全5回でご紹介しますお酒と上手に付き合う方法について、
今回は【アルコールと高尿酸血症について】ご紹介します。
【過去記事一覧】
①お酒との付き合い方
②アルコールと生活習慣病
③アルコールと高尿酸血症(プリン体マップ付)
尿酸とプリン体
尿酸とは
新陳代謝によって古い細胞が分解されるとき、細胞の中の核が壊れて「プリン体」が放出されます。プリン体が肝臓で壊される時に生じる老廃物が「尿酸」です。
プリン体とは
プリン体は、食品中では主に旨味成分にあたる核酸を構成する成分です。
約8割が体内で作られ、残り約2割は食物から体内に取り込まれます。
尿酸値が上がったらどうなるの?
尿酸値が7.1mg/dlを超えた状態を高尿酸血症といいます。
高尿酸血症は、関節内に尿酸塩結晶が沈着し炎症を起こし痛みを伴う「痛風」を引き起こします。また、無症状であってもメタボリックシンドロームとも関連が深い将来の動脈硬化に関わる大事な因子です。内臓脂肪と尿酸値とは相関しますし、高尿酸血症自体も独立した心血管・脳血管疾患のリスク因子となります。
アルコールが尿酸値を上げる?
アルコールは体内でプリン体の分解を促進し、尿酸の尿中排泄を抑制します。
飲酒習慣のある方は、節酒及び禁酒が必要です。
また、食事からのプリン体摂取を控えることも重要です。
おつまみやお酒の種類もプリン体が少ないものを選びましょう。
アルコール飲酒による高尿酸血症のしくみ
尿酸値を下げるには?
生活習慣の改善が必要です
食生活のポイント
アルコールを控える
1日の目安としてはビール類であれば500mlまでとし、週2回以上の禁酒日を作りましょう。また、ビール類にはその中にもプリン体が含まれますので、プリン体0(ゼロ)の商品を選ぶと、プリン体の摂取を控えられます。厳格な飲酒制限はストレスとなり、暴飲暴食の結果につながる方もいらっしゃいます。いままでの飲酒の量が多かった方は、必ずかかりつけの医師、管理栄養士と相談し、いままでの習慣を少しずつ変えていきながら、節酒及び禁酒につなげていきましょう。
アルカリ性の食品を積極的に摂る
高尿酸血症の方は尿が酸性の方が多いです。尿をアルカリ性にすることで、尿酸が溶けやすく、排泄されやすくなります。
水分を十分に摂る
水分の摂取が少なく尿が濃くなると尿酸が尿に溶けにくくなります。
コップ1杯程度の水をこまめに飲むようにしましょう。
プリン体の過剰摂取を控える
尿酸生成のもとになるプリン体を、食事からできる限り控えましょう。
プリン体の多い食品を知る
下記のプリン体マップを参考にしてみましょう。
プリン体マップ
プリン体の少ない食品をうまく取り入れる!
厳格にプリン体を制限すると、食事を楽しめずストレスとなりうまくいかないケースもありますので、上記のプリン体の多い食品をなるべく控えることと併せて、いままで摂っていた食品をプリン体の少ない食品に置き換えるなどの工夫をしてみましょう。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など