メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
内臓脂肪の蓄積から、さまざまな疾患が
メタボは、おなか周りの内臓脂肪が過剰に蓄積し、高血圧、高血糖、脂質異常の2つ以上を併せ持った状態を指します。内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から健康に不都合な生理活性物質(血圧値・血糖値・中性脂肪値などを上昇させる)が多く分泌され、健康によい働きをする生理活性物質(血管を修復する、糖代謝を改善する)の分泌が減ります。その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常性を併発し、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳梗塞などを起こすリスクが飛躍的に高くなります。
特定保健指導で2~4割の人が改善
特定健診でメタボ該当または予備群と判断された人は、特定保健指導の対象となり、リスクの数が多い人には積極的支援を受けた男性から約2~3割、女性の約3~4割が、1年後の健診ではメタボから脱出するなどの改善状況が報告されています。年1回の特定健診をしっかり受診することから、メタボ対策を始めましょう。
1日プラス10分の身体活動を
メタボの予防と改善は、身体活動量の増加から。厚生労働省「アクティブガイド(健康づくりのための身体活動指針)」では、今より1日10分近く多く体を動かし、65歳以上の人は毎日40分程度の身体活動(家事などの生活活動および運動)を行うよう目標を明示しています。毎日ラジオ体操したり、庭仕事を楽しんだり、近所へは歩いて買い物に出かけるなど、意識して体を動かす習慣をつけましょう。
知ってる?牛乳の力
牛乳を良く飲む人には、メタボが少ない
栄養価の高い牛乳・乳製品を常用すると、太るのでは―。
最近の大規模研究調査で、そんな牛乳・乳製品に対する誤ったイメージが覆されました。
牛乳・乳製品を最もよくとるグループは、最も摂取しないグループに比べて、メタボの有病率が女性で40%、男性で20%も低く、さらに女性の場合、肥満指数のBMIや中性脂肪値が低くなる傾向も認められました。そのメカニズムとして、牛乳・乳製品がエネルギー消費量の増加に寄与する、豊富なカルシウムが脂肪分解を促進するなどの仮説が立てられています。
コレステロールも気になりますが、一般的な日本人が1日の食事で摂取する量は300~500mgで、牛乳コップ1杯(200ml)に含まれる量は25mg。牛乳自体が、コレステロール値上昇の主因になることは考えにくいといえます。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など