オシッコをした時、血尿が出ると焦りますよね。前立腺肥大症が原因なのか、はたまた他の原因があるのか…
前立腺肥大症で血尿が出ることは度々あります。特に排尿の最初の方に血尿が多い場合は前立腺肥大症による血尿の可能性が高いです。
ただし、排尿の最後の方に血尿が多い場合については、腎臓や膀胱から出血している可能性があるためすぐに通院してください。
今回の記事では、多くの前立腺肥大症の患者さんを診てきた神楽岡泌尿器科が、前立腺肥大症で起こり得る血尿や、血尿が見られた時の対処法について解説します。
専門用語を使わず噛み砕いて説明しておりますので、専門書で断念した方もぜひご覧ください。
前立腺肥大症で血尿が起こる原因
前立腺肥大症になると、尿道が圧迫されて排尿がスムーズにいかなくなり、その結果、膀胱や前立腺に負担がかかることで、尿道粘膜という部分が充血し、そこから出血してしまいます。
さらに、血尿は「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」の2つに分類され、前立腺肥大症による血尿の原因は以下に分けることができます。
肉眼的血尿(見ただけでも分かる血尿)
前立腺が肥大して尿道が圧迫されると、尿道粘膜が充血し、粘膜から出血して肉眼的血尿が起こることがあります。
尿が赤やピンク色に見える場合は、肉眼的血尿の可能性が高いです。また、血尿に血の塊が混じることもあります。
顕微鏡的血尿(見た目ではわからない血尿)
肉眼的血尿ほど出血量が多くない場合は、見た目では血尿と気づかないことがあります。
このような場合は、顕微鏡的血尿と呼ばれ、尿検査で赤血球が検出されることで診断されます。
前立腺肥大症の手術後に血尿が出る場合も
前立腺肥大症の手術後、しばらくの間は血尿がみられることがあります。これは、手術の際に前立腺や膀胱の粘膜が傷つくことが原因です。
術後の血尿は、多くの場合、時間の経過とともに自然に止まります。しかし、大量の血尿や血の塊が出る場合は、合併症や感染症などの可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
関連記事:前立腺肥大症の手術リスクを種類・年齢別に紹介します
前立腺肥大症で血尿がみれらたときの対処法
血尿が出た場合、まずは痛みや排尿の具合を確認してください。激痛が無く、通常通り尿が出る場合は、翌日以降の通院で大丈夫です。
反対に、排尿時に痛みがある、尿が出ないなどの場合は重篤な異変が起きている可能性があるため、今すぐに受診してください。
血尿が見られた場合は、以下のどの色に当てはまるかも確認しておきましょう。
- 赤茶色(黒っぽい)
- オレンジ色
- 鮮やかなピンク色
- 濃い赤
前立腺肥大症以外で血尿が起きるケース
血尿は前立腺肥大症以外にも、様々な原因で起こることがあります。ここでは、前立腺肥大症以外で血尿を引き起こす可能性のある主な疾患について解説します。
1. 前立腺がん
前立腺がんは、前立腺肥大症と同じく高齢の男性に多い病気です。初期段階では自覚症状がない場合も多いですが、進行すると血尿、排尿困難、骨盤痛などの症状が現れることがあります。
前立腺がんによる血尿は、初期には顕微鏡的血尿であることが多く、進行すると肉眼的血尿になることもあります。
2. 膀胱炎
膀胱炎は、細菌感染などによって膀胱に炎症が起こる病気です。頻尿、排尿痛、残尿感などの症状に加え、血尿がみられることもあります。
3. 腎盂腎炎
腎盂腎炎は、腎臓に細菌感染が起こり、炎症を引き起こす病気です。高熱、腰痛、悪寒などの症状に加え、血尿がみられることもあります。
4. 尿路結石
尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱などに結石(石)ができる病気です。結石が尿道を傷つけることで、血尿が起こることがあります。
尿路結石による血尿は、結石が移動したり、尿路を塞いだりする際に起こりやすく、激しい痛みを伴うことが多いです。
また、前立腺結石ができ尿道側に出てしまうことで尿道内部を傷つけ出血してしまうというケースもあります。前立腺結石については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
無症状で気づきにくい!前立腺結石の原因・症状・治療方法をまとめて紹介
血尿が見られた場合は早い段階で泌尿器科を受診しましょう
血尿は前立腺肥大症以外でも、腎臓や尿道の異常でも現れます。疾患を見つける糸口になることも少なくないため、早い段階で検査を受けるようにしましょう。
泌尿器科では「テストテープ」を用いた尿検査などを行い、採血や問診などの結果を複合的に判断して血尿の原因を探ります。
前立腺肥大症で行う検査について詳しくは、以下の記事で解説していますので、検査が不安な方は一度ご覧ください。
前立腺肥大の検査って何をするの?不安を解消するために知っておこう
まとめ
今回は前立腺肥大症と血尿の関係について解説しました。血尿は前立腺肥大症でも起こり得ますが、その他疾患の症状でも起こり得るため早めに検査を受けましょう。
【こんな症状がある場合は今すぐ病院に行く】
- オシッコが赤茶色(黒っぽい)
- 排尿時に激痛がある
- 尿が全く出ない
通院の判断がつかない場合は、神楽岡泌尿器科の院長直通メールをご利用ください。
前立腺肥大症でお悩みのことが非常に多いと思います。症状が辛い場合や進行している場合は日帰りの手術も可能です。
根本的な改善をしたい方は、ご相談ください。
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【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など