早くオムツを外したくてトイレトレーニングをしている方、間違った方法でトイレトレーニングをしていませんか?
誤ったトイレトレーニングをしていると、子どもが将来、尿・尿漏れ(尿失禁)・排尿不快感など排尿トラブルに悩ませる原因になる可能性も。
「今しか時間がないからトイレに行ってきなさい」「いつもトイレに行きたがるんだから、今しときなさい」と、子どもに言っていませんか?
それらの言葉が原因で、子供が将来排尿トラブルになってしまうかもしれません。
おしっこの知識を泌尿器科の院長である私がお教えします。正しい知識を身に着けたうえで、子どもにトイレトレーニングを行って下さい。
トイレトレーニングの進め方
トイレトレーニングの進め方で重要なことは、焦らないこと。そして、トイレトレーニングが上手くいった際にはちゃんと褒めることです。
幼い頃から自然とトイレ行きたくなったらオシッコをする習慣をつけることで、子どもが将来、排泄トラブルを抱えるリスクが減ります。
例えば、自然とトイレ行きたくなったらオシッコをする習慣をつけるためには、「おしっこがしたくなったら教えてね」と日頃から声かけをしてください。
トイレまで間に合わず、オムツやトレーニングパンツにしてしまったとしても叱らないでください。
子どもが行きたいと言ったときにトイレで排尿が成功し、年齢に適切な量の尿を出すことができた際に「おしっこ沢山出て良かったね」と褒めてあげることが、トイレトレーニングの進め方です。
トイレトレーニングの間違った進め方①:プレッシャーを与えてしまう
トイレトレーニングの間違った進め方でよくあるのは、周囲の子どもたちのオムツが取れ始めてきたため、子どもにプレッシャーをかけてしまうパターンです。
オムツがとれる時期については個人差があり、一般的には「3歳までにおむつが取れるといい」と言われています。
しかし、3歳というのはあくまで目安です。オムツがとれないことを厳しく注意していては、排泄に対して嫌なイメージがついてしまいます。
生きていくうえで排泄は切り離せません。
小さい頃の思い出は大人になっても覚えていることが多く、排泄に対して悪い感情を持ってしまうこともあり、これから先排泄トラブルの元になってしまう可能性が高くなってしまいます。
トイレトレーニングの間違った進め方②:褒めるタイミングを間違える
また、トイレトレーニングの違った進め方として、トイレでオシッコをしただけで褒めすぎるパターンもあります。
トイレのたびに褒めていては「トイレでおしっこを出すとお母さんや先生が喜んでくれる」とインプットされてしまうと、健気な子どもたちは無理しておしっこを出そうとします。
トイレトレーニングの進め方で大切なことは、トイレトレーニングが失敗しても叱らないことと、年齢に適切な量の尿を出すことです。焦らず、褒めすぎないようにしましょう。
(子どもの年齢+2)×25=子どもの膀胱に溜められる尿量(cc)
例:8歳のお子さんの場合、(8+2)×25=250cc溜められる計算
限界まで我慢させる必要はありませんが、1回の排尿量が膀胱容量の8割くらいだと、上手なオシッコの仕方と言えるでしょう。
オムツを外してからではないと希望の保育園の入園できない場合や、周りの同じくらいの月齢の子のオムツが外れ始めたため焦ってしまうようです。
しかし、泌尿器科医としては止めていただきたい行為ですし、焦るお母さんには、よその子はよその子、うちの子はうちの子のペースで。とどっしり構えていただきたいです。
泌尿器科医からみたトイレトレーニングの注意点
トイレトレーニングを進めるうえで、褒めるタイミングは重要です。誤ったタイミングで褒めるとトイレが近くなったり、トイレトレーニングがうまくいかなくなったりします。
例えば、「保育園などで決まった時間になったら子どもたちをまとめてトイレに連れて行って出させる」トレーニングは、オムツを外す方法としてはいい方法とは言えません。
子どもは素直で「決まった時間におしっこを出すと褒められる先生に褒められる」と覚えてしまい、無理に出してしまう癖がついてしまうためです。
習慣化すると、十分に膀胱に尿を溜めないうちにいきんで排尿する癖が付き、排尿トラブルの元になってしまいます。
少ない人数で子ども達を保育している先生たちのスケジュールもあるでしょうし、むしろ、幼児用のトイレで排泄することに慣れる方法としては、良いと思います。ただ、目的がオムツを外すために行っているのであれば、泌尿器科の院長として良い方法とは言えません。
子どもが将来排尿トラブルを抱えないために必要な知識
泌尿器科には、オシッコで悩んでいる方がいらっしゃいます。頻尿・尿漏れ(尿失禁)・排尿不快感など症状は様々ですが、これらの原因は幼い頃から強迫観念が強い傾向にあるためです。
「漏らしてはいけない」
「仕事や遊びの途中でトイレに行きたくなったら困る」
「オシッコをガマンしたら健康に悪い」
このように、オシッコを漏らすことに強迫観念を持ってしまうのは、小さい頃の家庭での教育が原因となっているケースが多いです。
昔、両親から「おしっこが出るまでトイレにいっちゃだめ」や「どうせすぐトイレに行きたくなるんだから行っておきなさい」と言われた経験はありませんか?
