そもそも、残尿感は感覚のため、どのような感覚を残尿感と言っているのか、ちゃんと応えられない方も多くいらっしゃいますし、残尿感と一口に言っても原因は様々です。
残尿感とはどのような感覚なのかなど、基本的な知識から男女別の残尿感の原因となる疾病の紹介と解決方法を合わせて神楽岡泌尿器科がご紹介します。
残尿感は日常生活に影響が出やすい症状です。早めの対策・予防が出来るように、参考にしてみてください。
【基本】残尿感とは?
残尿感とは、おしっこをした後にも残った感じがすることを言います。実際に尿が膀胱に残っている場合もありますが、多くは膀胱が空っぽでも残っているように感じているだけの場合が多いです。
また、具体的に残っていると感じなくとも、おしっこした後もスッキリしないなど、排尿に違和感がある場合も残尿感の一種です。
残尿感の一例
- 尿意があってトイレに行くけれど尿があまり出ず、常に違和感がある
- 最近急に尿が残るするな気がして、トイレも近くなった気がする
- 残尿感のほか、排尿時に違和感や痛みがある
残尿感を抱えたままだと、「漏らしてしまうかも」「トイレにいつも行きたいと思ってしまう」など、日常生活に支障も出る症状です。原因が大きな疾病の場合もあります。
「残尿感があるくらい」と考えず、原因を解明し早期発見・早期治療が必要な症状なんです。
残尿感の具体例をもっと知りたい方は、「【事例紹介】残尿感の対処法をDr.の解説付きで紹介!スッキリおしっこしたいと悩む全ての人へ」をご参照下さい。
実際に残尿感のために受診された方の事例を紹介しています。
残尿感の原因
残尿感の原因は、排尿に関して性差が大きく、男女別で原因となりうる疾病が異なります。残尿感がある際に考えられる病気の上位3つを、男女別にご紹介します。
- 膀胱炎
- 神経因性膀胱
- 骨盤性器脱(女性のみ)
女性は、男性と比べて尿道が短いため菌が膀胱に侵入しやすい傾向があります。そのため、膀胱炎により残尿感があることが非常に多いです。
骨盤性器脱は、お産を経験された女性の約半数が生涯の内に起こしていると言われており、膀胱が下へ下がってしまうと残尿感が出やすくなります。詳しくは、「女性特有の病状 骨盤性器脱」でも解説しています。
他にも女性が残尿感の原因となる疾病としては、過活動膀胱・更年期などもあります。そのほかの女性ならではの残尿感については、「残尿感は女性の方がでやすい?性別差が出る原因と対処法を解説」もご参照下さい。
- 前立腺肥大症(男性のみ)
- 神経因性膀胱
- 前立腺炎 (男性のみ)
男性の残尿感の原因は前立腺が原因となる場合が多いです。
前立腺は、尿道を覆っているため前立腺が肥大化したり炎症が起こったりすると、尿が排尿されにくくなり、残尿感がでてしまいがちになります。
それぞれの疾病の症状・原因が知りたい方は、「【原因と解消法】残尿感があるときに考えられる病気TOP5」をご参考ください
残尿感と痛みが一緒にある場合
残尿感と一緒に排尿時に痛みを感じる場合は、膀胱炎・尿道炎・包皮炎の可能性が高いです。
残尿感・排尿時の痛みを感じる理由の多くは、排尿にまつわる尿管・尿道・膀胱の炎症です。他にも、菌による炎症が起こる性感染症も考えられます。
いずれにしても残尿感・排尿後の痛みは、疾患が原因の場合が多い傾向があります。
残尿感と痛みが一緒にある場合、日常生活にどう気を付けるべきかや治療方法は、「残尿感と排尿後の痛みが一緒にある。これってなんの病気なの?を泌尿器科が教えます。」をご参照下さい。
残尿感と血尿が一緒にある場合
血尿とは尿に血が混ざることを言いますが、残尿感と血尿が同時に起こっている場合は、血尿の色によって考えられる疾病が異なります。
残尿感と鮮やかなピンクや赤色の血尿が同時に起こっている場合は、尿管・膀胱・尿道内での感染症が多いです。
免疫力が低下している女性に多く見られますが、生理の影響もあるため、定期的な観察で原因を探ってみる必要があります。
また、残尿感と濃赤色の血尿があった場合は、膀胱結石や尿管結石、膀胱がんなどの泌尿器疾患だけでなく、がんの可能性もあるためより注意が必要です。
自分では、尿の色が正常か異常も分かりにくいですよね。「先生教えて!私のおしっこの色は異常?尿で健康の全てがわかる」では、健康な尿と異常な尿もご紹介しているため、ご参照ください。
