近年,患者数が世界的に増加している性感染症「クラミジア感染症」。その恐ろしさは,気づかない間に感染が進んでいくということです。今回はクラミジア感染症とはどのような病気なのかをご紹介いたします。
気づかない間に感染が進んでいくクラミジア感染症
女性の間では約80%,男性の間では約50~60%の人が無症状のまま経過していく病気,性器クラミジア感染症。
感染から1~3週間で自覚症状が出てきますが,放置していくと様々な病気につながっていきます。
約80%の人は無症状
約40%の人は骨盤内に感染が進む
そのうち,
約20%の人は不妊症になる
約15~20%の人は下腹部の慢性痛が発生
約5~10%の人は子宮外妊娠を起こす
さらに男性の場合は,
約50~60%の人はほとんど自覚症状がなく,感染したことに気がつかない
エイズに感染する危険性が3~5倍も高くなる
といわれています。
では,クラミジア感染症とはいったいどのような病気なのでしょうか。
クラミジア感染症とは
現在,世界中で感染者が急増している「クラミジア・トラコマティス」という病原体。この病原体は性行為により性器粘膜で感染を起こします。
クラミジア・トラコマティスは,目の粘膜に感染するとトラコーマという結膜炎を起こしたり,妊娠時に感染すると乳児の呼吸器に感染して肺炎(クラミジア肺炎)を起こしたりします。
早期に治療しないと,不妊症,子宮外妊娠,流産の原因となります。また,エイズに感染しやすくなるとも言われています。
患者数は2.7倍に増加。日本だけではなく世界各地で大流行
性器クラミジア感染症は世界各地で大流行しており,「世界で最も患者数が多い性感染症」といわれています。
日本でも感染は広がっており,厚生労働省の調査によると,1998年から3年間で患者数が2.7倍に増えました。女性では85万人,男性では15万人に感染していると報告されています。
患者数は男性よりも女性に多い
クラミジア感染症は女性に患者が多く,15~19歳の一般女性では約15~20人に1人がクラミジア・トラコマティスに感染していると推定されています。
さらに,産婦人科に受診した女性の10人に1人の割合でクラミジア・トラコマティスに感染していたという報告もあります。
これらの女性の多くはクラミジアに感染していることを知らず,別の病気の検査や治療で産婦人科を受診していました。
痛みのない方法で検査は簡単にできます
無症状のまま放置してしまいがちなクラミジア感染症は,日本でも感染者が急増しています。医療施設でチェックしてもらうことが大切です。泌尿器科や産婦人科の専門医で,検査をしましょう。
なにか性器の違和感を覚えたら,すぐに泌尿器科か産婦人科を受診しましょう。全く痛くない検査方法があり,的確に診断できます。
神楽岡泌尿器科でも検査を行っておりますので,お気軽にお問い合わせください。
次回はクラミジア感染症の治療・予防方法についてご紹介します。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など