「おしっこが出切らなくて違和感を感じる」
これは男性の排尿後の悩みで多い症状の一つです。
なにか異常や病気に関係があるのか不安を抱えたままだと日々のストレスにも繋がります。
実は、この残尿感とも呼ばれる不快な症状は、年齢による前立腺肥大が関係している可能性が高いです。年齢のせいにして放っておくとなかなかその症状は改善されません。
そこで今回は、これまで患者のおしっこに関する悩みを多く解決してきた神楽岡泌尿器科が、おしっこが出切らない原因について解説します。
おしっこが出切らない時の3つの改善策についても紹介しているので、実践して排尿後の不快感を解消しましょう。
異常・正常?おしっこが出切らない状態とは
おしっこが出切らない状態とは、尿が残っておしっこをした後もスッキリしない、いわゆる残尿感と呼ばれる排尿時の不快な症状の一つです。
これに対して、正常なおしっこの出方は、排尿が自然とスムーズに行われ、残尿感を感じることはありません。尿の勢いや膀胱が正常に保たれている状態と言えます。
残尿感には、実際に尿が残っている場合もあれば、膀胱に尿が残っていないにもかかわらず感じることもあり、これは前立腺や膀胱の働きに異常を示している可能性が高いです。
また、尿道におしっこが残る感覚の理由に、加齢による前立腺肥大で尿の勢いが低下していることが挙げられます。男性はこの前立腺肥大が、おしっこが出切らない残尿感の原因となっている場合が多いです。
おしっこが出切らない原因
男性のおしっこが出切らない原因には、主に以下の疾病が関係していることが多いです。
- 前立腺肥大症
- 神経因性膀胱
- 慢性前立腺炎
疾病ごとにみられる症状や原因についてそれぞれみていきましょう。
前立腺肥大症
前立腺は加齢とともに肥大しやすくなり、60歳以上の男性の3人に1人が前立腺肥大症とされています。
前立腺は尿道の周りを覆うようにしているので、肥大すると尿道が圧迫され、膀胱の中の尿を1回で出しきれなくなり、尿が残ってしまうといった症状につながります。
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神経因性膀胱
神経因性膀胱は、認知症やパーキンソン症候群、糖尿病などの疾患により、脳から膀胱・尿道への指令が正常にできなくなることで発症します。
これは60〜80代の方に多くみられる疾患で、尿を一時的に溜めたり出したりする神経がうまく機能しなくなることで、おしっこを出し切ることが難しくなります。
慢性前立腺炎
慢性前立腺炎とは、前立腺がクラミジア、弱毒性細菌などが原因で炎症が続くことで起こり、ストレスやアレルギーによっても前立腺に炎症が起こることがあります。
この前立腺の炎症や腫れにより、おしっこの通り道がせまくなることが出切らない原因の一つです。
おしっこが出切らない時の改善策
おしっこが出切らない時は、気持ちいい排尿習慣を身につけることで改善が期待できます。そのためにも、まずは「自分で治そう」といった意欲が大切です。
残尿感を和らげる方法は、しっかりと尿を膀胱にためてから自然にいきまずおしっこをすること、つまり「気持ちいいおしっこ」の実践です。
気持ちいいおしっこのためにやることはたったの3つ。
- 水分摂取を意識してこまめに飲む
- しっかりとおしっこを溜める
- 排尿時にいきまない
排尿トラブルに悩んでいる方はぜひ実践してみましょう。
1、水分摂取を意識してこまめに飲む
まずおしっこトラブルに悩む人に実践していただきたいのは、しっかりと十分な水分を摂取すること。目安としては、1日2リットルをチビチビと飲みます。
水分摂取が大事な理由は、腎臓機能を助け、尿管→膀胱→尿道を続く尿路の健康と衛生を保つためです。
1日2リットルの水分摂取を行うのは大変ですが、朝起きてから夕飯までのおおよそ10〜12時間の間に、1時間に200mlずつ小分けに飲むと少し楽にできますよ。
2、しっかりとおしっこを溜める
おしっこは「たっぷり溜め込んでから一気に排出」が基本です。
本来、膀胱の容量は約500mlで、残尿感を感じている方の場合、100〜200ml程度でトイレに向かってしまいます。
気持ちのいい排尿習慣の人は、だいたい300cc前後は溜めてからトイレにいきます。
それを1日7回くらい、だいたい2リットルのおしっこができれば腎臓にも効果的です。
しっかりと膀胱に尿がたまる前にトイレに行くと頻尿になる習慣がついてしまうため、尿意を感じてもちょっと我慢をし、膀胱に尿をためる訓練をしましょう。
3、排尿時にいきまない
排尿時にお腹に不要な力が入りいきんでしまうと、外からの力で無理やり膀胱から尿を出そうとする力が働き、正常な排尿ではなくなってしまいます。
いきむだけで、余分な力が入り、膀胱や尿道の筋肉に日々大きなダメージを負わせているんです。その習慣が排尿トラブルを引き起こしてしまう可能性を高めています。
リラックスした状態で自然に排尿を行うことで、排尿トラブルの改善にもつながるので、ぜひいきまないおしっこを実践してみましょう。
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まとめ
今回はおしっこが出切らない時の原因と対処法について解説しました。
原因となる各疾患が重症化している際は、薬や手術による治療が必要となる場合もあります。なかなか症状が改善されない場合は、一度泌尿器科での検査を受診しましょう。
さらに排尿トラブルの初期症状は、排尿習慣を見直すことで改善できることが多いです。おしっこが出切らない時の3つの改善策を実践して気持ちいい排尿習慣を身につけましょう。
おしっこが出切らない時の改善策
- 水分摂取を意識してこまめに飲む
- しっかりとおしっこを溜める
- 排尿時にいきまない
神楽岡泌尿器科では、男性特有のおしっこのお悩みに関するご相談を受け付けております。
院長の渋谷先生へ直通でつながる無料メール相談なので、残尿感や特定の症状にお困りの方はお気軽にご相談ください。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など