「横になるとトイレに行きたくなる、夜熟睡できなくてつらい…」
よく相談される内容です。これから寝ようと思った時にトイレしたくなるのは結構ストレスですよね。
そこで今回は、オシッコに関する多くの悩みを解決してきた神楽岡泌尿器科が、横になるとトイレに行きたくなる原因と対処法について解説します。
専門用語を使わずわかりやすく解説しているので、一つひとつ学んでいきましょう。
横になるとトイレに行きたくなる4つの原因
横になるとトイレに行きたくなる原因は大きく4つあります。それぞれ見ていきましょう。
1.寝る前に水分を摂りすぎている
最近「寝る前に水分を摂らないと血液がドロドロになっちゃうから…」と、就寝直前に水分を摂る人が多い印象です。
しかし、実は日中にしっかりと水分補給していれば、寝る前に飲まなくても血液はサラサラになっています。詳しくは後述しますが、一日で2リットル飲んでいればOK。
もしドロドロになっていたらそれは脱水ではなく、別の理由なので受診しましょう。
2.加齢により抗利尿ホルモンの分泌量が低下している
夜は抗利尿ホルモンという物質が出ています。これにより、寝ている間は尿が作られにくくなるのですが、この抗利尿ホルモンは加齢と共に分泌量が低下してしまうことが特徴。
そのため、高齢になると夜トイレで起きてしまうというわけです。ただし、加齢以外でも病気によって抗利尿ホルモンが出にくくなることもあります。
一日10リットル近くオシッコが出る、日中も夜も頻尿だという方は加齢以外の可能性があるので、受診しましょう。
3.過活動膀胱になっている
過活動膀胱も、横になるとトイレに行きたくなる原因の一つです。ただ、これは日中にもトイレに行くことが多いことが特徴。
過活動膀胱については男性、女性それぞれに特徴があり、以下の記事で解説しています。頻尿で悩んでいる人は一度見てみてください。
4、循環器疾患で治療している
心不全や下半身の浮腫などがある方は、臥床の体勢で腎臓への血流が増えることがあります。薬の影響もありますので、担当の先生にもご相談ください。心臓の負担から僕の話す２リットルの水分補給が不適当な方がいらっしゃいます。
即実践！横になってトイレに行きたくなった時の対処法2つ
ここではすぐにできる対処法を解説します。まずは試してみてください。
1.寝る前の水分補給をやめてみる
もし寝る前に水分補給をしているのであれば、辞めてみるのも一つの手です。詳しくは後述しますが、日中しっかりと水分を摂取していれば寝る前に水分補給をしなくても問題ありません。
2.普段飲んでいるものにカフェインやアルコールが無いかをチェックする
コーヒーや緑茶に含まれる「カフェイン」や、お酒に含まれる「アルコール」には利尿作用があり、トイレが近くなります。
もし寝る前に晩酌をしている、お風呂上がりには緑茶を必ず飲んでいるなど習慣の中にカフェインがあれば、それが横になるとトイレに行きたくなる原因かもしれません。
一度生活の中のカフェインとアルコールを見直して見てください。一般的に利尿作用は3〜5時間継続すると言われているので、布団に入る時間から逆算して考えましょう。（夜11時に寝るなら、夕方18時からは飲まないなど）
これから日常的にした方がいい3つの習慣
ここからは日常の習慣にすると、横になっても尿意が増さず安眠できる可能性が上がります。
1.一日合計2リットルの水分補給をする（1時間で200ml）
一日に合計2リットルの水分補給をすると、ちょうどいい濃さのオシッコを出せます。しかし、一気にとるのはおすすめできません。夕食前に飲み終えるのがコツです。
目安としては1時間に200ml（コップ1杯）程度少しずつ飲むようにしましょう。もっとわかりやすくするなら、500mlのペットボトルを3時間かけて飲むのがおすすめ。
2.オシッコは溜めてからする
オシッコは、溜めてから行くと体にとって良い「快感オシッコ」になります。しかし溜め過ぎはNG。
一般的に膀胱は500mlほどの尿を溜められ、ベストなオシッコタイミングは300mlと言われています。300ml溜まった状態は、オシッコをしたくて貧乏ゆすりをしてしまうくらいの状態。
つまり、尿意を忘れて集中できる間はオシッコをしなくて大丈夫。作業に集中できないくらいオシッコに行きたいなと思ったタイミングでトイレに行ってください。それがちょうど300mlくらいです。
3.オシッコの量を測ってみる
オシッコの一回量を測って記録をつけるのも有効な手段です。100均で軽量カップを買うか、洗って使い続けるのが嫌な方は、尿検査のように紙コップでもOKです。
一回の量が大体どれくらい出ているのか、一日何回くらいトイレに行っているのかを記録する「排尿日誌」をつけておくのも最高。「何かおかしいぞ？」と気付いたり、受診した時に説明がしやすくなるのでおすすめ。
泌尿器科医もすぐに状況がわかるので、よりあなたの悩みを解決できる治療方針を決められます。
排尿日記のテンプレートを作ったので、使ってみてください。
まとめ
今回は横になるとトイレに行きたくなる人に向けて解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。
- 横になるとトイレに行きたくなる原因は「寝る前に水分を摂り過ぎている」「加齢により抗利尿ホルモンが低下している」「過活動膀胱になっている」こと
- すぐにできる対処法は「寝る前に水分補給しない」「カフェインとアルコールを見直す」
- おすすめの習慣は「1時間で200ml×10の水分を飲む」「オシッコは溜めてからする」「オシッコの量を測ってみる」
もしこの記事でも解決できなかったなら、メールください。神楽岡泌尿器科では院長直通の無料メール相談を実施しています。
通院せずに日常でできるアドバイスもできますので、お困りのことがあればお気軽にどうぞ。
また、対処法で紹介した「快感オシッコ」は本にしています。多くの人が間違ってしまうオシッコの仕方について書いた本で、日常でできる具体的なお悩み解決法を掲載しているので、オシッコで悩んでいる人に届けば幸いです。
著者：渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など