結論として、一般的な夜尿症は必ず治ります。
夜尿症は、小学生前後5〜12歳くらいのおねしょのことをいい、生活習慣の指導でほぼ改善可能です。
ただ、夜尿症は小学校高学年になると、お母さんよりも本人が恥ずかしいもの。
泌尿器科医である私も小学5年生までおねしょをしていたため、お母さんに連れてこられる情けない…恥ずかしさはよくわかります。
だからこそ恥ずかしくても1日でも早く先生に相談して、適切な指導を受けて治して欲しいと思っています。
なぜなら、おねしょの原因は生活習慣の改善で治療できるからです。
日中、夜間の水分の取り方やその日の尿の状況を付ける日記など、わかりやすく本人にあった指導でおねしょはすぐに治るため、ぜひおねしょのことを学んでいってください。
小学生の夜尿症の原因
小学生夜尿症の主な原因は、寝ている間に膀胱がいっぱいになっても、尿意で目が覚めないためです。
- 膀胱が小さく、すぐにいっぱいになってしまうため
- 寝る前にたくさん水を飲んでしまい、尿量が多いため
- 膀胱機能が未熟で勝手に膀胱が収縮してしまうため
小学生の夜尿症の場合、まだ膀胱が出来上がっていない身体的な理由や、夜にいっぱい水を飲んでしまったりする生活習慣が考えられます。
小学生の夜尿症の治療
小学生の夜尿症の治療は、生活習慣の改善から始めます。それでも治らなければ、薬物治療を行っていきます。
ただし、旅行など、どうしてもおねしょができない理由がある場合は、薬物治療を優先することもあります。
生活習慣の改善による治療
- 年齢にあった1回のおしっこの量[(年齢+2)×25]を目標に、おしっこを我慢する練習をする。
- 日中夕食前に十分な水分補給(体重×30〜40ml)を行い、晩御飯から寝るまでの水分をコップ1杯程度に控える。
- 寝る前にトイレに行くなどの習慣を整える。
- 寝る時の寒さ・冷えに気を付ける。
- 夕食の後すぐに就寝することはせず、2〜3時間は起きていること(勉強させましょう)
注意点として、子どもがおねしょをするからといって、夜に起こしてトイレにいかせてはいけません。夜間に起きてトイレをする癖がついてしまいます。
薬物による治療
- 抗利尿ホルモン薬(内服薬・点鼻薬)・・・尿を濃縮することで尿量を減らす薬。
- 抗コリン薬(内服薬・テープ薬)・・・膀胱の勝手な収縮を抑え、尿を溜めやすくする薬。
【症例紹介】来週の修学旅行に間に合うよう治療したい
相談者:小学校高学年・男児
相談内容:お母さんと来院。来週の修学旅行に間に合うように、おねしょの治療をしてほしい!
お母さんもお子さんのおねしょを気にして、水分補給を控えさせたり、早くトイレに行かせようとしていました。
ただし、修学旅行に行く数日間だけ夜のおしっこを少なくするお薬や、生活習慣の指導を行うことはできます。
修学旅行でのおねしょは恥ずかしいですよね。小学5年生までおねしょをしていた私もその恥ずかしさ、やるせなさはよくわかります。
そもそもおねしょ自体を治したいと当然ご本人も思っています。
薬を飲み続けるわけにもいきませんし、生活習慣の改善で必ず良くなるので、できるだけ早く来院してくれれば良くなりますよ。
膀胱や筋肉というのは適当な習慣で使うことで、よく使えるようになるものです。まずは正しい生活改善方法を知るところから始めてみましょう。
また、親として早く治してあげたいという気持ちはわかりますが、怒ったり、水分を控えさせたり、膀胱に適切に水分がたまる前にトイレに行かせようとしては、悪い習慣がついて、余計におねしょの改善の妨げになります。
おしっこの仕方は小さい頃から習慣づくことで大人になってもトラブルに見舞われることが少ないです。
こちらの本にも詳しく書いてあるので、困った際は参考にしてみてくださいね。
著者:渋谷秋彦
子どものおもらし・夜尿症おに関するお悩み回答
ここで、臨床でよく聞く子どものおしっこについての困りごとを紹介していきます。
「おしっこを我慢する→リラックスした状態で排尿する」を繰り返し練習することでおしっこがしっかりと溜められるようになります。
また、家では症状がなく学校にいる間だけなどの場合、緊張などのストレスや、膀胱容量が小さく周囲と排尿ペースが合わない、包茎・便秘が原因となる場合もあります。
原因がわからない際は、泌尿器科へ受診するのも一つの手です。
まずは、夜間の尿量(おむつに出た分と朝起きた時の尿を足したもの)を測ってみてください。
他にできることは、
・年齢にあった1回のおしっこの量[(年齢+2)×25]を目標に、おしっこを我慢する練習をする
・日中夕食前に十分な水分補給(体重×30〜40ml)を行い、晩御飯から寝るまでの水分をコップ1杯程度に控える
・寝る前にトイレに行くなどの習慣を整える
・寝る時の寒さ・冷えに気を付ける、などです。
おねしょは生活習慣を改善することで治る場合が多いです。無理に水分を控えたり、夜中に起きてトイレに行く習慣を作ったりせず、正しい知識で生活習慣を治していきましょう。
周囲と排尿ペースが合わないと、尿がたまっていないのに排尿するため、残尿感が起こることがあります。また、ストレスや不安、その他にも便秘からも残尿感が起こることも。
十分な水分摂取し、年齢にあった1回のおしっこの量[(年齢+2)×25]を我慢してから、いきまずにリラックスして排尿させることが大切です。
十分な量がためられなかったり、痛みがでる場合は膀胱に異常がありますので、泌尿器科を受診してください。
おねしょの悩みは人に相談したり、まして病院に行くのは恥ずかしいと思ったり、と自分の中で抱え込んでしまいがちです。
なんとなくで知ったオシッコの知識で子どもに指導するのではなく、信頼できる人に相談し正しい生活習慣の改善方法を教えてあげてください。
まとめ
小学生の夜尿症(おねしょ)は生活習慣を見直すだけで治せます。
正しい知識を得て、少しずつ生活習慣を改善していきましょう。
当院ではどのように生活習慣を改善したらいいのか、どんな治療方法があるのかなど、小学生の夜尿症(おねしょ)でお悩みの方々からの相談を受け付けております。
無料メール相談窓口も用意しているため、お気軽にお問い合わせください。
また、著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
院長の渋谷先生がどんな人かみてみる
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など