治療法を知りたいあなたに
医療的対応には、病気によって運動療法、薬物療法、手術療法があります。その症状に応じて対応は異なってきます。排尿障害の種類および程度によって、全ての治療法が最善のものとなりうることを知っておいて下さい。対応が遅れると、膀胱機能の異常が進行し、その治癒に時間がかかるようになるので、早めに医師に相談しましょう。
尿失禁の種類:溢流性尿失禁
「溢流性尿失禁」は2002年の国際禁制学会で定められた用語基準では推奨されていない用語ですが、日本では使用されることがあります。
1.診断名:低過活動膀胱の治療法
①尿道の圧を低くして排尿しやすくするα1-遮断剤、膀胱の圧を高くするコリン作動薬の内服が有効です。
②排尿したにもかかわらず、膀胱に尿が多く残る場合、自分でカテーテルを用いて尿を排出することも大切です(自己導尿)。必ず専門医の指導が必要です。
③便秘に対する治療も重要です。
※基本は、膀胱機能の改善をはかり、残尿を減らして出来るだけ膀胱を空にする事が最良となります。排尿時はできるだけ腹圧をかけずリラックスした排尿を心がけ、時間を決めての排尿誘導はできるだけしないのがよろしいです。排便を含めて腹圧がかかると、膀胱の変形、尿道括約筋の協調不全を起こすので良くありません。
用具類による対応策
●このタイプでは、用具類の対応ではなく治療やカテーテルが優先します。
2.診断名:前立腺肥大症ほかの治療法
①薬物療法
a)α1-遮断剤 前立腺を縮小させる作用はないものの、尿を排出しやすくするα1-遮断剤が標準的です。
b)抗男性ホルモン剤 性欲低下などの副作用があります。
②手術療法
a)レーザーや高温度療法などの低侵襲治療
b)経尿道的前立腺切除術などの手術
③軽症では、治療は行わず経過を観察することもあります。
用具類による対応策
●袋状のコンパクトパッドや、コンパクトタイプをじょうご状に折り曲げ、陰茎を包むようにしてサポーターなどで固定して使用すると陰部がただれず、交換も簡単です。パッドをあてるのに違和感がある方は、吸収帯が組み込まれたブリーフや猿股型パンツなどを使用したり、外出時に装着尿器を使用してみるのもよいでしょう。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など