「最近、うちの子のお漏らしが頻繁に続いてしまって…。」子どもの外出中や幼稚園、学校でのお漏らしが続くと、親御さんとしても心配になるのも当然です。
実は、多くの子どもたちが幼少期にお漏らしやおねしょを経験していますが、これらは成長過程の一部であり、多くの場合時間とともに改善されるていくことがほとんどです。
しかし、5歳をすぎてもお漏らしが続く場合や、小学校高学年でもおねしょが続く場合、尿失禁症の疑いや、遺伝的な要因が絡んでいる場合があります。
そこで今回は、子どものお漏らしの原因から、年齢によるお漏らしの傾向について解説し、記事の最後では、子どものお漏らしの改善方法も紹介しているので、症状になかなか変化が見られない場合はぜひ参考にしてください。
子どものお漏らしは何が原因?
まず、子どもがお漏らしをする原因を理解することが大切です。お漏らしの原因には、生理的な要因と心理的な要因の両方があります。
生理的な原因
お漏らしの多くは、子どもの膀胱がまだ成長途中であることが原因です。小さな膀胱は、長時間にわたって尿を溜めることが難しいため、頻繁にトイレに行く必要があります。
また、脳と膀胱を結ぶ神経の発達がまだ不完全なため、尿意を感じた時にすぐにトイレに行くことが難しい場合もあります。
このような生理的な要因は、成長とともに自然と改善されるていくことが多いです。
心理的な要因
子どもは、緊張やストレス不安を感じることで、それが身体に影響を及ぼし、お漏らしが増えることがあります。
たとえば、幼稚園での自宅以外での新しい環境に慣れなかったりすると、子どもは不安を感じやすくなります。
この緊張やストレスなどの心理的な要因は、子どもが年齢を重ねて小学生や中学生へと進んだ際にも、お漏らしを引き起こす要因として割合が高い傾向にあります。
昼間のお漏らしと夜間のお漏らし
また、お漏らしのなかでも、昼間のお漏らし(尿失禁)と夜間のお漏らし(おねしょ)では、原因が異なることが多いです。
昼間の失禁は、膀胱の発達の問題や心理的な要因が関わっていることが多い一方で、おねしょは、深い眠りの中で尿意を感じ取れないことが一般的な原因です。
子どものお漏らしは年齢によってどう変わる?
お漏らしの頻度が年齢によってどのように変わるのかも、親御さんが気になるポイントだと思います。以下では、年齢別のお漏らしの傾向についてお話しします。
乳幼児期から幼児期
1歳から3歳の間の乳幼児期は、子どもの膀胱がまだ完全に発達していないため、お漏らしが頻繁に起こります。
この時期は、トイレトレーニングが進行中で、成功と失敗を繰り返しながら自然にトイレの習慣を身につけていきます。
多くの子どもは、2歳から3歳の間に自分でトイレに行けるようになりますが、個人差がありますので焦らず見守ってあげてください。
幼稚園から小学校低学年
幼稚園から小学校低学年の子どもたちの中には、まだお漏らしが続く子もいます。特に夜間のおねしょは、5歳までの子どもにとっては一般的な現象です。
夜間の膀胱コントロールが完全に発達する前の自然な現象ですので、心配しすぎないで大丈夫です。
ただし、5歳を過ぎてもお漏らしがなかなか改善されない場合には、尿失禁症という病気の疑いがあるため、必要に応じて専門医にご相談ください。
小学校高学年から思春期
小学校高学年になると、お漏らしの頻度は大幅に減少します。しかし、夜間のおねしょは10歳の子どもにも見られることがあります。
この年齢でおねしょが頻繁に続く場合は、膀胱の発達の遅れや遺伝的な要因が関与している可能性がありますので、必要に応じて医師に相談することをおすすめします。
子どものお漏らしの改善方法
子どものお漏らしを減らし、トイレの習慣を確立するためには、いくつかの具体的な改善方法があります。ここでは、効果的な方法を4つ紹介します。
決まったタイミングにおしっこにいく
子どもがいつトイレに行くかを約束することで、子どもが尿意を感じる前に予防的にトイレに行く習慣を身につけるのに役立ちます。
例えば、食事の前後や寝る前など、決まったタイミングでトイレに行く習慣をつけることが効果的です。
「何時に」と決めると日によって守れないこともあるため、1日6回以上を目安に「何かをする前、した後」に設定するとよいでしょう。
1度で全部おしっこを出し切る練習をする
おしっこを一度でしっかりと出し切ることが、お漏らしの防止にも役立ちます。
トイレでおしっこをする際には、「全部出し切ったかな?」と声をかけて、完全に出し終えるまで待つように促しましょう。急がす、ゆっくりと排尿させることも大切です。
この練習をすることで、膀胱がしっかりと空になる習慣がつき、次にトイレに行くまでの時間を延ばすことができます。
水分を小まめに摂る習慣をつける
一気にたくさん飲むのではなく、小まめに水分補給をする習慣を身につけることで、おしっこの頻度や回数も安定していきます。
水分を一度に大量に摂るのではなく、少量ずつこまめに摂る習慣をつけることで、膀胱に負担をかけずにちょうどいい量のおしっこを貯めることができます。
子どもには、適切な水分補給が大切であることを教え、楽しく水分を摂るように工夫してみましょう。
外遊びで運動をする
外遊びを通じて、子どもが身体を動かし、エネルギーを発散させることで、体全体のバランスが整い、とくに体幹を鍛えることで、おしっこを我慢する機能の発達を促します。
新鮮な空気を吸いながらの運動は、子どもの心身の健康にも良い影響を与えます。
まとめ
子どものお漏らしやおねしょは、親として心配になることが多いですが、これらは年齢を重ね、成長の発達とともに自然に解消されることがほとんどです。
子どものお漏らしは、決して珍しいことではありません。原因を特定し、適切な対処をすることで改善できます。記事の中でご紹介した改善方法も踏まえ、どうぞ焦らず、子どもと一緒に取り組んでいってくださいね。
当院、神楽岡泌尿器科では、子どものお漏らしの他にも、子どもの泌尿トラブルに関するお悩みがあれば無料のメール相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など