
尿路結石は男性だけでなく女性もかかってしまう病気で、突然下腹部や腰に強い痛みを感じます。
強い痛みは数分では収まらず2〜3時間続くケースが多いため、2度とかかりたくないという思いをする方が少なくありません。
そこで、本記事では尿路結石は女性でもかかる病気なのか、原因や症状・予防法まで徹底解説していきます。
原因や予防法を知っておくと、結石ができるのを防ぎやすいですよ。
尿路結石について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など
尿路結石は女性にもある病気です
尿路結石は男性がかかる病気というイメージを持っている方も多いですが、女性でもかかるため注意が必要です。
生涯罹患率で割合を確認すると、男性は15.1%で「約7人に1人」が尿路結石になりますが、女性は6.8%の「約15人に1人」といわれています。
また尿路結石の女性患者は年々増えており、食生活の変化が大きな要因ではないかと考えられています。
「過度なダイエットや食の欧米化による生活習慣病リスクから女性の尿路結石が増えている」と注目されているため、食生活やダイエットには気をつけるようにしましょう。
女性ならではの尿路結石になる原因
女性が尿路結石になる原因は、以下の4つがあげられます。
- 1.運動不足
- 2.水分摂取量の不足
- 3.偏りのある食生活
- 4.閉経による影響
尿路結石は、動物性たんぱく質やシュウ酸を摂り過ぎてしまうと結石ができやすいため、偏りのある食生活を避けるようにしましょう。
また水分摂取量が足りていない場合は尿が濃縮するため、尿に含まれる成分も凝縮されてしまい結石ができます。
そのため尿の濃度を薄めるためにも、日頃からこまめな水分摂取が欠かせません。
さらに女性の場合は、閉経も尿路結石を招きやすい原因になります。
閉経は50歳代をピークに訪れますが、閉経によってホルモンバランスが乱れてしまい、結石を形成すると推測されています。
水分摂取不足や偏りのある食生活、運動不足などが結石ができる大きな原因となっているため、心当たりがある場合は改善しましょう。
女性ならではの尿路結石の症状は特にない
尿路結石の症状は、基本的に男性・女性どちらも変わりません。
尿路結石ができた場合は、結石がある部位に応じて痛みによる症状が出ます。
部位 | 痛みを感じる部位 | 痛みの感じ方 |
腎臓 | 腰部 | 鈍痛 |
尿管 | 側腹部から下腹部 | 刃物で刺すような痛さ |
膀胱 | 尿管 | やや痛い |
ただし、女性の場合は男性と比べて異変に気づきにくい傾向があるため、注意しましょう。
男性の場合は突然激しい痛みが出た場合や、排尿時の違和感・血尿が出たタイミングで尿路結石が発覚するケースが多いです。
しかし女性の場合は月経痛や経血の影響から、血尿が出た場合でもわかりにくい傾向があります。
また月経痛によって痛みに耐える癖がつき、筋肉痛のような痛みや背中の違和感が実は尿路結石の初期症状だったというケースも少なくありません。
男性と比べてやや気づきにくいですが、排尿時に違和感がある場合や突然体に痛みを感じた際には、尿路結石の疑いがあるため泌尿器科医に相談してみましょう。
2度とならないために|女性が尿路結石を予防する方法
女性が尿路結石を予防する方法として、以下の4つがあげられます。
- 1.シュウ酸を多く含む食べ物や飲み物を摂取しすぎない
- 2.偏りのない栄養バランスを意識した食生活を心掛ける
- 3.1日60分以上の有酸素運動を生活に取り入れる
- 4.1日2,000mlを目安に水分摂取を行う
1、シュウ酸を豊富に含む食材を摂取しすぎない
尿路結石になりたくない場合は、ほうれん草やブロッコリー、ピーナッツなどのシュウ酸を多く含む食材は摂りすぎないようにしましょう。
シュウ酸の多い食品は、以下があげられます。
シュウ酸が多い食材 | |
食べ物 | ほうれん草・たけのこ・さつまいも・チョコ・バナナ |
飲み物 | コーヒー・ココア・緑茶・紅茶 |
参照:国立大学法人旭川医科大学
食材の他にも、シュウ酸はコーヒーや紅茶にも含まれているため、水分補給として摂取しすぎるとかえって結石を生む原因に繋がる場合があります。
シュウ酸を多く含む食品を食べる際には、カルシウムを含む食事を同時に食べることで、便として排出されやすいです。
2、偏りのない栄養バランスを意識した食生活を心掛ける
尿路結石の予防には、偏りのない栄養バランスを意識した食生活が大切です。シュウ酸を多く含む食材を過剰に摂取しないことも重要ですが、基本的にはさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが予防につながります。
特定の食べ物だけが効果的というわけではないため、一つの食品に偏らず、適切な水分補給とともに、バランスの取れた食事を心がけましょう。
3、1日60分以上の有酸素運動を行う
1日60分以上の有酸素運動を行うと、生活習慣病を防ぎやすくなるため、尿路結石になる可能性を下げられます。
1日60分以上の運動は約8,000歩以上が目安となっており、息が弾み汗を掻く程度が良いです。
外で行える場合はランニングやウォーキングがおすすめで、室内で運動したい方はエア縄跳びや階段昇降などが手軽に行えます。
生活習慣病や尿路結石を患わないために、毎日有酸素運動を行う習慣を取り入れましょう。
参照:厚生労働省
4、1日2Lを目安にした水分摂取を行う
尿路結石を避けたい場合は、食事以外で1日2Lを目安に水分摂取を行いましょう。
500mlのペットボトルを4本摂取するイメージで、水分は水やお茶が好ましいです。
理想的なのは朝起きたタイミングから1時間ごとに100ccずつ摂取すると、体に負担なく摂取できます。
水分不足は血中濃度を上げてしまうため、尿路結石を避けるためにもこまめに水分を取りましょう。
まとめ
尿路結石は男性がかかる病気というイメージが強いですが、今では女性でもかかりやすい病気の一つです。
食生活の乱れや過度なダイエット、水分摂取不足などが大きな原因としてあげられます。
規則正しい食生活や運動習慣、水分摂取を意識することによって、結石が体にできてしまうリスクを下げることが可能です。
尿路結石にならないように予防したい方は、本記事でご紹介した内容を参考にしながら生活改善を図ってみてください。
神楽岡泌尿器科では、院長直通の無料メール相談も承っています。尿路結石に対して不安に感じていることがある方は、お気軽にご連絡ください。

【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など