「水分取っていないのにトイレ近い」原因を泌尿器科が解説

水分を取ってないのにも関わらずトイレが近い、頻尿。

私の病院に来る方々でこう悩む人は少なくありません。水分とっていないのにおしっこが近い=頻尿で悩む人は、様々な原因があります。

今回は、神楽岡泌尿器科 渋谷がその理由と対策をお伝えします。

自分のおしっこと向き合って気持ちいいおしっこができるよう参考にしてみてくださいね。

 

水分をとっていないのにトイレが近い4つの原因

水を全然飲んでいないのにもかかわらずトイレが近くなる原因は大きく分けて4つあります。

  • 理由①:膀胱に貯められるおしっこの量が少ないため
  • 理由②:自分の意志とは無関係に膀胱が収縮してしまう過活動膀胱になっているため
  • 理由③:腎臓機能の低下や利尿作用のある食品の摂取過多により、尿量が増えているため
  • 理由④:なんとなくトイレのことが気になって、トイレに行きたくなってしまうため

なぜ、水分とっていないのにおしっこがしたくなるのかをご紹介します。

 

【理由①】膀胱に溜められるおしっこの量が少なくなっているため

膀胱が溜められるおしっこの量は、500ml程度と言われています。しかし、膀胱に貯められるおしっこの量が減ると100~150mlしか溜まっていない時も「トイレに行きたい」と思うようになり、水分をとっていないつもりでも、すぐにおしっこがしたくなるでしょう。

原因は、膀胱容量が減ってしまう膀胱炎や過活動膀胱だったり、物理的に容量が減ってしまう前立腺肥大などの病気が原因になったりする場合が多いです。

ただし原因は病気ばかりではなく、長年の習慣でトイレに行きたくなるより前にトイレに行く習慣を続けていると、おしっこをためる機能が衰えてしまって溜めておける容量が減っている可能性も十分に考えられます。

 

【理由②】自分の意志とは無関係に膀胱が収縮してしまう、過活動膀胱になっているため

過活動膀胱とは、女性に多い症状で、自分の意志とは関係なく勝手に膀胱が収縮してしまい、トイレに行きたくなってしまう状態のことをいいます。おしっこが溜まって尿意を催している訳ではないため、「トイレに行きたい!」という思いが強いにも関わらず1回の排尿量が少なく、水分をとっていなくても結果的に何回もトイレに行くこととなるでしょう。

過活動膀胱の原因としては、神経回路に障害が出ている場合や、女性なら加齢や出産で膀胱・子宮・尿道を支える筋力が衰えて過活動膀胱になってしまう場合が考えられます。

 

【理由③】腎臓機能の低下や利尿作用のある食品の摂取過多により、尿量が増えているため

おしっこが1日で作られる量が増えると、必然的にトイレに行く回数が増えるでしょう。おしっこの量が増える原因として、コーヒーや紅茶など利尿作用のある食品を摂りすぎたり、腎臓の機能が低下していたりする場合が考えられます。

利尿作用とは、余分な水分やナトリウムをおしっことして排泄を促す働きのことで、コーヒーや紅茶を飲むとおしっこの量が増え、それに応じてトイレ回数も増えるでしょう。

また、腎臓の機能が低下することでどうしておしっこの量が増えます。そもそも、腎臓は、1度作ったおしっこから使える水分を吸収して身体に戻す作用があり、おしっこの量を減らす機能があるとも言えるんです。

糖尿病などで腎機能が低下していると、おしっこの量が通常よりも減らないままおしっことして排泄されるため、トイレ回数が増えてしまいます。

 

【理由④】なんとなくトイレのことが気になって、トイレに行きたくなってしまうため

人間の身体は、精神的影響を強く受けます。おしっこに関していえば、「トイレに行きたい」と友人が言い出したら、なんとなくトイレに行きたいと思いませんか?他にも、発表会やデートなど緊張している時に何度もトイレに行きたくなってしまうこともありませんか?

そのような、なんとなくトイレが気になっている状態や緊張をする場面では、水分を取っていなくてもトイレに行く回数が増えてしまいます。

「一時的なものじゃないの?」と思われがちですが、実は一過性の症状としてだけでなく、その後も日常生活に支障が出るほどトイレに行く回数が増える場合もあります。

動画でも原因について院長渋谷が詳しく解説しているのでご確認ください。

 

知っておこう!水分とっていないのにトイレが近い4つの対策

頻尿の改善のためには、快感オシッコを身に着ける必要があります。

『快感オシッコ』とは
  • 1日2リットルの水分摂取
  • おしっこは溜めてからする
  • おしっこの不安から脱却
  • 排尿日誌をつける

快感オシッコを身に着ける理由・方法をご紹介します。

 

