「おしっこしている時間が長くなった」「トイレに入ってからおしっこが出るまでに時間がかかる」「一緒にトイレに行った友人や同僚より時間がかかる」など、おしっこの時間が長いことを悩んでいる方は多いです。
ここでは、一般的におしっこにどれだけ時間がかかるのかや、どんな原因があっておしっこが長くなってしまうのかを泌尿器科院長が解説します。
ただおしっこが長いだけだし病院に行くほどじゃないけど気になる!という方はぜひ参考にしてみてください。
排尿時間の基準は30秒以内
トイレをしよう!と思ってからおしっこが出始めて出し切るまでにかかる時間は、30秒以内が正常といわれています。
30秒以上かかっている場合や、おしっこを出し切った後にも、まだおしっこが残っているような気がしてもトイレから離れられない、便器に向かってからもしばらく排尿が開始されないなどの場合も含めて、その方は「おしっこが長い」です。
おしっこが長い方の原因として、膀胱のポンプ機能が低下している場合や排出路である尿道の開きが悪い(通過障害)可能性があります。
特に50歳以上の男性は2人に1人は前立腺が腫れる前立腺肥大症であるとも言われており、おしっこの出にくさや頻尿などを感じる方も多いです。
おしっこ長いけど「大丈夫なおしっこ」
30秒以上おしっこにかかっていても、膀胱や尿道の働きに問題がないという方もいらっしゃいます。おしっこにかかる時間の長い・短いは、膀胱の大きさや膀胱にたまっている尿の量によっても変わるからです。
一般的な膀胱の最大容尿量は500ml前後と言われており、150ml程度たまるとトイレに行きたくなるようになります。
つまり、一般的な膀胱の大きさに当てはめて考えたときに、「30秒以内におしっこがで終わらなければ、おしっこが長い」と考えられているだけなんです。
膀胱に溜まっている尿量が少ない場合は、当然早く排尿が終了しますし、膀胱の大きい方(たくさん我慢した時)は排尿時間が長くなることはあり得ます。
ただ、膀胱のポンプ機能が正常であれば、大量に尿が出たとしても概ね30秒で排尿は完了します。
ただ、そうはいっても「きっと私・俺は大丈夫!」と思っている方も多いと思うので、「危険なおしっこ」も知っておいてください。
おしっこ長くて「危険なおしっこ」
おしっこをしようと思ってから出し終えるまでの時間が30秒以上かかっている方は、何かしらの要因があり長くなっています。
- おしっこに勢いがなくなってきたと感じていませんか?
- おしっこをし終わった後でも、残っている感覚はありませんか?
- 日中の尿回数が多くなったり寝た後におしっこで起きたりしていませんか?
おしっこが長いうえに勢いがなく、タラタラとしかおしっこが出ない方は、膀胱〜尿道の機能異常があるということです。
- おしっこに勢いがなくなった
- トイレが近い
- 夜にトイレに目が覚めることが多い
- トイレに間に合わないことが増えた
- おしっこの切れが悪い。
- トイレに行ったばっかりでも、おしっこが残った感じがする
前立腺は尿道を囲っているため、その腫脹(腫れ)によって膀胱の出口を圧迫してしまい、尿の流れを悪くしてしまいます。
おしっこが長いあなたへの解決策
そうはいっても、「おしっこが長いと言っても、痛いわけじゃないし…」「生活に支障もないしなぁ」「今は大丈夫!」と考える方がほとんどでしょう。
「おしっこが長い」というだけで病院に受診するのは気が引けたり、面倒だったり、恥ずかしかったりとマイナスの印象が大きいためです。
しかし、大切なのは「おしっこが長い」ではなく、「おしっこが長いから膀胱や尿道に異変がある可能性」があるということ。
膀胱や尿道の機能異常で排尿している方は、長期にわたって膀胱の筋肉に負担かかかることによって、少しずつその働きが悪くなります。
膀胱が硬くなって(伸展性が悪くなって)おしっこが近く少なくなったり、膀胱が変形して尿を出しきれなくなるという後遺症を引き起こすことになるんです。
あなたのおしっこが長い原因を突き止めて、安心しておしっこができるようにしましょう!
また、自分のおしっこと向き合うことも大事です。向き合うためには「定量的」に評価しすること。そのために「排尿日誌」をつけるのです。
排尿日誌をつけるだけで、余計な検査をせずに解決していくこともあるし、自分のおしっこの正常を知ることができます。
気になる方は、ダウンロードして毎日つけてみてくださいね。
まとめ
おしっこの長さについて紹介していきました。
基準としては、30秒以内でおしっこが出ていれば長くはないとご紹介しましたが、少しでもおしっこの回数や出ている時間に違和感を感じたら、泌尿器科を受診しましょう。
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
また、おしっこの悩みに関する書籍も発売していますので、頻尿に悩まれている方は参考にしてみてください。
参考:Amazon
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など