痛風とは、高尿酸血症を放っておくと起こる病気のことです。
健康診断や人間ドックで「尿酸値が高い」と指摘されたことはありませんか?
しかし、そもそも何故尿酸と尿酸値が高いとなぜいけないのか?や、痛風がどのような病気なのか?など詳しいことまで知らない方が多いです。
今回は、痛風にならないようにするために、痛風の症状・原因・生活習慣の改善から行う治療について、ご紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
【症状】痛風は腫れや激痛が起こる
痛風とは、痛風関節炎ともいわれており、痛風発作のため突然、腫れや激痛が起こる病気のことです。
症状の腫れや激痛が1番起こりやすい関節は、足の親指の付け根で、痛むのは一度に一か所だけです。
発作は1〜2週間程度で治りますが、根本にある高尿酸血症を放っておくと発作を繰り返します。
足の親指の付け根以外にも関節炎が起こりやすい場所があるので、下図も参考にしてみて下さいね。
【原因】痛風がなぜ起こるのか?なりやすい人の特徴
痛風が起こる原因は、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態が長く続くと、血液に溶けきらなかった尿酸の結晶が関節に沈着するためです。
結晶が間接に沈着するだけでは激痛や腫れはおきませんが、ストレスや激しい運動・尿酸値の急激な変動などのきっかけで、沈着していた尿酸の結晶が関節の中ではがれ落ちると、白血球がはがれ落ちた尿酸の結晶を排除しようと格闘し、結果的に腫れや激痛につながってしまいます。
痛風になりやすい人の特徴は以下の5つです。
- 激しいスポーツを好む
- 仕事命の熱血漢
- アルコール、特にビールが大好き
- 早食い・大食い
- 太っている
思い当たる方は、まずは生活習慣の改善をしましょう。
【治療法】痛風の治療は生活習慣の改善から
痛風の治療は、尿酸値を下げる生活習慣から改善することです。
- 食事の量を抑えて、体重を落としましょう
- アルコールを減らしましょう
- 水分を十分にとりましょう
- 適度な有酸素運動をしましょう
- ストレスを上手に発散しましょう
「尿酸値が高い」と言われると、とかくプリン体の制限にばかり目が向きがちですが、大切なのは尿酸値を上げやすい生活習慣全体を見直すことです。
尿酸値を下げる5つの生活習慣のコツをそれぞれご紹介します。
1.食事の量を抑えて、体重を落としましょう
体重を落として肥満を解消すると、尿酸値が下がる方が多いです。
尿酸値が高いからといって、食べてはいけないものはありません。いろいろなものを少しずつ食べて、食事全体の量(カロリー)を抑えましょう。
食事で気を付けるポイントは、次の3つです。
①適正カロリーを守ろう。標準体重×25〜30kcaが目安
1日に接種する適正カロリーの目安は「標準体重×25〜30kcal」です。
最近では、お店のメニュー表や食品パッケージにカロリーが表示されている場合もあるため、外食する際は参考にしてみてください。
②プリン体のとりすぎに注意。ポイントは量と頻度
プリン体を多量にとると尿酸値が上がります。
ですが、全く食べないというわけではなく、ポイントは食べる量と頻度です。
プリン体は、400mg/日を超えないように、魚卵や内臓などのプリン体の多い食品は「たまに」「少し」楽しんでください。
プリン体そのものが悪いわけではありません。プリン体は、遺伝子を作るなどの大切な役割があるため、体内に必要な栄養素の一つです。
問題は、プリン体を多く摂ってしまうことにあるのです。通常利用されなかったプリン体は尿酸に分解され排出されますが、人間が1日に産出する約700mgを超えると血中に溶け込んで関節に溜まり、痛風につながってしまいます。
プリン体を尿酸として多く排出するためは、プリン体の摂取量にも気を使いながら、乳酸菌生産物質を摂取し、腸内環境を整えるために暴飲暴食を抑え、体質改善を行いましょう。
③アルカリ性食品を積極的にとろう。野菜、海藻、牛乳などの野菜中心の食生活に。
尿酸値が高いと酸性になり、尿酸が溶けにくくなって尿路結石ができやすくなります。
野菜、海藻、牛乳などのアルカリ性食品を積極的にとるとともに、水分を十分にとりましょう。
2.アルコールを減らしましょう。
ビールにプリン体が多いというのは有名な話ですが、ビールに限らずアルコールそのものが尿酸値を上げる原因になります。
プリン体の量はお酒の種類によって違いますが、たくさん飲んだら一緒です。
尿酸値の高いひとはなるべくお酒を控えましょう。
3.水分を十分にとりましょう。
尿酸はその名前の通り、尿から排泄されるため、尿の量が増えれば、それだけ体内の尿酸が体の外へ排出しやすくなります。
心不全や腎不全で水分制限の指示を受けているような場合を除いて、ノンカロリーのもの(水やお茶がよろしいでしょう)をこまめに摂取しましょう。
尿酸自体は体に必要な成分で、食事の制限だけだとストレスが溜まりますね?
ご馳走を食べた後は十分な水分で尿酸を尿から排出するというイメージを持ち、1日2Lを目安に積極的に水分を摂りましょう。
しかし、実際やってみようとすると、1日に2Lを飲むのは難しいですよね。
1日2L水を飲むには、1時間に200ccずつ、10時間かけて飲むイメージをしてください。
例えば、デスクワークの仕事をしている人であれば、一つの作業が終わるたびに一口飲むというように習慣づける。外回りの仕事をしている人は、500ccのペットボトルを1日かけて4本飲み終わる感覚です。
2〜3時間で500ccのペットボトルを1本飲み終わるペースがちょうどいいでしょう。
10時間かけて2リットルの水分を摂取することは、決して簡単なことではありません。だいたいでいいので無理せずすすめてくださいね。
4.適度な有酸素運動をしましょう。
肥満の解消、尿酸値の高い人に合併しやすい生活習慣病の予防のためにも、運動することがすすめられます。
ただし、激しい運動は、かえってエネルギーの燃えかすである尿酸が増え、尿酸値を上げる原因になるので要注意です。
ウォーキングのような軽い有酸素運動を継続して行うのが効果的。毎日の生活習慣に取り入れる工夫をしましょう。
5.ストレスを上手に発散しましょう。
痛風になる人には、せっかちで行動的な人が多いといわれています。
食事をすれば早食いに大食いで、仕事はバリバリこなし、プライベートもじっとしていない…思い当たる方はいませんか?
こうしたタイプの方はストレスにさらされやすく、ストレスは尿酸値を上げるといわれています。
尿酸値を下げるためにも、ストレスを解消することが大切ですが、そのストレス発散法が飲酒や過食では、逆に尿酸値を上げる結果となってしまいます。
十分な睡眠、適度な運動など、体に優しい自分なりのストレス解消法を見つけてください。
まとめ
今回は、高尿酸血症を放置しておくことでの痛風へのリスクや治療法について紹介しました。
普段の生活習慣を見直すことで、あの痛い痛風の症状は予防できます。
この記事を参考に尿酸値を下げる行動をできることから取り入れてみて下さい。
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など