排泄動作は、尿意を感じてベッドから起き上がりトイレまで移動して衣服を脱ぐ、座って排泄し後始末して、居室まで戻る、など一連のADL動作で成り立っています。しかし、尿意があってもADL動作ができないために失禁のADLレベルに役立つ排泄用具や周辺用具を一覧にまとめ、自立レベルを高めるためのポイントについて3回に分けて解説します。
さぁ、できる動作を活かして排泄の自立度をステップアツプしましょう。
自立レベルを高めるためのポイント(立位レベル編)
1.男性は立った姿勢で排尿しましょう
男性の場合、なるべく立って排尿するほうがオシッコが出やすくなります。脳卒中後遺症で半身マヒのある人は、からだを支えるための小便器用の手すりを付けたり、片手でも上げ下しできるよう工夫されたズボンや下着を着用することで失敗が少なくなります。
2.便器は、立ちやすく排泄しやすい高さに
せっかくトイレに行けるようになっても、立ったり座ったりの動作に介助が必要な方は案外多いものです。簡易昇降便座は、電動スイッチ操作で座面が昇降しますので、立ちしゃがみ動作が介助なしでできます。膝や股関節の障害で深く座れない人には、便座面を高くする補高便座が便利です。
3.環境を整えて排泄の自立をサポートしましょう
歩ける方でも、トイレのドアが開けにくかったり、立ち座りが大変だったりすると、間に合わなくなっておもらしをすることがあります。廊下やトイレの中に手すりを取り付け、簡単に開閉できるドアにし、補高便座を入れて立ち座りを楽にするなど、環境を整えることによってトイレで排泄できるよう支援しましょう。
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【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など