前立腺肥大症が原因で過活動膀胱になる理由を泌尿器科が解説

排尿障害に悩む50代男性が、頻尿や尿漏れといった症状を抱えている場合、前立腺肥大症と過活動膀胱という2つの疾患が原因となっている可能性があります。

この記事では、前立腺肥大症が過活動膀胱を引き起こす理由と、これら2つの疾患の違いや治療法について詳しく解説します。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

前立腺肥大症が原因で過活動膀胱になる理由

前立腺肥大症は、主に50代以上の男性に多く見られる疾患で、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、排尿に関する問題が生じます。

この過程で、膀胱に余計な負担がかかり、頻尿や急な尿意を引き起こす「過活動膀胱」の症状が現れることがあります。これらの症状は、前立腺肥大症と過活動膀胱が密接に関連しているため、しばしば同時に発症します。

過活動膀胱は、膀胱の筋肉が過敏になり、正常な量の尿が溜まる前に強い尿意を感じることが特徴です。

前立腺肥大症により、尿の流れが滞ると、膀胱が無理に尿を排出しようとするため、結果的に過活動膀胱が引き起こされると考えられます。

このように、前立腺肥大症は過活動膀胱の一因となる可能性があるため、症状が重なることが少なくありません。

前立腺肥大症と過活動膀胱の症状の違い

前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症の主な症状は、排尿時に関連するものが多く、以下のようなものが挙げられます。

  • 尿が出にくい(排尿困難)
  • 尿の勢いが弱い
  • 排尿後の残尿感がある
  • 夜間頻尿(夜中に何度もトイレに行く必要がある)

これらの症状は、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、尿がスムーズに排出されなくなることが原因です。

特に排尿困難や夜間頻尿は、生活の質を著しく低下させることがあり、放置すると症状が悪化する可能性があります。

過活動膀胱の症状

過活動膀胱は、前述したように膀胱の筋肉が過敏に反応することが原因で、以下のような症状が見られます。

  • 頻尿(一日に8回以上トイレに行く)
  • 急な強い尿意(尿意切迫感)
  • 尿漏れ(切迫性尿失禁)

これらの症状は、尿量が少なくても急な尿意を感じ、場合によってはトイレに間に合わずに尿漏れが発生することが特徴です。前立腺肥大症と異なり、尿の出にくさは感じないことが多いですが、強い尿意に悩まされる点が過活動膀胱の特徴です。

前立腺肥大症と過活動膀胱の治療方法

前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症の治療は、症状の重さによって異なりますが、一般的には以下のような方法が取られます。

  • 薬物療法:前立腺肥大を抑える薬や、膀胱や尿道の筋肉をリラックスさせる薬が使用されます。これにより、尿の流れをスムーズにし、排尿困難を改善します。
  • 手術療法:薬物治療が効果を示さない場合は、前立腺を部分的に切除する手術が検討されます。この手術により、尿道の圧迫を解消し、排尿障害を軽減します。

前立腺肥大症のそれぞれの具体的な治療方法については以下の記事でも解説しています。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱に対する治療は、主に以下の方法が考えられます。

  • 薬物療法:膀胱の過敏な反応を抑える薬が処方され、頻尿や尿漏れを軽減します。
  • 行動療法:生活習慣の見直しや、トイレに行くタイミングを管理する「膀胱訓練」が推奨されます。また、カフェインやアルコールの摂取を控えることが効果的です。

過活動膀胱の具体的な治療方法については以下の記事でも解説しています。

まとめ

前立腺肥大症と過活動膀胱は密接に関連しており、50代以上の男性において両者が同時に現れることが少なくありません。

前立腺肥大症による排尿困難が過活動膀胱の原因となり得るため、症状が続く場合は早めに泌尿器科での診察を受け、適切な治療を開始することが大切です。

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