前立腺とは?位置や働き・疾患ごとの症状まで全て紹介

前立腺とは?位置や働き・疾患ごとの症状まで全て紹介

健康診断の項目でもみられる前立腺ですが、具体的にどのような働きをしているのか、正しく理解している方は少ないのではないでしょうか。

前立腺とは男性だけにあり、生殖機能において重要な役割を持つ臓器です。

前立腺の役割や、異常が生じるとどんな症状が現れるのかを理解することは、自身の健康を守るためにも大切です。

そこで今回は、前立腺に関する位置や働き・疾患ごとの症状について紹介していきます。

さらに、前立腺にまつわる疾患の主な検査方法や治療方法についてもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

前立腺とは「男性だけにある臓器」

前立腺とは「男性だけにある臓器」

前立腺の位置・仕組み

前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下にあり尿道をドーナツ状に取り囲んでいます。男性の生殖機能に密接に関係する、子供を作るときに必要となる臓器です。

正常な前立腺は栗の実くらいの大きさで重さは成人の男性で20g前後になります。

前立腺はみかんのような層構造をしていて、尿道のまわりの内腺(みかんの実にあたる部分)と被膜付近の外腺(みかんの皮にあたる部分)に分けられます。

最近では、辺縁領域、中心領域、移行領域の大きく3つのゾーンに分けられることもあり、辺縁領域は従来の外腺、中心領域と移行領域は内腺にあたると考えられています。

前立腺の働き

前立腺では、精子の運動や受精に不可欠な多くの栄養素をふくむ前立腺液を作り、前立腺癌の腫瘍マーカーである※PSA(前立腺特異抗原)を生成しています。

※PSAとは前立腺で作られるタンパク質のこと。

前立腺には精子に栄養を与えたり、精子を保護したりする主な役割があります。

前立腺にまつわる疾患と日常生活での影響

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、加齢によって肥大しやすくなり、60歳以上の男性の3人に1人が前立腺肥大症とされています。トイレが近い、尿が勢いよく出なくなったなどの症状がある場合には、前立腺肥大症が疑われる可能性が高いです。

前立腺がん

前立腺がんは、ある程度進行が進むと血尿を起こす恐れがあります。60歳以降に罹患率が高くなりますが、採血だけで発見できるようにもなり、早期治療できるケースが増えています。簡単な検査で発見できるため50歳を過ぎたら定期的に検査を受けるようにするようにしましょう。

前立腺炎

前立腺炎は、前立腺が炎症を起こす病気です。原因は、急性のものや、慢性のもの、細菌感染によるものか、感染以外によるものかで分類されます。急性の場合は高熱や頻尿、慢性の場合は下腹部の痛みなどの症状が多くみられます。

PSA値の上昇

健康診断などの検査でPSAの数値が高い場合、前立腺がんの可能性が高くなる傾向があります。ですが、前立腺肥大症や、前立腺炎による炎症により数値が上昇している場合もあるため、放置はせず専門医による検査の受診をおすすめします。

【症状別】考えられる前立腺の疾患

おしっこの回数が多い、我慢できないほどおしっこがしたくなる
尿もれ、夜中に何度もトイレに行く、尿が出にくい
前立腺肥大症
頻尿、排尿困難、血尿前立腺がん
発熱、食欲不振、尿が出にくい、排尿痛、残尿感急性前立腺炎
頻尿、尿漏れ、下腹部の痛み・違和感、睾丸の痛み・不快感慢性前立腺炎

前立腺疾患の検査方法

前立腺肥大症

前立腺肥大症の検査には主に、尿検査、血液検査、腹部エコー検査、尿流量(ウロフロメトリー)検査があります。

問診では、症状の内容や時期、既往症や服薬している薬の内容などをうかがい、薬物療法の有無や、重度の場合は手術療法の判断を行います。

前立腺がん

前立腺がんの可能性がある場合、直腸診、腹部エコー検査を行い、必要に応じてMRI検査、CT検査などを行います。

採血による血液検査で血清PSAの値が高くみられる場合には、組織を採取してがん細胞の有無を調べる前立腺生検を行うこともあります。

前立腺炎

急性前立腺炎

尿に含まれる細菌・白血球の状態を検査し、必要に応じて血液検査を行います。

また、肛門からの直腸指診による検査を行うこともあります。

慢性前立腺炎

尿に含まれる細菌・白血球の状態を検査し、直腸診などを行います。

また、クラミジア感染症による炎症が疑われる場合には、クラミジア検査も行います。

前立腺疾患の治療

前立腺肥大症

前立腺肥大症の治療は、基本的に薬物療法から始まり、排尿障害のメカニズムによって使用する薬剤が異なります。

通常は、薬物療法により十分な改善が期待されますが、効果が不十分な場合や症状が重度化すると手術が必要です。

手術の方法には、尿道から内視鏡スコープを挿入して電気メスで前立腺を切除する手術や、レーザーを用いて切除する手術があり、患者の具体的な症状や状態に基づいて適切な治療法が選択されます。

前立腺がん

前立腺がんの治療法は、病期(ステージ)や症状によって異なります。

主な治療法は、監視療法、外科治療(手術)、放射線治療、ホルモン療法、化学療法です。

監視療法は寿命に影響しないと考えられる場合に検討され、手術は前立腺全摘除術が基本となります。

手術には開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術があり、合併症として尿失禁や性機能障害が生じる可能性もあるため、経験豊富な専門医との十分な相談が必要です。

前立腺炎

急性前立腺炎の治療方法は、まずは尿検査を行い、細菌感染を確認し、感染がある場合は抗生物質による内服や点滴治療が行われます。

それでも尿閉や高熱などの強い症状が続いたり、前立腺内に膿瘍ができてしまうと入院や手術が必要となる場合もあります。

慢性前立腺炎の治療については、主に薬物療法による治療が行われ、症状の改善は2~4週間から始まります。

しかし、症状がなくなっても約半年間の服薬が必要であり、途中で治療を中断すると再発や再燃が起こりやすいため、治療はしっかりと続けることが大切です。

まとめ

今回は前立腺の仕組みや機能、疾患ごとの検査方法や治療方法について紹介しました。

前立腺は男性の生殖機能を果たすうえで重要な役割を持ちます。

主な疾患である前立腺肥大症、前立腺がん、前立腺炎には似た症状が起こることもあるため、定期的な検査をおすすめします。

体調の異変や前立腺に違和感を感じた場合は、かかりつけ医、または泌尿器科を受診しましょう。

また、前立腺のことはデリケートな問題のため、少し聞きづらいことや悩みを抱えている方も多くいらっしゃいます。

神楽岡泌尿器科では、前立腺にまつわるご相談を随時受け付けております。

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