腸活を調べていくうちに、必ずでてくるであろう単語が3つあると思います。
・プロバイオティクス
・プレバイオティクス
・シンバイオティクス
似たような単語でわかりにくい、違いがわからないと思う方もいるでしょう。
そこで今回は、プレバイオティクスについて紹介します。
腸活で登場するプレバイオティクスにはどのような効果があるのか、プロバイオティクスとの違いは何か、腸活にどう利用したらいいのかをお話させていただきます。
腸活するにはまずは事前知識として、体の中で何が起こっているのか知ることが大切です。
自分を理解した上で楽しく続けていきましょう。
プレバイオティクスとは
プレバイオティクスとは、腸内環境を作る善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌など)のエサとなる食品のことです。具体的には、オリゴ糖や食物繊維がプレバイオティクスに当たります。
医学的な基準の話になると、以下の通りになります。
プレバイオティクスに要求される条件は以下の通り。
①消化管上部で加水分解、吸収されない。
②大腸に共生する一種または限定された数の有益な細菌(ビフィズス菌等)の選択的な基質であり、それらの細菌の増殖を促進し、または代謝を活性化する。
③大腸の腸内細菌叢(フローラ)を健康的な構成に都合の良いように改変できる。
④宿主の健康に有益な全身的な効果を誘導する。引用:公益財団法人 腸内細菌学会
少々難しい言葉で説明されているため簡単にすると、プレバイオティクスを名乗っていいモノの条件が、4つあるということです。
4つの条件を簡単に、以下のように言い換えることもできます。
①胃酸などで消化されず、腸内細菌が多くいる大腸にまで届くこと。
②腸内細菌の有益なエサであること。
③腸内フローラを「善玉菌>悪玉菌」にすることができる。
④身体の健康につながる作用があること。
なんとなく、プレバイオティクスが腸内環境を良くしてくれるモノだとわかりましたか?
最初にも書かせていただいた通り、プレバイオティクスを摂ることで、善玉菌を増やして腸活に効果的な作用があるとわかれば大丈夫です!
プレバイオティクスと腸内環境・腸内フローラとの関係性
・腸内フローラとは、菌の集まりの名前です。
・腸内環境を整えるとは、腸内フローラを整えることとほぼ同じ意味です。
腸内フローラは腸管内にあり、菌の作用によって主に大便が作られます。
腸内環境は、腸内フローラを構成する善玉菌・日和見菌・悪玉菌の3種類の菌から成り立っており、「善玉菌>悪玉菌」に保たれていると腸内フローラが良い状態とされています。
反対に、「善玉菌<悪玉菌」の腸内環境になると、免疫力が下がるため病気になりやすい状態になるでしょう。
一般的に良いとされる腸内フローラの状態
占める割合(※一般的な構成) | 役割 | 代表的な菌 | |
善玉菌 | 20% | 腸管を酸性にし、悪玉菌の増殖を抑える。 | ビフィズス菌・乳酸菌など |
悪玉菌 | 10% | 消化吸収を助ける代わりに、腐敗を進める。 | バクテロイデス・大腸菌・クロストリジウムなど |
日和見菌 | 70% | 善玉菌>悪玉菌の環境なら、良い腸内環境を保つ。 | ウェルシュ菌・バクテロイデス・フラジリス菌・クロストリジウムなど |
「善玉菌>悪玉菌」となり、腸内フローラが良い状態に保たれていると正常な腸の働きが期待でき、便秘や下痢症状予防改善の効果があると期待されています。
つまり、腸活とは腸内フローラを「善玉菌>悪玉菌」にすることであり、善玉菌を増やす必要があるため、善玉菌を育てるエサとなる「プレバイオティクス」を摂取することが重要視されているのです。
腸活で期待できる主な作用については、腸活実践者の声をまとめた『70%以上が実感!便秘に腸活は効果的だった。成功の秘訣はヨーグルトの選び方・食べ方』で紹介しているため、ぜひご覧ください。
プレバイオティクスとプロバイオティクスの違い・関係性
プレバイオティクスとプロバイオティクスの違いを理解しておきましょう。
・プロバイオティクスとは、生きたまま体内に送り届けることで善玉菌優位の腸内環境を作ってくれる微生物のことです。
・プレバイオティクスとは、腸内環境を作る善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌など)のエサとなる食品のことです。
プロバイオティクスとプレバイオティクスは、関連はあっても働きはまったく違います。
プレバイオティクスは、プロバイオティクスを増やし・活性化させる作用が期待できるため、腸内環境をより善玉菌優位な環境に持っていきやすくなります。
つまり、プロバイオティクスはプレバイオティクスの助けがあってこそ、腸活の効果がより実感できるようになるのです。
この関係・作用は「シンバイオティクス」という名称がついているほど広く効果が認知されています。
プロバイオティクスの詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
プロバイオティクスの正体がまるわかり!腸活の効果との関連性
シンバイオティクスの有効性は研究中!救命救急・小児科外科でも
シンバイオティクスは、腸内環境を善玉菌優位の非常にいい状態にする効果が期待できるため、研究が幅広くすすめられています。
特に、シンバイオティクスがフォーカスされやすい分野は「感染症」です。
成人の健康的な方でも、術後などの免疫が落ちている状態では感染症のリスクが非常に高くなるため、感染性合併症のリスクに対し対策が必要となり、救命救急の分野でも研究が広がっています。
