子どもは大人よりも膀胱が未熟なため、トイレ回数は多いものです。
しかし、急にトイレの回数が増えたり、おしっこがでないのにトイレに行きたがっている様子を見ると、このままでいいのか不安になりますよね。
そこで、オシッコ博士である神楽岡泌尿器科の院長が、子どもの年齢ごとのおしっこ回数からご紹介します。
この記事を通して、不安材料を減らし正しい知識をもとにお子さんに向き合ってみてください。
子どものおしっこの回数とトイレ間隔
子どもは大人に比べて膀胱が小さく、幼い頃はトイレ回数が非常に多く感じられるでしょう。しかし、4歳頃には成人と同じくらいのトイレ間隔が可能となるため、1日に8回程度に落ち着いてきます。
正常なトイレ間隔 | 回/日 | |
1~2歳 | 2時間おき | 8~12回/日 |
3~4歳 | 3時間おき | 5~9回/日 |
4歳以降 | 3~6時間おき | 4~8回/日 |
成人 | 特になし | 8回/日 |
上記の基準よりも大幅にトイレに行くまでの間隔が短かったり、トイレに行く回数が多かったりすると頻尿である可能性が出てきます。
また、4〜5歳の年ごとで、10回/日以上のトイレ回数であったり、2時間より短い感覚でトイレに行く場合は、頻尿と判断されることが多いです。
もちろんこれは1回の排尿量を考慮していないので、基本、本人が尿意を感じているのか?排尿した時の不快感があるかどうかが問題となります。
子どもの頻尿の原因は5つ
子どもの頻尿の原因の多くは、5つです。
- 膀胱炎・・・大腸などの細菌が感染して起こる。尿が出にくい・排尿時痛などの症状もある。
- Ⅰ型糖尿病・・・血糖値が高く、喉の渇き・多飲多尿も見られる。
- 尿崩症・・・多飲多尿か、抗利尿ホルモンが働いていないため起こる。
- 過活動膀胱・・・排泄器官が未熟なため起こりやすく、成長とともに治っていく。
- 心因性頻尿・・・ストレスが原因で頻尿が起こる。子どもの頻尿の1番の原因。
子どもの頻尿は重大な病気が隠れていることもありますが、1番多い原因は心因性頻尿です。
判断するポイントは、頻尿以外の多飲多尿・排尿時痛・尿の出にくさなどの症状も出ているかどうか。
また、集中していたり、寝ていたりするときに頻尿がなくなる場合は、ストレス性の心因性頻尿の可能性が高いです。
子供はオシッコを制御する排尿反射が未成熟なため、大人にとってはちょっとしたことでもストレスを感じ、尿意を感じやすいという特徴があります。
ストレスで頻尿のなる理由、解決方法を知りたい方
子どもの頻尿の改善方法
子どもの頻尿の原因が疾病の場合は、疾病に対する治療が一番の改善方法です。
しかし、子どもの頻尿が心因性頻尿の場合は、薬による治療よりも生活習慣や子どもに余計なストレスを感じさせないようにする方が効果的でしょう。
具体的には、子どもがトイレに行きたいタイミングで、望むとおりにトイレに連れて行って行くうちに自然と治っていきます。
- 「また行くの?」「どうせまた出ないでしょう!」と指摘したり怒ったりする。
- 子供の話を聞かずに、トイレに行くことを叱りつける。
- 頻尿だから飲むのを控えるように言うこと。
- 早く行ってきなさいと急かすこと。
子どもは繊細で、少し環境が変わったり、発表会など緊張するイベントが差し迫っていたりすると、急に頻尿になってしまいます。
怒る・叱る・トイレ回数を指摘するなどはせず、子どもに同調して安心させる声かけを行ってください。
トイレトレーニングを行う際、トイレでオシッコをしただけで褒めすぎないようにしてください。
「トイレでおしっこを出すとお母さんや先生が喜んでくれる」と子どもにインプットされてしまい、健気な子どもたちは無理しておしっこを出そうとして、頻尿になってしまうこともあります。
難しいですが、焦らず、褒めすぎないようにバランスを取りましょう。
参考記事
トイレトレーニングの進め方や注意点を泌尿器科医が紹介!おしっこの仕方が肝心
子どもの頻尿の治療法
子供の頻尿の原因が疾病だった際は疾病に対する治療を行いますが、心因性頻尿の場合は、薬を出したり、何か特別な治療を行ったりはしません。
当院では、子どもに安心させるような声かけを行い、親御さんにどのような指導をしているを確認し「よその子はよその子、うちの子はうちの子」のペースでとどっしり構えるようにお伝えしています。
まとめ
子どもの頻尿の原因は様々あります。疾病による頻尿もたしかにありますが、多くは心因性による頻尿のため、心配しなくても自然と治っていく症状です。
心因性の場合は指導のみ行うため、効果的な治療薬・的確な指導もありません。子ども1人1人によって異なった不安を取り除いてあげましょう。
とはいっても親御さん1人だと不安も募ってしまいますよね。
当院では、無料のメール相談を随時受け付けています。勿論、相談したからといって必ず当院に受診に来る必要もありません。気軽に、子どものオシッコの不安をご相談いただければと思います。
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また、当院の院長はオシッコスペシャリストとして、子供の排尿について「どのように教育したらいいのか困っている」という方の答えになるように、オシッコの本を出しています。
著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
『気持ちいいオシッコのすすめ』
著者:渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など