全3回に分けてご紹介する、便秘ケアの実践ガイド。
最終回となる今回は【正しい排便習慣の確立のために】についてご紹介します。
【過去記事一覧】
①食生活の見直し
②運動療法・マッサージ
③正しい排便習慣の確立のために
朝食をとり、食後の排便を習慣づける
朝食を食べることは、排便習慣の確立にとても大切です。
食事が胃の中に入ると、その刺激が脳に伝わり脳から大腸に信号が送られて結腸に蠕動運動が起こります。
これにより便が結腸から直腸に送り込まれ、その刺激が脳に伝わって便意を感じます。
特に朝食前は空腹の時間が長く刺激を受けやすくなり、自宅で排便できる環境も整っているためリラックスして排便できることも利点の一つと言えます。
便意があったら逃さずトイレに
便意を感じてもすぐにトイレに行かず我慢を繰り返していると、直腸肛門反射が弱まり難治性の便秘につながる可能性があります。
便意を感じたら排便を我慢せず、すぐにトイレに行くようにしましょう。
外出時に排便時間を確保するのが難しい場合は、朝リラックスする時間を作り排便習慣を持つように心がけることが大切です。
体を冷やさない
体の冷えは腹部の血行を悪くして、消化器の働きを低下させる原因になります。
対処法としては「使い捨てカイロを使う」「冷たい物を食べ過ぎない」「薄着を避ける」「ぬるめのお湯にゆっくりつかる」などがあります。
湯船につかって腹部を温めることは、おなかの張りや痛みなどの症状改善にも役立ちます。
排便姿勢:ロダンの考える人のポーズで
スムーズに排便するには「正しい排便姿勢」をとることも大切です。(図1)
正しい排便姿勢をとるポイントは、ロダンの「考える人」のポーズのように、①前かがみになり、②足先は床につけて、かかとを少し上げることです。
このポーズをとることで直腸と肛門の角度(直腸肛門角)が広がり、腹筋に力が入りやすくなります。
(図1)正しい排便姿勢
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など