背中から腰にかけて激痛が走ることもある尿路結石。
尿路結石は10人に1人が発症している国民病として注目されており、人生で経験する三大激痛の一つです。
放置していると、痛みが強くなるだけでなく、腎臓の中で大きくなってしまい、腎臓機能の低下を引き起こす可能性があります。
今回は、尿路結石の治療方法や予防法についてご紹介します。尿路結石の疑いがある方や、治療方法が気になる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など
尿路結石の治療方法
尿路結石の治療方法は、結石のサイズが8mm以下の場合と、100mm以上の場合で変わります。
どのような治療法になるのか、それぞれサイズ別に治療方法をご紹介します。
8mm以下は保存療法
結石が8mm以下の場合は、薬物治療や生活改善で自然排出を促す保存療法を選択できます。
たとえば、積極的に水分を摂取することで、自然排出を促すことが可能です。水分摂取は、食事以外に1日2,000ml以上(※)が目安になります。
※参照:尿路結石症診療ガイドライン
500mlのペットボトル4本分を毎日食事以外で取るように意識すると考えるとわかりやすいでしょう。可能であれば、ミネラルウォーターや麦茶、ほうじ茶などがおすすめです。
また、尿路結石を早く出したい場合は水分摂取とあわせて適度な運動を心がけましょう。適度の運動を行うことで、尿管を刺激できるため、結石の排出を促せます。
自然排石までの平均日数は、以下の表の通りで報告されています。
結石のサイズ | 平均日数 |
2mm以下 | 8日 |
2~4mm | 12日 |
4mm以上 | 22日 |
生活状況によって排出できる期間が変わるため、水分摂取や食事、適度な運動を意識してみてください。
10mm以上は手術療法
結石のサイズが10mm以上の場合は、手術療法で治療を進めていきます。
手術療法は、大きく分けて3つあります。
- 体外衝撃波砕石術
- 経尿道的結石砕石術
- 経皮的腎・尿管砕石術
どの治療法も入院が必要で、期間の目安は以下のとおりです。
手術方法 | 入院の目安期間 |
体外衝撃波砕石術 | 1日~2日 |
経尿道的結石砕石術 | 数日~1週間 |
経皮的腎・尿管砕石術 | 1~2週間 |
ただし手術を行う施設・医師によって入院期間が変わる場合があるため、仕事を休む際には事前に確認しておくと良いでしょう。
尿路結石の治療に必要な費用は?
尿路結石の治療に関する費用は、治療方法や対応してもらう医療機関によって変わります。
たとえば、尿路結石の体外衝撃波砕石術でも、3万円で対応してくれるところもあれば、8万円のところもあります。
また、日帰りが可能かどうかによっても費用が変わるため、かかりつけ医や気になっている医療機関の医師に相談してみましょう。
尿路結石になったらやってはいけない注意点
尿路結石になった際には、シュウ酸を豊富に含む食べ物や飲み物の過剰摂取は控えましょう。
尿路結石はシュウサンカルシウムが結晶化したもので、ほうれん草やコーヒーなどに多く含まれています。
また、お茶類やナッツ・チョコレートの摂取を控えると良いでしょう。
さらに、注意しないといけない点が、尿路結石は一度取り除けても再発する点です。尿路結石は、再発リスクが高い病気の一つとして知られています。
運動不足や肥満傾向なども結晶化リスクを高めるため、注意しましょう。
尿路結石の予防法
ここからは、尿路結石の予防方法についてご紹介します。
- 水分を摂取を意識した生活を送る
- 定期的な検査を受ける
- バランスの良い規則正しい食生活を心がける
再発リスクを下げるためにも、それぞれの予防法を確認しておきましょう。
水分を摂取を意識した生活を送る
尿路結石の予防法として水分摂取を意識した生活を送りましょう。水分摂取は、食事以外に1日2,000ml以上(※)が目安になります。
また、2,000ml以上の水分摂取が必要になるため、朝から1時間ごとに200ccずつ摂取していくと良いでしょう。
さらに、300ml程度はしっかりと膀胱におしっこを溜めた状態にして、トイレに行くようにしてください。
定期的な検査を受ける
尿路結石の予防法として、定期的な検査も意識しましょう。1度尿路結石ができてしまうと、再発しやすいです。
初期状態の段階で発見できた場合、症状が軽いうちに対処できるため、体や精神面に負担が少なくて済みます。
バランスの良い規則正しい食生活を心がける
予防法としてさらに意識したいのが、バランスの良い規則正しい食生活です。食事療法を行わない場合の結石の再発率は5年で60%と言われています。
一方、食事療法を行った場合は、20%程度まで下げられるため、バランスの良い規則正しい食生活がおすすめです。
積極的に食事に取り入れたい食材は、乳製品や大豆製品、骨ごと食べる魚など、カルシウムを多く含む食材の摂取を心がけてみてください。
ほかにも、クエン酸や水の摂取を意識するのがおすすめです。塩分や糖分を控えるほか、コーヒーやチョコ・緑茶などのシュウ酸を多く含む食材を避けてくださいね。
まとめ
尿路結石は、一度できてしまうと再発しやすい病気です。
また、治療法によって入院する期間や費用が変わるため、早めの段階で発見できると良いでしょう。
すでにある場合は、医師と相談しながら治療方法を決め、規則正しい水分摂取を意識した生活を送ってください。
神楽岡泌尿器科では、院長直通無料メール相談も承っております。人には相談しづらいおしっこに関するお悩みや尿路結石に関するご質問など、お気軽にご相談ください。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など