頻尿・尿漏れ(尿失禁)・排尿不快感などの排尿トラブルは、小さい頃からあるおしっこを漏らしてしまうことへの恐怖心が原因。漏らすことを恐れるあまり、膀胱におしっこがたまり切る前にトイレに行く習慣から、膀胱が正常におしっこを溜められなくなっているためです。
子どもが将来排尿トラブルを抱えないためには、おしっこを我慢してから出す習慣を身に着けましょう。
排尿トラブルは、気軽に人に相談できる内容ではありません。
「こんなオシッコの恥ずかしい症状は自分だけなんじゃないか…」と考えてしまう方も折り、自分一人で悩んで恥かしいと感じている方もいらっしゃいます。
身体的にも精神的にも悩みを抱えてしまいがちな排尿トラブルを子どもに抱えさせないためには、幼いころからの正しいトイレトレーニングを行うことです。
焦らず、正しいタイミングで褒めるトイレトレーニングを行いましょう。
トイレトレーニングを始める親の心構え
お子様のトイレトレーニングには、親御さん・先生方の協力が必要不可欠です。
難しいことは考えず、ある程度子どもの意思を尊重してトイレに連れて行ってあげてて下さい。本来オシッコというのは、膀胱容量の余裕のある範囲で、行きたくなってもちょっと待ってから、都合のいいタイミングでするものです。
もちろん、旅行先などトイレにすぐいけない場所でご両親が「おしっこしたくない?」と聞くのは必要なサポートです。
幼いと意思疎通がとれていなかったり、子どもの心と言葉の理解が完全に一致していなかったりし、失敗してしまうこともあるでしょう。
子供さんの中には、トイレでおしっこをするということに無頓着で、オムツにすることに違和感を感じないお子さんもいらっしゃいます。おかあさんが『おしっこしたくなっちゃった』『このお掃除が終わったら、このテレビドラマ終わったら行ってこようかな?』なんて振ってあげるのもいいかもしれませんね。
しかし、けっして叱らないようにしてください。子供にも各々の成長速度があるため、見守ってあげましょう。
「漏らしたらまずい」という意識が子どもの頃から強く刷り込まれると、早め早めにトイレに行ってしまう習慣が当たり前になってしまいます。
膀胱に少量しか溜まっていないのに、いきんで、頑張って、オシッコを無理やり出す習慣が出来上がり、オシッコを溜められない膀胱になってしまいます。
オシッコを溜められないことで、大人になってから、頻尿・尿漏れ(尿失禁)・排尿不快感などの排尿トラブルを抱えることになるのです。
子どもの将来を考え、無理におむつを外そうと焦らず、おしっこがしたくなったタイミングで褒めるように、気持ちに余裕をもってトイレトレーニングを行って行きましょう。
まとめ
子どものトイレトレーニングの進め方についてまとめました。世の中の親御さんや子どもを大勢見ている先生達も、オムツは早く外れた方が良いと思っている方が大半のように感じられます。
3歳までにおむつが外れないからといって、焦ってしかりつけたり、無茶な教育をとったりせず、その子のペースに合わせてみませんか?
100人いれば、100通りの排尿時間(タイミング)があるのが当たり前です。子どもたちが将来、尿・尿漏れ(尿失禁)・排尿不快感などの排尿トラブルに見舞われないためにも、各々の子どもがトイレに行きたいと思ったタイミングでトイレに行けるようにサポートしてあげてください。
トイレトレーニングが間違っていないか、子供の負担になっていないかと悩んでいる方は、ぜひオシッコのスペシャリストである泌尿器科に相談してみませんか?
当院では、無料のメール相談を随時受け付けています。勿論、相談したからといって必ず受診に来る必要もありません。気軽に、オシッコの不安をご相談いただければと思います。
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神楽岡泌尿器科としては、幼稚園くらいから「オシッコ教育」が必要ではないかと考えています。そのためには、親御さん・先生方のオシッコに対する知識は必要です。
著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
『気持ちいいオシッコのすすめ』
著者:渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など