前立腺炎は、前立腺に痛みと腫れが生じる病気です。
前立腺炎の原因は明らかではありません。細菌性の感染が尿路や血流から前立腺に広がることで、前立腺が炎症を起こす場合があります。細菌の感染による前立腺炎はゆっくりと発症して再発を起こすこともあれば(慢性細菌性前立腺炎)、急速に進行することもあります(急性細菌性前立腺炎)。まれに、カビ、ウイルス、原虫による感染が前立腺炎を引き起こすこともあります。
前立腺炎症状
前立腺炎の症状の多くは、膀胱や骨盤の筋肉、特に会陰部(えいんぶ:陰嚢[いんのう]と肛門の間)の筋肉のけいれんで起こります。前立腺炎にかかると会陰部や腰が痛みますが、陰茎(ペニス)や精巣が痛むこともよくあります。また、排尿の回数が増えて急に排尿したくなったり、排尿するときに痛みやヒリヒリ感があったりします。痛みによって勃起や射精が困難になり、さらに痛みが増します。便秘になると排便時に痛みを伴います。急性細菌性前立腺炎の場合は、発熱、排尿困難、血尿などの症状が頻繁に現れます。細菌性前立腺炎が原因で、前立腺に膿(うみ)がたまって膿瘍(のうよう)を生じたり、精巣上体に炎症が生じる場合もあります(精巣上体炎)。前立腺炎が慢性化すると、生殖能力が損なわれるおそれがあります。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など