【対策①】1日2リットルの水分摂取

1日2リットルの水分摂取をすることで、腎臓機能を保ち、尿管→膀胱→尿道と続く尿路の健康を促す効果が期待できます。頻尿の方は、腎機能の低下や、尿道・膀胱に何か異常がある場合が多いです。そのため、1日2リットルの水分摂取をすることで頻尿対策につながります。

しかし、1日2リットルと考えると、頭の中に2Lペットボトルを思い浮かべ「そんなに飲めない」と思ってしまう方が多くいらっしゃいますが、ちょっと考え方を変えると、1時間200mlを10回行えば達成できるんです。

200mlはだいたい缶コーヒー1本分程度です。6時に朝起きるとして1時間に缶コーヒー1本分程度飲むとすると、午後4時にはノルマ達成です。夜間は夜中にトイレに行きたくなるため、夕食以降にも習慣を続けるのは控えましょう。

デスクワークの仕事をしている人であれば、一つの作業が終わるたびに一口飲むというように習慣づけると、200mlならあっという間に達成できます。外回りの仕事をしている人は、500ccのペットボトルを1日かけて4本飲み終わるイメージです。

10時間かけて2リットルの水分を摂取することは、決して簡単なことではありません。だいたいでいいので無理せずすすめてください。

 

【対策②】おしっこは溜めてからする

おしっこは、膀胱に200~300ml程度溜まっている状態から一気に排泄するのが基本です。

頻尿の方の中には、100〜200ml溜まるとすぐトイレに行ってしまう方も多いため、しっかり溜めてから排尿するようにすることが、頻尿改善のために必須になってきます。とはいっても、自分のおしっこがどのくらい出ているかわからないですよね?

そんな方は、100円ショップで少し大きめの計量カップを買ってきたり、ビールやお茶の缶(350ml)、500mlのペットボトルの3分の1(300〜400ml)をカットしたりし、計量用に使うのがいいでしょう。

 

【対策③】おしっこの不安から脱却する

トイレに行かないと不安という方は、「映画が始まる前だから…」「授業があるから…」など、尿意がないのにも関わらずトイレに行く習慣がつき、日常的に尿意とは関係なくトイレに行きたくなってしまっている方も多いです。

そのような、日常生活で頻尿にお困りの方は、ぜひ「尿意がきたら10分だけ待つ」をしてみましょう。膀胱におしっこが溜まってからトイレに行く習慣を身に着けられる可能性が高いです。

膀胱は基本的に300ml程度溜まったら、かなり強い尿意を感じるようになり、そこから30分〜1時間は我慢できます。つまり、映画一本分・授業1コマ程度ならトイレを我慢できるんです。

そう簡単におしっこは漏らさないため、安心して「尿意がきたら10分だけ待つ」を実践してみて下さい。

もちろん僕も手術の前や会議、講演の前には排尿を済ませておきます。でもその時だけです。自然に自律神経の要求に応じてトイレに行くというだけで、トイレに行く回数を減らせるでしょう。

 

【対策④】排尿日誌をつける

「頻尿かもしれない…」と意識し始めると、病気があるのでは?と不安になることもあるでしょう。そもそも自分は頻尿なのか?何が原因で頻尿になっているのか?など、自分の身体のことなのに、どんな異常が起きているのかがわからない点が不安の種になっている方が多いです。

病院に行くことも検討し始めると思いますが、その前に自分の身体のことをちゃんと自分で知っておくことが大切になります。原因がわからなければ、自分で気をつけなきゃ!と意識しなくちゃいけないこともわからないでしょう。

自分の排尿のことを知るもっとも簡単な方法は、『排尿日記』をつけることです。

排尿日記といっても書くことは4つだけで『トイレに行った時刻、尿量、尿意、尿もれの有無』のみです。たった4項目だけ?と思っている方も多いかもしれませんが、泌尿器科医なら3日分程度の排尿日記で、その方の排尿状況が把握できます。

頻尿の起因が病気の可能性もあるため、1番は病院で判断してもらうことですが、自分で何が原因で頻尿になっているのか数値を見て安心できるかもしれません。

排尿日誌はこちらを印刷して使ってみてください。

 

排尿日記テンプレートPDFデータ

 

こちらの動画では「対策について」院長渋谷が詳しく解説しています。

神楽岡泌尿器科チャンネル

まとめ

水分をとっていないのにトイレが近い原因は大きく4つありますが、病気が隠れている場合もあるため、頻尿の方は病院を受診してみてください。そのうえで、①1日2リットルの水分摂取②おしっこは溜めてからする③おしっこの不安から脱却する④排尿日誌をつける対策を行いましょう。

自己判断をして放置したり、極端に不安になったりしている方も多いため、1度は病院を受診しましょう。

私、渋谷は旭川にある泌尿器科院長をしており、「排尿に関してのかかりつけ医」を目指しています。

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