医師に聞いた!頻尿の治療薬は何が効果的?処方薬から市販薬まで紹介

頻尿は生活に支障がでるので治療となると効果的なのが「薬」ですよね。

薬と一概にいっても、市販薬・処方薬・漢方など様々。

今回は、泌尿器科がそれぞれの薬の違い、頻尿を根本的に改善する方法について紹介します。

頻尿の改善に役立つヒントとしてぜひ参考にしてみてくださいね。

 

一般的に病院で処方される「頻尿の治療薬」

頻尿に関する治療薬は市販の薬もたくさん登場しています。

現在の頻尿用の治療薬は、非常に効果がよく、患者さんの負担も少ないのが特徴的です。

頻尿は様々な病気の症状として現れ、原因に合った薬を選択する必要があります。

主に、処方される薬は以下のようになります。

  • 抗生物質・・・尿道・膀胱などの感染症が原因で頻尿になった場合に使用されることが多い。
  • 抗コリン薬やβ3刺激薬・・・過活動膀胱で、膀胱が過剰に収縮することで頻尿になっている場合に使用されることが多い。
  • α1受容体遮断薬・・・前立腺肥大症や尿道括約筋の緊張が原因で排尿に圧力がかかる結果、膀胱が過緊張になって頻尿になっている場合にに使用されることが多い。前立腺に対しては他にも、5α還元酵素阻害薬・抗男性ホルモン薬などが処方される場合もある。
  • 漢方・・・心因性・体質、東洋医学的原因が頻尿を引き起こしている場合、漢方が使用されることがある。

これらは、頻尿を起こしている原因を薬で緩和させ頻尿の改善に導いていきます。

 

先生が回答!市販薬で頻尿は改善するの?

市販薬の中には、頻尿の症状を抑えられて副作用の小さい良い薬が市販で出ているため、頻尿の症状が緩和することもあるでしょう。

飲むこと自体は自由ですが、一時的に市販薬を飲むだけでは根本的な頻尿は治らないケースが多いです。

市販薬には頻尿に対してどのような効果があるのかみていきましょう。

例えば、よくある市販薬「八味地黄丸」が入った薬の場合。

八味地黄丸は漢方の一種で、水分代謝・血液循環を改善することで、加齢・筋力低下などが原因で低下していた身体機能を回復させる効果が期待できます。

全身の血液の流れが良くなると、当然膀胱にも血液が巡ります。血液が巡って筋肉が温かくなった膀胱は収縮・膨張がしやすくなり、おしっこを多く溜められるようになる方も多いです。

身体機能が低下していることで、頻尿が起きていた場合は八味地黄丸で頻尿が良くなるケースもあるでしょう。

 

本気で頻尿を治したいなら薬と「排尿トレーニング」の併用が効果的

頻尿には様々な原因があり、その多くは患者さんの生活習慣によるもの。その場合、治療薬で一時的に改善してもまた頻尿のある生活に逆戻りする可能性があります。

本気で頻尿を治したいなら薬に加え「排尿トレーニング」が効果的です。

泌尿器科院長である渋谷がすすめるのは、「快感オシッコトレーニング」。

快感オシッコとは、いきまないで自然に奔流させるおしっこの仕方のことです。

小さい頃から身についた排尿の不自然な習慣を繰り返すことで、中高年になりおしっこに関するトラブルに悩まされます。その習慣を改善していくトレーニングのことをいいます。

私は神楽岡泌尿器科を開業して15年以上になりますが、現場で様々な患者様を診ていく中で、この考えにたどり着きました。

ここでは、おしっこの悩みを解決に導くためのトレーニングをご紹介します。

排尿は、誰から教わることなく覚えていくため、独自の排尿の仕方があります。

 

快感オシッコトレーニング①水分摂取を意識して、チビチビと飲む

頻尿に悩んでいる方にまず挑戦してほしいトレーニングは、1日2リットルの水分摂取です。頻尿の方は水分摂取を避けがちですが、尿路である「尿管→尿道→膀胱」の健康を保ち、膀胱を鍛えて頻尿を抑えるためには、1日2リットルの水分摂取が大切です。

しかし、1日2リットルもの水分を取るのは量が多く、習慣化されるまでは難しいでしょう。

そこで、おすすめしたい方法は、一般的なマグカップの容量約200mlを10時間かけて2リットル飲む方法です。

例えば、デスクワークの仕事をしている人であれば、一つの作業が終わるたびに一口飲むというように習慣づけたり、外回りの仕事をしている人は、500ccのペットボトルを1日かけて4本飲み終えたりするイメージです。

