過活動膀胱の治療とチェック方法を泌尿器科が徹底して教えます

泌尿器科である当院では、過活動膀胱に悩む方もよくいらっしゃいます。

急な強い尿意に襲われるようになったり、頻尿になったりと日常生活に支障が出る過活動膀胱は、薬による治療や生活習慣の改善・トレーニングで症状の改善が見込まれます。

しかし、正しい治療方法を行えていなかったり、そもそも泌尿器科を受診するのが恥かしく自身が過活動膀胱かどうかもわかっていなかったりする状態の方も多いです。

そこで、まずは排尿トラブルのスペシャリストである泌尿器科が、過活動膀胱の治療とチェック方法を解説いたします。

まずはご自身がどのような状態なのかを確認してみましょう。

 

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療は主に、薬物治療・行動治療です。

  • 薬物治療・・・内服薬による治療で症状を軽減する治療。
  • 行動治療・・・生活改善や骨盤底筋トレーニング・排尿訓練を行い、症状を軽減する治療。

それぞれ、具体的な治療内容を解説します。

 

薬物療法

過活動膀胱になった場合、日常生活に支障がある我慢できないほどの急な尿意や頻尿などの症状が続くことになります。

症状を抑えるため、膀胱により多くの尿を溜められる薬で治療を行うことがほとんどです。

 

行動治療

行動治療は、薬物療法と併用をすすめられます。

行動治療を行わなければ、薬物治療で症状を和らげられたとしても薬を飲まなくなると再発する可能性が高いです。薬を使用せずとも症状を軽減し、再発予防を行うようにするためには行動治療により生活改善を行い、トレーニングで膀胱・骨盤底筋群を鍛える必要があります。

膀胱訓練では、膀胱にしっかりと尿を溜められるようにする訓練。骨盤底筋トレーニングとは、排尿に関係する骨盤底筋を強化することにより、尿道を締め、尿漏れの軽減を目指す訓練です。

 

過活動膀胱の方が行ってほしい生活改善リスト
  • 水分やカフェインをとり過ぎない。
  • 早めにトイレに行くようにする。また、外出時にはトイレの場所を確認する。
  • トイレが近くにあるように生活空間を工夫する。また、必要に応じてポータブルトイレや採尿器を準備する。
  • トイレですぐに排尿できるような服を選ぶ。
膀胱訓練方法

尿意が生じても我慢することで、間隔を延ばす訓練。短時間から始め、徐々に15〜60分単位で延長します。最終的には2〜3時間の排尿間隔が目標。

骨盤底筋トレーニング(女性の場合)
  1. あおむけ、椅子に座る、机に手をつくなどの姿勢で行う。
  2. 膣と肛門を5秒間ギュッと締め、10秒間緩める。これを5回行う。
  3. 膣と肛門を締める⇔緩めるを早いペースで5回繰り返す。
  4. 2~3を1セットとして、1日10セット行う。

 

過活動膀胱のセルフチェック方法

過活動膀胱かどうかチェックするためには、頻尿がどうして起こっているのか自身で知らねばなりません。

過活動膀胱では、通常尿意を感じないはずの尿量しか溜まっていなくとも、強い尿意を感じます。しかし、しっかりと尿が溜まっているにも関わらず頻尿になっている場合は、別の疾病の可能性も。

頻尿の原因を知るには、排尿日誌をつけて、排尿状況を把握しましょう。

排尿日記とは、1日のうちでトイレに行った時刻・排尿の有無・尿意・尿の量・水分摂取量などを記録できるシートのことです。

排尿日記のテンプレートはPDFデータで用意しているため、ぜひ使ってみてください。計量には350mlの缶ビールや上部を切ったペットボトルなどの代用もおすすめです。

 

排尿日記テンプレートPDFデータ

 

もし、頻尿の原因が、過活動膀胱の可能性が高いと疑っている方は、過活動膀胱の診療診療ガイドラインによって作られたチェックリストを使用すると、過活動膀胱かのチェックや重症度も把握できます。排尿日記の他にも、チェックリストでのチェックも行ってみると良いですね。

過活動膀胱の診療診療ガイドラインが知りたい方におすすめの記事はこちら。

 

過活動膀胱の治療薬

過活動膀胱の治療薬には、膀胱におしっこを溜められる効果が期待できる抗コリン薬が使われることが多いです。

抗コリン薬が他治療薬の飲み合わせが悪いなどの理由で使用できない場合は、β3アドレナリン受容体刺激薬を選択することもあります。

薬には副作用が少ないものを選択しますが、口内乾燥・便秘などの副作用がでてしまうこともあるため、医師・薬剤師の説明を聞いたうえで適切な量の使用を心がけてください。

 

過活動膀胱の予防

過活動膀胱の予防には骨盤底筋トレーニングがおすすめです。排尿トラブルは骨盤底筋群が原因となることが多いため、骨盤底筋トレーニングを行うことで頻尿・尿漏れを予防しましょう。

生活の中でこまめに行っていくことで過活動膀胱の予防に役立ちます。

 

骨盤底筋トレーニングの基本
  1. あお向けで横になり、両足を肩幅程度に開いて、両ひざを軽く立てる。
  2. 尿道・肛門・膣をきゅっと締めたり緩めたりを、1秒ずつ15回程度繰り返す。
  3. ゆっくりぎゅうっと締めて3秒間ほど静止し、またゆっくり緩めます。この行動を2〜3回繰り返し、締める時間を少しずつ延ばしていきます。
  4. 手順1〜3を1回5分程度から始めて、10〜20分までだんだん増やしていく。

 

骨盤底筋トレーニングの基本を習慣化出来たら次は応用編です。じつは、骨盤底筋トレーニングは家事の合間や出勤途中の電車でも行えます。

トレーニング方法を知りたい方は『自宅でできる過活動膀胱に効く骨盤底筋トレーニング!テレビをみながらできる方法も紹介します』で確認してみてください。

 

まとめ

過活動膀胱の治療とチェック方法について解説しました。

まずは自分の身体の状況を把握するためにも「排尿日誌」をつけることをおすすめします。

自分の尿を知ることで治療の手立てになっていきます。

しかし、どうしても症状が軽減しなかったり、受診も忙しかったり、恥かしかったりで出来ていない方には、無料メール相談窓口も用意しているため、お気軽にお問い合わせください。

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また、著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。

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著者:渋谷秋彦

 

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