

※:適応症は「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁」です。

前立腺肥大症 薬物療法 薬による違い 効き方

前立腺肥大症 薬物療法 症状による薬の違い