前立腺肥大症の薬「PDE5阻害薬」の効果と副作用を医師が解説

PDE5阻害薬とは、前立腺や膀胱の筋肉を弛緩させ、尿道を開くことで排尿症状を改善するお薬です。勃起不全の治療薬としても知られていますが、前立腺肥大症の治療にも効果が期待できます。

本記事では、PDE5阻害薬の具体的な効果と作用について、泌尿器科専門医が詳しく解説します。

PDE5阻害薬がどのように前立腺肥大症の症状を改善するのか、代表的な薬の副作用についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」

札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など

前立腺肥大症の薬「PDE5阻害薬」とは?

前立腺や膀胱の筋肉(平滑筋)の緊張を和らげる作用に関わるcGMPという物質は、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素によって分解されてしまいます。

このPDE5は膀胱、前立腺、尿道にも多く存在し、PDE5阻害薬を投与することで、cGMPの分解を妨げ、血管拡張作用により前立腺及び、膀胱や尿道の血流が改善されます。

また、前立腺及び膀胱の平滑筋を緩める作用もあるため、尿道が緩まり尿が出やすくなる効果も期待できるお薬です。

前立腺肥大症で処方される代表的なPDE5阻害薬「ザルティア」

ザルティアに含まれる有効成分「タダラフィル」には、前立腺や膀胱の筋肉の緊張緩和、血流の増加促進などの作用があります。 服用により尿道の締め付けが軽減され、排尿障害への改善が期待できます。

<用法・容量>

通常、成人は1日1回タダラフィルとして5mgを経口服用します。

<副作用・注意点>

主な副作用として、ときどき起こるのは頭痛とほてりです。これらは血管を広げる作用によるものと考えられ、症状がひどい場合は早めに受診し、医師または薬剤師とご相談ください。

PDE5阻害薬はED(勃起不全)治療にも使用される

PDE5阻害薬は、前立腺肥大症の治療だけでなく、ED治療にも使用されています。

前立腺肥大症を治療対象とする薬のザルティアに対し、ED治療では、シアリスという薬が用いられます。

シアリスは、バイアグラ(シルデナフィル)と同系統の国内3番目のED治療薬(PDE5阻害薬)です。服用後36時間まで勃起機能改善効果が認められています。

また、服用の食事に対する影響を受けないため、薬を飲む時間にそれほどこだわらず、長時間にわたり安定した効果が期待できます。

まとめ

PDE5阻害薬は、前立腺肥大症の症状改善に効果的な薬です。前立腺や膀胱の平滑筋を弛緩させることで、排尿障害を改善する効果が期待できます。

また、PDE5阻害薬はED治療にも使用されているため、勃起不全に悩んでいる方にも適した治療薬です。

PDE5阻害薬以外にも、前立腺肥大症の薬や治療法は様々です。 症状や体質に合わせて、最適な治療法を選択しましょう。

当院では、院長の渋谷先生へのメール相談も随時受け付けています。前立腺肥大症の症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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