【泌尿器科医が解説】尿路結石の石を早く出す方法|痛みを和らげる対策も紹介

「突然の激痛」という言葉で表現されることもある尿路結石。経験したことがある方にとっては、その苦しみは忘れがたいものです。

腎臓で生成された小さな結晶が、尿の通り道である尿路に詰まることで引き起こされるこの病気は、日常生活に大きな支障をきたします。

「一刻もも早くこの痛みから解放されたい」「石を早く体外に出す方法はないのだろうか」と切実に願う方も少なくないはずです。

本記事では、泌尿器科医の視点から、尿路結石の石を早く出すための方法について詳しく解説します。自然に排出を促すための方法から、医療機関での専門的な治療法まで、あなたの疑問や不安に寄り添い、具体的な対策をご紹介していきます。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。尿路結石に対して不安や悩みがある場合は、お気軽にご連絡ください。

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「尿路結石の石を早く出す方法」はある?

そもそも尿路結石とは、腎臓で作られた尿が排出されるまでの通り道である尿路に結石が引っかかることで、痛みなどの症状を引き起こす病気の総称です。

そんな尿路結石を早く体外に出す方法は、結石の種類、大きさ、そして存在する場所によって異なりますが、主として「自然排出を促す」と「医療機関での治療」の2パターンが挙げられます。

結石の大きさによる目安
5mm以下の結石薬物療法と水分摂取、適度な運動を中心とした自然排石を試みます。
5mm~1cmの結石状態や症状、位置などにより、薬物療法を中心とした経過観察か、砕石治療を行うかが検討されます。
1cm以上の結石砕石治療が主な治療法となります。

①自然排石を促す(主に10mm未満の尿管結石が対象)

一般的に、10mm以下の尿管結石の約3分の2は1ヶ月以内に自然排石されると言われています。

しかし、1ヶ月以上経過しても自然排石が見られない場合は、腎機能の低下や感染のリスクを考慮して、積極的な治療(体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡による砕石術など)が検討されます。

方法1:十分な水分補給をする

1日に2リットル以上を目安に、水またはシュウ酸含有量の少ない麦茶などを積極的に飲み、尿量を増やして結石の排出を促します。ただし、適切な水分量は医師に相談しましょう。

方法2:運動をする

縄跳び、階段降下、ジャンプなど、重力がかかる運動は結石が下りてきやすくなる可能性があるといわれています。

▶【重要】尿路結石の石を早く出すポイントは「水分」!

とにかく水分をたくさん摂る。これが最も重要です。1日に2リットル以上を目安に、こまめに水分補給しましょう。尿量を増やすことで、尿管内の結石が押し流されやすくなります。水やお茶(シュウ酸の少ない麦茶など)がおすすめです。

②医療機関での治療(自然排石が難しい場合)

方法1:薬物療法

医師の指示に基づき、痛みを和らげる鎮痛剤、尿管の痙攣を鎮める鎮痙剤、尿管を広げる排石促進剤、尿を出しやすくするα遮断薬などが用いられることがあります。

方法2:体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体の外から衝撃波を当てて結石を砕き、自然排出を促します。

方法3:経尿道的尿管砕石術(TUL)

内視鏡を尿道から挿入し、レーザーなどで結石を砕いて取り除きます。

方法4:経皮的腎砕石術(PNL)

皮膚から腎臓に穴を開け、内視鏡を挿入して結石を砕いて取り除きます。主に大きな腎結石に用いられます。

方法5:開腹手術

現在はほとんど行われませんが、ごくまれに選択されることがあります。

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尿路結石が出ない場合に考えられる要因まとめ

尿路結石が出ない場合に考えられることは、主に以下の要因が考えられます。

①結石の大きさや性状によるもの

 一般的に、結石が大きいほど自然に排出される可能性は低くなります。尿管の狭い部分を通過することが困難なため、途中で詰まってしまうことが多いです。

②結石の形状がギザギザしている

表面が滑らかでない結石は、尿管の壁に引っかかりやすく、移動しにくいことがあります。

③膀胱結石や尿道結石である

膀胱結石は、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの排尿障害を合併していることが多く、自然に排石されにくい傾向があります。尿道結石は、膀胱から排出された結石が尿道に詰まってしまう状態です。

④尿路の状態によるもの

尿管の狭窄や浮腫: 結石による炎症や過去の尿路感染、手術などによって尿管が狭くなっている場合、結石が通過しにくくなります。また、結石が尿管に詰まることで周囲に炎症が起こり、浮腫(むくみ)が生じてさらに通過を妨げることもあります。

⑤尿管の走行異常

まれに、尿管の走行が通常と異なっている場合があり、結石が移動しにくいことがあります。

⑥生活習慣の影響

水分摂取量が少ないと尿量が減り、結石を押し出す力が弱まります。また適度な運動は結石の移動を助けることがありますが、運動不足だとその効果が得られにくいことがあります。

まとめ

今回は、尿路結石の石を早く出すための方法と、なかなか石が出ない場合に考えられる要因について、泌尿器科医の視点から解説しました。

結石の大きさや状態によって最適な方法は異なりますが、十分な水分補給は自然排石を促す上で最も重要であり、あらゆる対策の基本となることをご理解いただけたかと思います。

もし、ご自身が尿路結石の症状でお悩みの場合や、なかなか石が出ずに不安を感じている場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診し、専門医の診断と適切なアドバイスを受けるようにしてください。医師は、あなたの状態に合わせた最適な治療法を提案し、痛みの緩和や早期の結石排出をサポートしてくれます。

この情報が、尿路結石による苦痛から一日も早く解放されるための一助となれば幸いです。

神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。尿路結石に対して不安や悩みがある場合は、お気軽にご連絡ください。

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