高齢者の睡眠を妨げる夜間の頻尿について、その理由を説明するタンパク質を特定したという京都大学(Kyoto University)の研究結果が1日、英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。
頻尿の謎を説明する手がかりとなるのは「コネキシン43」と呼ばれるタンパク質で、昼間は生体プロセスを活発にし、夜間は活動を減らす体内時計に関与している。
健康な人が眠っているとき、腎臓が作る尿の量は昼間よりも減り、膀胱が貯めることのできる尿の量は昼間よりも増える。
しかし、このコネキシン43が不足すると膀胱の筋肉が過敏になり、「膀胱が一杯になったので排尿する必要がある」という信号を脳に送るという。
京都大学の小川修(Osamu Ogawa)教授率いる研究チームは今回、遺伝子操作によってコネキシン43を作る遺伝子をなくしたマウスを実験に用いた。
少量でも液体が付着すれば色が変わるろ紙を一定速度で巻き取るローラー式の機械を作成し、その上でマウスを飼育してろ紙についた夜間の排尿量を測定した。
研究チームは、体内時計がおねしょや夜間頻尿などの問題を解決する鍵になる可能性が示されたとしている。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など