おしっこの切れが悪くいつまでもポタポタとおしっこが出てしまう、ズボンにおしっこを付けないように苦心している方も多いです。おしっこは毎日あることなので、一度悩むと生活の中でストレスが生まれてしまいます。
そこで、泌尿器科が年々おしっこの切れが悪くなってくる原因と改善方法を医学的に解説していきます。
この記事を参考に、生活のストレスを少しでも軽減できれば幸いです。
男性のおしっこの切れが悪い3つの原因
男性のおしっこの切れが悪い原因は大きく3つあります。
- 前立腺肥大症により、尿道が狭くなっているため。
- オシッコを出す指令の障害により膀胱の尿道の神経協調がうまくいっていないため。
- 排尿障害のために、尿道に尿が残りやすくなっているため。
それぞれ、何が原因でおしっこの切れと関連してくるのか、解説していきます。
1、前立腺肥大症により、尿道が狭くなっているため
男性のおしっこの切れが悪い原因として、1番多いのは前立腺肥大症です。
前立腺は尿道の周囲にあるため、前立腺が肥大化すると、尿道が押しつぶされておしっこがタラタラと出るようになります。
50歳代以上の男性で2割、80歳には8割が前立腺肥大を引き起こすと言われている程、メジャーな疾病です。年齢を重ねることで発症率が高まるため、年々おしっこの切れが悪くなってくる理由としてあげられます。
前立腺肥大症の自己チェックはコチラ
前立腺肥大症が一番メジャーな原因ですが、その他にも疾病が原因でおしっこの切れが悪くなる場合もあります。
前立腺肥大症以外に、尿道が狭いことで尿が通りにくくなる疾患一例
2、脳がおしっこを出す指令の障害により、膀胱と尿道の神経協調が上手くいってないため
脳から膀胱を収縮させる指令が出ることで、おしっこがでます。おしっこの切れが悪くなっているのは、自律神経の失調が原因です。
脳から膀胱を収縮させる指令が出ることで、膀胱からおしっこを出します。その際に尿道括約筋は協調して弛緩することでスムーズな排尿となります。
脳からの指令が上手く膀胱に伝わらないと、膀胱と尿道括約筋がうまく協調しないことでおしっこが尿道に尿が残り、終末時尿滴下(キレが悪いという)の症状になります。
この原因は、神経疾患や自律神経の失調により膀胱の動きがコントロールしにくくなるためです。歳を重ねることで既往歴も増えて行くため、おしっこの切れが年々悪くなっていくように感じられる方も多いです。
膀胱がおしっこを出す動きをうまくできていない原因の一例
- 糖尿病などの内分泌疾患による末梢神経障害
- 腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの整形外科的疾患(膀胱の神経が損傷された場合)
- 脊柱管狭窄
- 直腸がんなど、手術により膀胱の神経が傷つけられた場合
- 心因性頻尿や前立腺炎により、排尿のタイミングが悪くなる時
3、薬によって排尿障害を起こしているため
歳を重ねると既往歴が増え、薬を飲むことも多くなりがちです。その薬の副作用によって、おしっこの切れが悪くなっていることもあります。
おしっこの切れが悪くなる副作用がある薬一例
- 胃腸薬
- 下剤止め薬
- 抗うつ薬
- 過活動膀胱治療薬
おしっこの切れが悪くなるだけでなく、尿意があってもおしっこが出なかったり、そもそも尿がでにくかったりする副作用が出ることもあります。
おしっこの切れの悪さは自宅で改善できる
おしっこの切れの悪さを改善するためには、原因を把握し、原因に対応した改善方法が必要です。
かかりつけ医への相談が一番です。しかし、受診にハードルを感じてしまっている方は、まず自宅でできるトレーニングからやってみましょう。
自宅でできる!おしっこの切れを戻す骨盤底筋群トレーニングの方法
疾患が原因でも、おしっこをするために必要な機能を回復させれば、おしっこの切れを取り戻すこともできます。
気持ちの良いおしっこに戻すためにも、おしっこをするために必要な筋肉を若返りさせましょう。
骨盤底筋群トレーニング方法
- 仰向けになり、足を骨盤の幅に開いて両ひざを立てる。
- 吸う息で、下腹部・骨盤底筋に力を入れる。(肛門と下腹部だけを縮めるイメージ)
- 吐く息で、力を抜く。
- 1〜3を1回/日、5分程度から始めて、10〜20分までだんだん増やしていく。
運動と聞くと、面倒だったり、大変そうなイメージが先立つかもしれませんが、イメージとしてはヨガです。
おしっこには、普段生活しているうえであまり使わない筋肉を使用しますが、ゆっくりとヨガを行うイメージでゆっくりと、自分にあったペース・回数で実施すると良いでしょう。
「おしっこの切れが悪い」時の身体の中
おしっこの切れが悪い原因は、おしっこをするまでの身体の動きに問題があるためです。
おしっこは、①腎臓で作られる→②尿管を通って膀胱にたまる→③膀胱に150~250mL程度たると尿意が起こる→④脳が膀胱に収縮するよう指示を出す→⑤膀胱から収縮し、尿道を通って排尿されます。
おしっこの切れが悪い場合、原因はおしっこが物理的に通る道が狭まっているためか、神経を通じて膀胱が収縮して尿道括約筋が弛緩するといった協調する過程に問題がある場合が多いです。
おしっこの切れが悪いと、おしっこのたびにイライラしてしまう精神的なストレスだけでなく、「でなくなってしまうかも…」といった不安にもつながります。
おしっこの切れが悪い原因は自身ではみつけられないため、専門家へ受診し一緒に治療法を探していくこともオススメします。
まとめ
年々おしっこの切れが悪くなってきた方へ、理由と改善方法をお伝えしました。
原因を見つけ、早期に治療していくことが生活のストレスも軽減していくでしょう。
神楽岡泌尿器科では無料相談メールを承っています。
おしっこに関する悩みは人に相談しにくいもの。当院のメールは院長しか見ないので安心してご相談いただけます。
あなたの不安を一緒に解消していければ幸いです。
YouTubeにも動画をあげているため、相談前にどのような人か見てみたい方は、一度見てください。
また、著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
著者:渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など