今回から全5回に分けて、脂質異常症(高脂血症)とは、肥満との関係、運動や食事についてご紹介したいと思います。
①トリグリセライド(中性脂肪)とは?
②脂質異常症(高脂血症)とはどんな病気?
③脂質異常症(高脂血症)と肥満との関係について
④トリグリセライド(中性脂肪)を意識した食生活をしましょう!
⑤脂質異常症(高脂血症)に負けない運動療法を始めてみましょう!
①トリグリセライド(中性脂肪)とは?
エネルギーの貯蔵庫
トリグリセライド(中性脂肪)は1gあたり9kcalというエネルギーを持っているので、エネルギーをコンパクトに貯蔵しておくことが可能です。
ちなみに、タンパク質や糖質ではトリグリセライドと同じエネルギーを蓄えておくには倍以上の容積が必要です。
主要な器官を動かす
トリグリセライド(中性脂肪)は日頃の身体活動のエネルギー源になるばかりでなく、外部からエネルギーの補給がないとき(絶食状態や低栄養状態で活動するとき)、脂肪細胞に蓄積された脂肪が活用されエネルギーになります。
もし脂肪がないと、生命維持のためとはいえ運動機能に重要な筋肉からタンパク質を消費することになってしまうのです。
外部からの刺激に対する防御
トリグリセライド(中性脂肪)は主に内臓(腹腔内)と皮下組織に分布していて、骨格で守られていない胃や腸を外部からの衝撃から守っています。けれども過剰防衛には注意が必要ですよ。
脂肪には種類があることを知っていますか?
ひとくちに脂肪といっても体内では4種類の形で存在し、それぞれが異なった役割を担っています。
1、トリグリセライド(中性脂肪)
エネルギー源として蓄積されます。グリセロールに3つの脂肪酸が結びついた形をとっています。
2、コレステロール
細胞膜の構成成分、胆汁酸や副腎皮質ホルモン、性ホルモンの材料になります。
3、リン脂質
細胞膜の構成成分、リンと脂肪酸の化合物です。脂質だけでは水になじみませんが、この形を取ると水になじむ性質になります。
4、遊離脂肪酸
エネルギー源として利用されます。トリグリセライド(中性脂肪)が酵素によってグリセロールと脂肪酸(遊離脂肪酸)に分解され、血液にのって全身に運ばれエネルギーとなります。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など