残尿感の解決方法は「気持ちいいおしっこ」をすること
残尿感を自分で解決する方法は、自然にいきまずおしっこをする「気持ちいいおしっこ」です。気持ちいいおしっことは、しっかりと尿を膀胱にためてから排尿することで、いきまずに自然と尿が出るおしっこのこと。
もともと、排尿トラブルの初期症状は、生活習慣を見直すことで改善が可能なケースがほとんどです。気持ちいいおしっこに戻すためにやることはたった3つのため、ぜひ排尿トラブルに悩んでいる方は実践してみてください。
- 1日2リットルを目標に、積極的な水分摂取を行う
- 尿意を感じてもちょっと我慢してからトイレに向かう
- 排尿時にいきまない
1. 「1日2リットルを目標に、積極的な水分摂取を行う」理由
水分摂取が大事な理由は、腎臓機能を助け、尿管→膀胱→尿道を続く尿路の健康と衛生を保つためです。尿をつくるための尿路が健康で衛生的であれば、残尿感や排尿時の痛みを起こす可能性が減らせるでしょう。
1日2リットルの水分摂取を行うのは大変ですが、こまめに行うと少し楽にできます。
例えば、朝起きてから夕飯までのおおよそ10〜12時間の間に、1時間に200mlずつ小分けに飲むイメージです。
「そんなに水は飲めないよ…」と感じる方は、「【実践編】効果的な頻尿改善トレーニング「快感おしっこ」を紹介」を参照してください。水をたくさん飲めない方へアドバイスを載せています。
2. 「尿意を感じてもちょっと我慢してからトイレに向かう」理由
尿意を感じてもちょっと我慢してからトイレに向かうと良い理由は、残尿感がある方は、排尿トラブルになりがちだからです。
本来、膀胱の容量は約500mlで、300mlくらい尿が溜まると尿意を感じますが、残尿感・頻尿の場合、100〜200ml程度でトイレに向かってしまいます。
しっかりと膀胱に尿がたまる前にトイレに行くと頻尿になる習慣がついてしまうため、尿意を感じてもちょっと我慢をし、膀胱に尿をためる訓練をしましょう。
3. 「排尿時にいきまない」理由
排尿時にお腹に不要な力が入っており、いきんでしまうと、外からの力で無理やり膀胱から尿を出そうとする力が働くため正常な排尿ではなくなってしまいます。
いきむだけで、余分な力が入り、膀胱や尿道の筋肉に日々大きなダメージを負わせているんです。排尿トラブルを引き起こしてしまう可能性が高くなります。
しかし、「排尿時にいきまない」と言われても、いきんでいる自覚がある方は少ないです。いきんでいる状態が普通だと思っているためです。
一度トイレに行った際に、新聞や雑誌の音読や歌を歌ってみてください。いきんでいると、声を出しながら排尿するのは難しいためです。
自然と尿がだせるほど、リラックスした排尿を行うことで、排尿トラブルの可能性がへらせるため、ぜひチャレンジしてみてください。
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まとめ
残尿感の基本知識・原因・解決方法をご紹介しました。残尿感は日常生活に影響が出やすい症状です。早めの対策・予防が重要になってきます。
痛みや血尿と複合している場合は特に大きな疾病が原因となっている可能性も高いため、早期発見のため早めの受診を心がけましょう。
とはいっても、排尿に関することを誰かに相談するのは恥ずかしいと思ってしまいがちです。
当院では、無料のメール相談を随時受け付けています。勿論、相談したからといって必ず当院に受診に来る必要もありません。気軽に、オシッコの不安をご相談いただければと思います。
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排尿に関しては、分かりやすいようにYouTubeで解説動画も作成しているため、ぜひご参考にしてみてください。
院長の渋谷先生がどんな人かみてみる
当院の院長はオシッコスペシャリストとして、オシッコの本を出しています。
著書ではより詳しくオシッコの習慣について書いています。おしっこに悩む全ての人に捧げた本なのでお悩みの方は参考にしてみてください。
『気持ちいいオシッコのすすめ』
著者:渋谷秋彦
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など