前立腺肥大の疑いがある場合、検査をすることになります。泌尿器科は普段通わない分、前立腺肥大の診断でどのような検査を行うか不安ですよね。性器を見せることに抵抗があるといった方も少なくありません。
そこで今回は、実際に神楽岡泌尿器科で行っている検査を事前に紹介することで、イメージを持ってもらい心の準備をしてもらうための記事を執筆しました。
少しでも病院への抵抗が無くなれば幸いです。
前立腺肥大の検査一覧
まず、前立腺肥大の検査でどのようなことを行うか、ざっくり見ていきましょう。
- 問診:患者さんが何に困っているかを把握する
- 自覚症状の評価をする:チェックシートで現状を把握する(医師が行う)
- 尿流検査:トイレ型の装置で尿の流れを見る
- 尿検査:顕微鏡で尿を見る
- 採血(血液検査):血液中の成分を調べる
- CT検査:CTを撮影して大きさを見る
(直腸内指診:肛門から指を入れ触診する)※神楽岡泌尿器科では初診でこの検査はしません。ごく稀に本人に自覚してもらうためなど必要に応じて触診する場合もあります。
- 排尿日誌:24時間以内の排尿状態を記録する
- 膀胱尿道鏡検査:内視鏡で膀胱や尿道内を見る
- 圧尿流検査(尿流動態検査):尿道カテーテルと生理食塩水で内圧を見る
- 血清クレアチニン測定:血液中の成分から腎機能障害を調べる
次の項目で詳しく見ていきます。
神楽岡泌尿器科で主に行う前立腺肥大の検査
ここでは、前立腺肥大の主な検査を紹介します。
問診
神楽岡泌尿器科では最初に問診を行い、患者さん自身が何に困っているのかを把握します。
前立腺肥大は症状に個人差があり、困り方にも個人差があります。一人ひとりに合う検査・治療を行うために、まずは困っていることを教えていただけると幸いです。
可能であれば、排尿日誌もつけていただくと、状態がわかりスムーズな治療に繋がります。
自覚症状の評価
上記はI-PSS(国際前立腺症状スコア)と呼ばれるもので、前立腺肥大の状態を自己評価できるものになっています。
神楽岡泌尿器科では、問診の段階で全て質問しているので、患者さんが自分でつけなくとも状態を把握できるようにしています。
もし現在通院で迷っている、自分がどの程度の前立腺肥大なのか知りたいという方は事前にご活用ください。それ以外の方は初診の問診でお話するので、チェックなしでOKです。
尿流検査
排尿の勢い、量、時間を計測する検査で、トイレ型の検査機器に排尿して検査します。特に難しい操作は無く、普段通り排尿していただければ測定できます。
他の病院ではやらないこともある検査ですが、神楽岡泌尿器科は快感オシッコを大切にしているので、検査を行い排尿時どこに問題があるかを見ていきます。
尿検査
紙コップに排尿し、尿を顕微鏡で見て検査します。濁りや血尿の有無、尿路感染症の有無などを検査し、膀胱炎など前立腺肥大以外の合併症が無いかを見つけるためにも行われる検査です。
泌尿器科の中ではやらない病院もありますが、神楽岡泌尿器科ではほぼ必ず行います。尿の状態を把握することが前立腺肥大の治療にも繋がるため、尿検査は重要になります。
採血(血液検査)
注射で血液を抜き、血液中の数値を検査します。前立腺肥大が進行すると、腎臓の機能が悪化することもあるため、重要な検査の一つです。
神楽岡泌尿器科ではまず、健康診断などで採血をした際のデータが無いかをお聞きします。データがある場合、他に必要な検査や患者さんの辛い部分がわかることもあるため、事前のデータが非常に重要になります。
CT検査
X線を用いて行う検査で、体を輪切りにした画像を見る検査方法です。前立腺がどこまで大きくなっているのか、他の部位を圧迫しているのかなどを判断するために行います。
最終的には今回紹介している検査はほとんど行いますが、まずは患者さんに負担の少ない検査や方法で行っていきます。
直腸内指診
肛門から指を入れ、前立腺を触診することで形や硬さ、痛みの有無を調べる検査ですが、神楽岡泌尿器科では初診でいきなりは触りません。その他の検査で前立腺肥大の状況がわかるので触らずに進むことが多いです。
もし、触診をする場合は、ご本人に症状を自覚をしてもらうためなど、どうしても必要な場合のみです。
前立腺肥大で必要に応じて行う検査
ここでは、通常の検査に加えて、医師が必要と判断した時に追加で行う検査について解説します。
排尿日誌
排尿日記は、あなた自身がつけるオシッコの日記であり、24時間以内の排尿した時刻、尿量を記録していきます。
排尿日記をつけることで、頻尿の原因の特定に繋がったり、昼と夜どちらが頻尿を起こしているのかなど対処すべき時間帯も明確になります。
神楽岡泌尿器科でもテンプレートを用意しています。無料で配布しているので、ぜひ一度使ってみてください。
膀胱尿道鏡検査
膀胱尿道鏡検査は、内視鏡を用いて、膀胱・尿道・前立腺部尿道を観察する検査方法です。痛みを伴う検査であるため、通常は手術前の検査や、薬物療法などで効果が見られない場合に行う検査になります。
圧尿流検査(尿流動態検査)
圧尿流検査は、尿道から膀胱にかけカテーテル(管)を挿入して、膀胱に生理食塩水を入れながら内圧を測定。膀胱が充満したら排尿して、膀胱の収縮圧と尿流を同時に測定する検査方法です。
この検査により、尿意が正常か、過活動膀胱が無いか、あなたの膀胱が貯められる尿量がどれくらいかがわかります。
血清クレアチニン測定
血清クレアチニン測定は、腎機能障害の有無を調べる検査です。血液検査の一種なので、必要があれば同時に調べられるものになります。
まとめ
今回は前立腺肥大の検査について解説しました。排尿でお悩みのことがあれば早い段階で受診しましょう。
当院では、薬だけでなく排尿習慣の見直しも積極的に行っています。今まで薬を飲んでいて、効果が薄かったという患者さんでも、排尿習慣を見直すことで症状が改善したというケースもありますので、一緒に普段のオシッコの場面から見直していきましょう。
また、根本的な改善したい方は、前立腺肥大症の日帰り手術も可能なので、もし通院前に不安なことがあれば、メールください。
【通院前に行っておくこと】
- 困っていることをまとめておく
- (可能であれば)排尿日誌をつけておく
神楽岡泌尿器科では、前立腺肥大に関する情報を多く掲載しています。患者さんが抱える悩みを中心に記事を書いていますので、あなたの悩みに合うものがありましたらご覧ください。
関連記事
前立腺肥大で血尿は起こりうる!泌尿器科が対処法を紹介
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など