男性のおしっこが痛い理由は、尿道・前立腺の炎症が原因となることがほとんどですが、前立腺肥大症や尿路結石なども考えられるため、一概には言えません。
ただ、どのおしっこが痛い理由にもほぼすべて病名がついており、痛みを感じたら病院受診することをおすすめします。
とはいっても、どんな病気の可能性があるのか全く分からなければ、ただ怖いだけだと思います。おしっこが痛い理由がわからず不安に押しつぶされる前に、神楽岡泌尿器科院長の渋谷が「おしっこが痛い原因」を症状別に解説します。
【男性編】おしっこが痛い理由を症状ごとに解説
男性は尿道が長いため、「おしっこをすると痛い」と自覚症状のある方が多いですが、本当に痛みだけでしょうか?
もちろんおしっこをするときに痛みが強いという方もいらっしゃいますが、「痛み+α」でなにかしら症状がある方も多いです。というのも、症状がおしっこの痛みだけの病気というのは少ないんです。
おしっこの痛み+αで、どんな病気が考えられるのかを解説します。
おしっこが痛い+膿がでる=淋菌性尿道炎の可能性
おしっこの痛みがである最も多い理由は、尿道での炎症です。男性は尿道が長いため細菌は入りにくいのですが、性行為を行うと性感染症が原因で尿道炎を起こしてしまいます。
特に、「おしっこの痛み+黄白色の膿がでる」症状は、淋菌性尿道炎になっている可能性が高いです。
性交以後におしっこの痛みがあり、さらに下着に膿がついている場合は要注意です。
おしっこが痛い+性行為をした後から痛みがある=クラミジア尿道炎、マイコプラズマ尿道炎の可能性
性行為をした後からおしっこに痛みが出ている方でも、「膿はないから感染症じゃない!」と思っている方も多いでしょう。しかし、実は透明なだけで膿がおしっこに混ざっている可能性もあります。実際、クラミジアやマイコプラズマ性尿道炎の場合、膿は目立ちません。
クラミジア・マイコプラズマという菌も尿道で炎症を起こす性感染症として有名ですが、おしっこに痛みがなく膿も透明で見た目ではわからない場合もあります。パートナーがもし痛み・膿がある場合は「もしかしたら自分も…」と受診を視野に入れましょう。
おしっこが痛い+頻尿+熱が出る=急性前立腺炎の可能性
おしっこが痛いうえに、水分を摂っていないにも関わらずトイレに何回も行ってしまう方は、急性前立腺炎が考えられます。さらに、熱が出るようになれば、可能性は非常に高くなるでしょう。
おしっこで痛みが出る原因は、尿道を覆うようにある前立腺が炎症を起こして腫れることで、おしっこの際に尿で膨張した尿道が前立腺を押し上げるためです。腫れた前立腺は尿道を圧迫しているため頻尿にもなりやすく、細菌感染による発熱する場合もあります。
重症になると入院の必要も出てくるため、頻尿だけでなく発熱+おしっこの痛みがある際にも早期受診が必要です。発熱といっても、微熱の方も居れば38度異常の高熱が出る方もいらっしゃるため一概には言えませんが、症状が薄くても自己判断せずに病院に行き早期発見を心がけましょう。
一般的に男性は女性よりも尿道が長いため細菌感染しにくいのですが、1度尿道内に細菌が入ると膀胱よりも手前にある前立腺が炎症を起こすため発熱し、前立線が腫れることで頻尿につながります。
「仕事を休むほどではないから…」と放置していると、前立腺だけでなく全身に炎症が広がってしまい、重症になる可能性も十分に考えられるでしょう。
おしっこが痛い+下腹部の痛みや不快感+射精時の痛み=慢性前立腺炎の可能性
慢性前立腺炎は、前立腺が腫れるだけでなく骨盤内にある臓器全体が血流障害・虚血となることで発症するため、ふとしたタイミングで痛みを感じ、さらにおしっこ・射精時に痛みが強くなります。
骨盤内の臓器がうまく機能しないために発症する病気と言えるでしょう。
炎症と聞くと細菌が感染しているのか?と思われる方も多いと思いますが、細菌感染をしていない方が当てはまる病気です。座り仕事が多い男性に多くみられます。
おしっこが痛い+頻尿+おしっこが長い=前立腺肥大症の可能性
前立腺肥大症は痛みが出ない場合も多いですが、男性は50歳を超えると発症するリスクが高くなるため、50歳以上の方はおしっこが痛くなる要因の1つになるでしょう。前立腺が肥大化すると尿道が押しつぶされるため、おしっこで痛みを感じることがあります。
おしっこに痛みのほかにも、前立腺肥大症の症状は様々あります。
- おしっこに勢いがなくなった
- トイレが近い
- 夜にトイレに目が覚めることが多い
- トイレに間に合わないことが増えた
- おしっこの切れが悪い。
- トイレに行ったばっかりでも、おしっこが残った感じがする
おしっこの痛みが無くても、日常生活に支障が出る症状がたくさんあるため、おしっこに関する生活の不便・困ったことがあった際は1度泌尿器科を受診してみてください。おしっこがポタポタと落ちて下着やズボンが汚れたり、夜にトイレで何回も起きたりすると、日々の生活に制限がでてしまいがちです。
前立腺肥大症の場合、症状が悪化する前の早期受診・生活習慣の改善がポイントになります。
おしっこをすると激痛=尿路結石の可能性
尿路結石といえば、救急車を呼ぶこともあるほどの激痛を想像される方も多いでしょう。実際、尿路結石は腎臓から出てきた後に尿管→膀胱→尿道を通る最中に詰まることで、激痛が生じます。
大きな尿路結石の場合は動きが少ないため痛みが少ないと言われていますが、それでも激痛が走りますし、大きな尿路結石が詰まっていると腎臓で作ったおしっこが流れ出ずに水腎症になってしまう場合があるため、放置するにしても痛みや今後の身体の異変が恐ろしい病気です。
おしっこに痛みがある場合は程度や他症状の有無に限らず、病院を受診しましょう。
おしっこで痛みがある方の検査
おしっこが痛いといっても、基本的には「尿検査」でほとんどのことがわかります。
尿をみて異常があれば、超音波検査、血液検査、CTやレントゲンなどの追加の検査を行います。
なんでこの症状が起きたのか原因を追求するために病院にきてみてください。きて検査しないとわからないのです。
よく病院に来る前に「何されるのか不安」と予防線をはりながらいらっしゃる人もいますが、原因を一緒に探すために医者である私たちがいます。
安心して自分の体と向き合いましょう。
まとめ
おしっこが痛い理由は様々ありますが、痛い+もう一つの症状で原因が異なります。
少しでも痛みを感じたら早めに病院に行き、正確な判断の元で早期発見・早期治療を行いましょう。
監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール
1961年(昭和36年) | 旭川生まれ |
1980年(昭和55年) | 道立旭川東高等学校 卒業 |
1988年(昭和63年) | 札幌医科大学 卒業 |
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
私は泌尿器科院長をしており、腸活によって得られる便秘解消作用と健康には深いつながりがあると考えています。
腸活と健康との関わりについての考えを『泌尿器科院長がなぜ「腸活」にこだわるのか?便と尿は健康に密接に関係している』でまとめているため、知りたい方はぜひご覧ください。
出版年数 | 著書・メディア掲載 |
2014年 5月15日 | |
2016年 5月10日 | |
2016年 10/27号 |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など