腸は、食べ物などを消化する、消化器官としての働きだけでなく、肥満、免疫、動脈硬化、精神疾患など、全身の健康とも深く関わっています。そのため、健康維持のためには、腸内フローラのバランスを常によい状態で保っておく必要があります。
その中でも食事によって善玉菌を増やすことが腸内の健康を維持促進に繋げることが大事と言えます。
しかし、いざ食事に気を付けよう!と思っても何をどのように始めたら良いか、迷うところではないでしょうか?
そこで、今回は食事によって善玉菌を増やす方法4つをまとめました。
腸内細菌の善玉菌を増やさないとどうなる?
腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息していることが知られており、それらは主に、善玉の菌と悪玉の菌、そのどちらでもない中間の菌と、大きく分けて3グループで構成されています。
これらの菌は、互いに密接な関係を持ち、複雑にバランスをとっています。そのため、たんぱく質や脂質が中心の食事・不規則な生活・各種のストレス・便秘などにより悪玉菌が増えてしまうと、肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化症、炎症性腸疾患などの疾患をも引き起こす原因となってしまう可能性があるため、善玉菌を増やす必要があります。
善玉菌の代表的なものは、ビフィズス菌と乳酸菌です。これらを増やすことにより、腸内環境を改善することができます。
善玉菌を増やす方法
1.発酵食品をとる
味噌や醤油、お酢、ぬか漬け、キムチ、納豆、チーズなどの発酵食品には、乳酸菌が豊富に含まれています
これらは、加熱や胃酸によってほとんどが死滅してしまうのですが、死滅した善玉菌も善玉菌のエサになったり、悪玉菌の出す有害物質を吸着して外に出しやすくしたりと、善玉菌のサポート役として大事な役割をになってくれます。
生きた善玉菌が腸内で活動できるのは3~4日とされているため、味噌汁を毎日飲む、醤油を調味料に使う、ご飯に納豆を合わせるなどして、毎日継続的に発酵食品をとると良いでしょう。
また、様々な菌を体に取り入れるためには、複数の違う種類の発酵食品を組み合わせることも大切です。
2.オリゴ糖を多く含む食材をとる
ヨーグルトなど生きた善玉菌を含む発酵食品は、「プロバイオティクス」と言われていますが、これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはないそうです。
したがって、腸内にもともとすみついている善玉菌に、オリゴ糖や食物繊維などの「プレバイオティクス」とよばれるエサを与えて数を増やすことが重要だと言えます。
オリゴ糖とは、糖質のグループ名のことで、2~10個の糖が結びついた構造を持つものをいい、主に、大豆やゴボウ、アスパラガス、タマネギ、トウモロコシ、にんにく、バナナなどに含まれています。
継続的にとることが好ましいですが、適正量以上をとり過ぎるとお腹がゆるくなるので注意が必要です。
3.食物繊維をとる
食物繊維もオリゴ糖と同様に、善玉菌のエサとなって、その増殖を助ける効果があります。
食物繊維には、大きく分けて、水に溶ける『水溶性』と水に溶けない『不溶性』の2種があり、善玉菌のエサとなるのは不溶性食物繊維の方ですが、水溶性食物繊維の方にも、糖質の吸収を抑えて食後血糖値の急な上昇をおだやかにしたり、血中コレステロールを低下させる機能があるため、どちらもとることが大切です。
食物繊維の多い食品として、
穀類…玄米、胚芽米、麦めし、とうもろこし など
豆類…煮豆(大豆、うずら豆、あずき)、納豆、おから など
芋類…さつまいも、里いも、こんにゃく など
野菜…ごぼう、ふき、セロリ、アスパラガス、青菜類、キャベツ、白菜 など
果物…柑橘類(みかん、グレープフルーツなど)、バナナ、うり類 など
きのこ類…しいたけ、しめじ、えのき など
海藻類…わかめ、寒天、ところ天 など
があげられます。これらを積極的にとるようにしましょう。
4.サプリメントや整腸剤を飲む
善玉菌をバランスよく増やすための食事を考えるのは、案外難しいものです。そんな時はサプリメントで補いましょう!
さまざまな種類の乳酸菌やビフィズス菌が含まれているサプリメントや整腸剤を飲むことで、腸内環境を良くすることもできます。
また、善玉菌の中には、あまり食品には含まれていないものも存在します。
中でも、「酪酸菌」と呼ばれる善玉菌は、食品から酪酸菌そのものを摂取するのは難しいそうです。酪酸菌は、「酪酸」という短鎖脂肪酸を作り出し、これは大腸の主要なエネルギー源として腸の正常なはたらきを支える役割を果たしているため、積極的に摂取していかなければなりません。
善玉菌があまり摂取できていないな、摂取している発酵食品や食物繊維が偏っているな、と思ったら、バランスをとるためにサプリメントや整腸剤を活用するのも良いでしょう。
まとめ
善玉菌を増やすためには、腸に良い影響を及ぼす糖や食物繊維などの食材をバランスよく摂取することが大事とわかりますね。
腸の働きに関して
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前立腺肥大や膀胱の病気の治療に特化している神楽岡泌尿器科では、腸内フローラに関する治療にも対応しております。
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【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など