前立腺がんの内分泌療法について、これから7回にわたってご紹介していきます。
今回は、「内分泌療法がどのような治療方法か」をご紹介いたします。
Q内分泌療法は、どのような治療法ですか?
A前立腺がんの進行を止める治療法です。
男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌やはたらきを妨げて、前立腺がんの進行を止める治療法です。
内分泌療法には、精巣を摘出する方法(外科的去勢術)と、薬を用いて去勢と同じ状況を作り出す方法(薬物的去勢)の2通りがあります。外科的去勢は身体的・心理的影響が大きいことから、最近では薬による内分泌療法を受ける人が多くなっています。
前立腺がんの細胞の増殖には、アンドロゲンが深く関わり、「アンドロゲン依存性がん」と呼ばれています。アンドロゲンの多くは精巣で産生されるテストステロンで、副腎でも少し産生されています。
前立腺がんでは、アンドロゲンは前立腺細胞内にあるアンドロゲン受容体に結びつき、細胞増殖を指令します。このようにアンドロゲンの分泌やはたらきを抑制し、前立腺がん細胞の増殖を抑えるのが内分泌療法です。
アンドロゲンの種類
アンドロゲンにはいくつかの種類があります。
精巣で産生されるもの(95%) | 副腎で産生されるもの(5%) |
テストステロン | 副腎性アンドロゲン |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など