1時間に200ml飲めば、日中10時間で2リットル飲水ができます。

夜間に水を飲んでしまうとトイレのために夜目を覚ましてしまうため、日中で飲み終わるのがポイントです。10時間かけて2リットルの水分を摂取することは、決して簡単なことではありません。できるところから無理せずすすめてくださいね。

渋谷先生の一口メモ

頻尿を治したいがあまり、水を3リットル4リットルと、大量に飲みすぎる方もいらっしゃいますが、健康には逆効果です。腎臓が水分調整できなくなり、「水中毒」の状態になってしまうため、命に係わるほど危険な状態になります。1日2リットルを心がけてください。

 

快感オシッコトレーニング②:しっかり溜めてから出す

2つ目の快感オシッコトレーニングは、おしっこをしっかり溜めてからトイレに行く習慣をつけることです。

個人差は当然ありますが、人の膀胱の最大尿量は約500ml程度で、尿意を感じ始めるのは約150ml程度と言われています。快感オシッコの方は、1回300mlで1日6〜7回、約2リットルのオシッコがでます。

ところが、頻尿の方は100~200ml程度膀胱に溜まる前にトイレに行ってしまいがちです。さらに厄介なことは、誰もが「しっかり我慢してからトイレに行っている」と思っていることです。

それは当たり前のことで、自分がしているオシッコの量が300mlか100mlかなんて、見当もつかないですよね?私も何mlのオシッコを出しているか答えろと言われても難しいでしょう。

そこでおすすめの方法は、350mlのビール缶の蓋を切り、自分がどれだけオシッコを出しているかチェックする方法です。もちろん、ペットボトルを切って使ってもいいですし、計量カップを買っても問題ありません。

大切なことは、自分が「しっかり溜めてオシッコをしている」と思って出したオシッコが、何mlなのかを確認することです。

毎日のオシッコ量を確認するには、排尿日記がおすすめ。排尿日記のテンプレートはPDFデータで用意しているため、印刷してお使いください。

 

排尿日記テンプレートPDFデータ

 

医師であれば、3日間分の排尿日記をみれば尿状況が把握できるといわれるほど、重要な項目が記載されているため、ぜひまずは3日間排尿日記を漬け、自身のオシッコ量を確認してみましょう。

 

快感オシッコトレーニング③:いきまないでする快感オシッコ

頻尿の方は、オシッコが十分に膀胱に溜まっていない状態でトイレに行ってしまいがちです。その際、オシッコがたまっていない膀胱は膀胱内に圧力がかかりにくいためいきまなければなりませんが、実はそのいきみが頻尿につながってしまっています。

「いきんでオシッコをしているつもりはないよ」と多くの方は思っているかもしれませんが、100・200mlしかオシッコが出ていない方は、自然にいきんでしまっている可能性が高いです。

いきんでオシッコをしている自覚がない方は、試しに十分にオシッコを溜めてからトイレに行き、歌を歌ったり、新聞や雑誌を朗読しながらおしっこをしてみてください。それができたら、「いきまないオシッコ」です。

いきむと呼吸を止めて下腹部に力を入れてしまうため、いきむと歌ったりしゃべったりはできません。

快感オシッコの習慣を身に着け、頻尿に向き合っていきましょう。

渋谷先生の一口メモ

頻尿は男性・女性関係なく、悩みを抱えている方が多くいらっしゃいます。しかし、特に女性は骨盤底筋のゆるみから頻尿になっている可能性もあるため、骨盤底筋体操をおすすめします。「女性の予防と治療」で体操を紹介しているため、ぜひ行ってみてください。

頻尿事例紹介記事

 

まとめ

神楽岡泌尿器科の院長の渋谷が、頻尿の治療薬について解説しました。

薬も効果的かもしれませんが、一緒に排尿トレーニングに取り組んでいくことも頻尿を治すためには重要です。

ぜひ、試してみてくださいね。

こちらの著書ではより詳しく「快感オシッコトレーニング」ついてお知らせしているため、本でもおしっこについて学びたい方はぜひご覧ください。

気持ちいいオシッコのすすめ』 

著者:渋谷秋彦