前立腺肥大症は、年齢とともに男性に起こりやすい病気で、排尿に関する問題が主な症状です。特に50歳以上の男性に多く見られ、症状が進行すると日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
本記事では、前立腺肥大症かどうかを簡単に確認するセルフチェックシートをご紹介します。ご自身の前立腺肥大の進行度の目安としてぜひご活用ください。
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など
前立腺肥大症かどうかチェックする方法は?
まず、前立腺肥大症かどうかを確かめるには、いくつかの代表的な症状に注意を向けることが重要です。一般的な症状としては以下のようなものがあります。
- 排尿の回数が増える
- 夜間に何度もトイレに行く
- 排尿開始が難しい、または途切れる
- 残尿感がある
これらの症状が普段の日常生活において気になる場合は、以下でご紹介する前立腺肥大症のセルフチェックを行うことが有効です。
医療機関への受診前に、まずは自宅で簡単にできるチェック方法を活用して、症状の進行度を把握しましょう。これにより、早期の対処が可能となり、症状の悪化を防ぐことができます。
前立腺肥大症セルフチェック方法
前立腺肥大症のセルフチェック方法として、IPSS(国際前立腺症状スコア)とQOLスコアの2つが広く使用されています。これらのスコアは、症状の重さや生活への影響を定量的に評価するために作られています。
下の前立腺肥大症チェックシートを参考に、あなたの状態に最も近いものを選んで、点数の数字を○で囲んでください。最後に合計点数を計算してみましょう。
IPSS(国際前立腺症状スコア)とは
IPSSは、排尿に関する7つの質問で構成され、各質問に0から5のスコアをつけることで、症状の重さを評価します。
このスコアは合計で35点満点で、点数が高いほど症状が重いことを示し、0〜7点は軽度、8〜19点は中等度、20点以上は重度と分類されます。合計点が高い場合は、医師の診断を受けることが推奨されます。
QOL(生活の質)スコアとは
QOLスコアは、前立腺肥大症による生活の質への影響を評価するための指標です。
「現在の尿の状態がこのまま変わらずに続くとしたらどう思いますか」という質問に対して、とても満足からとてもいやだまでの6段階で回答します。
このスコアにより、患者自身が感じる生活の質の低下度を客観的に把握できるため、医師との相談時に役立ちます。
セルフチェックシートで前立腺肥大症の目安となる基準
「I-PSS」の合計点が8点以上で、スコアが中等度以上の場合は、前立腺肥大症の可能性があります。特に夜間の頻尿や尿が出ずらいなどの排尿困難が続く方は、治療が必要なケースもあるため、症状が気になる場合は泌尿器科専門医の診断を受けるようにしましょう。
セルフチェックを行った結果、自身の症状が軽度であれば、日常の生活習慣の改善や適度な運動、飲酒・カフェインの摂取量を見直すことが有効です。
前立腺肥大を放っておくとどうなる?
前立腺肥大症を放置すると、さらに排尿障害の症状が悪化し、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
例えば、前立腺肥大症の症状の一つに尿が全く出なくなる「尿閉」という状態に至ることがあります。尿閉が続くと腎臓にダメージを与え、腎不全のリスクが高まる可能性があります。また、頻尿や夜間のトイレ回数が増えることで、睡眠不足やストレスが蓄積し、全身の健康にも悪影響を及ぼすことがあります。
まとめ
前立腺肥大症は、進行する前にセルフチェックを行い、適切な対応を取ることが大切です。IPSSやQOLスコアを使った自己評価は、症状を客観的に把握する有効な手段です。もし症状が中等度以上であれば、早めに泌尿器科を受診しましょう。
神楽岡泌尿器科では、院長直通無料メール相談も承っております。人には相談しづらいおしっこに関するお悩みなど、お気軽にご相談ください。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など