また、意外性がある分野では、小児科外科でも研究が進んでいます。
新生児の腸内環境には、母乳に多く含まれているプレバイオティクスを代謝する能力が高い種類のプロバイオティクスが多く含まれているという研究結果が出ています。
新生児は免疫をほぼほぼ持たずに生まれてくるため、多くの人が獲得している免疫を持っていません。
特に出産直後の母乳には免疫が多く含まれていますが、母乳で育てることが難しい新生児もいるため、シンバイオティクスの研究がすすむことで新生児の感染症リスクを下げる効果も期待できるかもしれませんね。
プレバイオティクスのメカニズム
プレバイオティクスは、プロバイオティクスのエサです。
プロバイオティクスがプレバイオティクスをどのように摂取・活性化させられるのかメカニズムをご紹介します。
プロバイオティクスの代表格、ビフィズス菌を1例として考えていきましょう。
ビフィズス菌の特性として、ビフィズス菌は発酵することで「酢酸」と「乳酸」を産生します。
善玉菌であるビフィズス菌から産出された「酢酸」と「乳酸」が、悪玉菌の増殖を抑制し、結果的に、善玉菌優位の腸内環境にする効果が期待できます。
ビフィズス菌は実は腸内環境にいるだけで腸内環境を良くするのではなく、産出された「酢酸」と「乳酸」が腸内環境を良くするのです。
ビフィズス菌を発酵させるには、取り込みやすいプレバイオティクスであるオリゴ糖と相性が良く、ビフィズス菌の中でオリゴ糖が分解され、糖の代謝により酢酸が産出されます。
この研究は、慶應義塾大学先端生命科学研究所特任教授を務めた福田真嗣氏も行っており、o-157を感染モデルとした際の通常の感染予防作用と、ビフィズス菌の感染予防作用の差について報告しています。
研究では、ビフィズス菌による酢酸酸性の栄養源である果糖(オリゴ糖)の取り込み作用が感染防御作用の強さに関連があることを明らかにしました。
プレバイオティクスが含まれる食品
プレバイオティクスが含まれる食品一例
たまねぎ | にんにく | バナナ | サトウダイコン |
---|---|---|---|
ヨーグルト | たけのこ | とうもろこし | 大豆製品 |
豆類 | はちみつ | みそ | しょうゆ |
ごぼう | 海藻類 | 乳酸菌飲料 | さつまいも |
※プロバイオティクスが多く含まれた食品は赤字表記をしています。
プレバイオティクスが含まれた食品の中には、プロバイオティクスがすでに含まれている食品も多くあります。
そのため、プロバイオティクスとプレバイオティクスが両方含まれた食品か、プロバイオティクス+プレバイオティクスの組み合わせで食べると非常に効果的です。
プレバイオティクスは、食物繊維が豊富だったり、オリゴ糖を多く含んでいたりする食品に当てはまります。
スーパーで食材を購入する際、成分表を見ながら献立を決めてもいいかもしれませんね。
自分に合った食べ物かは1週間で判断しよう!効果がなければ次の食材に
ここまでの説明を聞いて、シンバイオティクスの作用を使用して腸活をしようと考えている方もいらっしゃると思います。
まず、どの食材から試してみようとお考えですか?
結論としては、どの食材からでも試しても問題ないです。
ただし、どの食材においても1週間毎日同じ食材を摂ってみてください。
腸活をされる方のほとんどが、腸活により「便通が良くなった」と答えるほど腸活がうまくいっていると実感できるポイントになっています。
1週間も同じ食材を摂り続けても便通が良くなる実感がなければ、次の食材で腸活を試してみましょう。
どの食材もプロバイオティクス・プレバイオティクスを利用したシンバイオティクスの作用が期待できます。しかし、自分の腸内環境に合うかは試してみないことにはわかりません。
使いやすい食材を継続して使うのではなく、自分の腸内フローラを1番良くしてくれる食材を使用して腸活を行っていきましょう!
無理をして腸活をするのではなく、サプリメントや特保食品からもシンバイオティクス作用が期待できる商品があるため、無理せずに自分に合った腸活を模索していけるといいですね。
わたくし渋谷は、飲みやすい「複合乳酸菌生産エキス エンテロ」をおすすめしています。
ぜひ、腸活のお供にしてみてください。
まとめ
腸活に必要なプレバイオティクスについて、働きやメカニズム・入っている食品などをご紹介しました。
わかりにくいプロバイオティクス・プレバイオティクスの違いにも着目しているため、ぜひメカニズムから理解した腸活に役立ててください!
監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール
1961年(昭和36年) | 旭川生まれ |
1980年(昭和55年) | 道立旭川東高等学校 卒業 |
1988年(昭和63年) | 札幌医科大学 卒業手術件数・診療実績 |
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
私は泌尿器科院長をしており、腸活によって得られる便秘解消作用と健康には深いつながりがあると考えています。
腸活と健康との関わりについての考えを『泌尿器科院長がなぜ「腸活」にこだわるのか?便と尿は健康に密接に関係している』でまとめているため、知りたい方はぜひご覧ください。
出版年数 | 著書・メディア掲載 |
2014年 5月15日 | 「気持ちいいオシッコ」のすすめ |
2016年 5月10日 | 2016最新版 現代の赤ひげ 医療最前線の名医9人 |
2016年 10月27日号 | 週刊新潮 |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など