「最近おしっこが飛び散る回数が増えてきた・・・」
その原因に不安を感じている男性の方も多いのではないでしょうか。
おしっこが飛び散る原因の一つに、前立腺肥大でおしっこの勢いや量が確保できていないことが挙げられます。
おしっこの勢いや量がコントロールしきれず、不快な状況が続くのは避けたいものです。
そこで今回は、おしっこが飛び散る原因から対処法まで、前立腺肥大に詳しい神楽丘泌尿器科が解説します。
対処法を実践することで、飛び散りによる不快感が解消されます。
まずは、正常なおしっこの出方について確認していきましょう。
正常なおしっこの出方
正常なおしっこの出方は、尿線と呼ばれるおしっこの線が太く、途中で途切れずに一定の勢いで出ている状態を指します。
一般的な基準値は、数字で表すと以下の通りです。
- 1回の排尿量: 200~400mL
- 1回の排尿時間: 20~30秒
- 1日の排尿量: 1,000~1,500mL
- 1日の排尿回数: 5~7回
- 排尿間隔 : 3~5時間に1回(起きている間)
通常、排尿中の痛みや違和感は感じることはなく、お腹に力を入れず、いきまないでおしっこができていることが自然な状態と言えます。
飛び散るおしっこの原因と特徴
- 包茎によるおしっこの飛び散り
- おしっこの出口がくっついている
- 前立腺肥大でおしっこの勢いが弱い
それぞれの特徴について見ていきましょう。
包茎によるおしっこの飛び散り
包茎の状態では、皮がかぶっていることから、尿道口と皮の出口が癒着しやすくなります。
特に子どもやお年寄りにおいては、尿道口と皮の癒着が原因でおしっこが飛び散る可能性が高まります。
おしっこの出口がくっついている
舟状窩(しゅうじょうか)と呼ばれるおしっこの出口となる部分がくっついている状態の時も飛び散る原因の一つです。
舟状窩からおしっこが出る時は、尿線もまっすぐに飛ぶ構造になっています。これは庭の水まきの際にホースの先を狭めることでまっすぐ勢いよく出るのと同じ原理です。
通常だと、おしっこの勢いで粘液が剥がれてまっすぐに飛ぶのですが、尿の勢いが弱いとくっついている出口から二つに分かれて飛び散ることにつながります。
特に朝起きた時におしっこが飛び散りやすいのは、この舟状窩が粘液でくっついていることが考えられるでしょう。
前立腺肥大でおしっこの勢いが弱い
前立腺肥大により膀胱の働きが弱まると、おしっこの量を貯められずおしっこの勢いが弱くなることがあります。
排尿力が不十分で排尿量が少ない状態は、一般的に「キレが悪い」または「まっすぐ飛ばない」といった症状として現れます。
この状態が、正常な出方の1本の尿線にはならず飛び散る原因です。
残尿感を感じたり、おしっこがダラダラと出る症状が続いていると、前立腺肥大などが原因で尿の勢いが弱くなっている可能性があるため、泌尿器科での検査をおすすめします。
前立腺肥大の症状にまつわる情報はこちらでも詳しく説明しています。
飛び散るおしっこの対処法
- 距離を保ち、狙いを定める
- おしっこの量と勢いを確保する
- 座っておしっこをする
それぞれの具体的な対処法について見ていきます。
距離を保ち、狙いを定める
おしっこの飛び散りを防ぐためには、便器までの距離を意識し、狙いを定めることが重要です。おしっこの出はじめの尿線が一本でも、一定の距離から雫に変わり、ポロポロと落ちることがあります。
この距離は約15センチとされており、15センチを超えると尿酸の水が表面張力で雫に変わり、飛び散りの原因となります。
特に立っておしっこをする際は、尿線が1本に保たれる距離を考慮し、15センチ以内で壁に当てるようにしましょう。
おしっこの量と勢いを確保する
これまでの説明にもあったように、おしっこを飛び散らないようにするには、尿の量と勢いをしっかりと確保することが必要不可欠です。
小まめに頻繁にトイレにいくのではなく、無理のない範囲で少し我慢し、適切なおしっこの量を膀胱に溜め込んでから、リラックスした状態で気持ちのいい排尿を心がけましょう。
目安は300ccの量が30秒程度で出ることが理想です。
気持ちのいい排尿習慣を身につけるトレーニング方法は以下の記事で紹介しています。
座っておしっこをする
おしっこの飛び散りを最も確実に防ぐ方法は、座っておしっこをすることです。
座っておしっこをすることで、尿線が一定の角度で確実に下向きに流れるため、飛び散りを最小限に抑えることができます。
特に、男性の方にとっては立って行う場合よりも安定感があり、おしっこの流れを維持しやすいでしょう。また、座ることで排尿時のリラックス感が増し、いきまないでおしっこをすることができます。
座っておしっこをする習慣は、トイレを常に清潔に保つことにもつながるので、世のお父さんたちは、自宅ではなるべく座ってするようにしましょうね。
まとめ
今回はおしっこが飛び散る原因について解説しました。
包茎や前立腺肥大などが引き起こす問題により、おしっこの出口が定まらなかったり、尿線が一本にならないことが飛び散りの主な原因となります。
対処法としては、まずおしっこの量と勢いを確保し、排尿時には狙いを定めて行うことが重要です。座っておしっこをすることも、飛び散りを抑えるための安全かつ確実な方法の一つとなります。
これらの対処法の実践により、気持ちいい排尿習慣を身につけ、飛び散りによる不快な状態を解消しましょう。
神楽丘泌尿器科のブログでは、おしっこにまつわるお悩みや前立腺に関する情報を発信しています。
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【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など