頻尿に伴う尿漏れに悩む方はよくいらっしゃいます。
一般的な尿漏れは、くしゃみをした衝撃で尿漏れをし、尿道括約筋の機能が十分働いていないことが原因で起こります。
このような尿漏れの場合は、体操を毎日続けることによって、ある程度は改善させることができます。
しかし、臨床では、尿を溜めきれず尿もれを起こしてしまうケースもよく目にします。
今回は、尿漏れと頻尿の症状が一緒になった場合の原因と解決策を泌尿器科院長 渋谷がお伝えしていきます。
頻尿が伴う尿漏れの原因
頻尿で尿漏れが起こる原因の一つに、「我慢できないほどの尿意から尿漏れが起こる」切迫性尿失禁があります。
他にも、例えば脳卒中の後遺症や脊柱管狭窄症など、脳神経のトラブルや整形外科的疾患が原因になる場合もあります。疾病が原因で膀胱収縮弛緩のコントロールがうまくできなくなり、頻尿・尿漏れにつながってしまうことがあります。
頻尿が伴う尿漏れの改善方法
頻尿に伴う尿漏れにも改善する方法があります。
もちろん病院にかかれば、膀胱の収縮を抑える抗コリン剤やβ作動薬などの処方が受けられ、病院にいかなくても「快感おしっこ訓練」だけでもかなり改善できるでしょう。
快感おしっことは、排尿後、心からスッキリする爽快感が得られるおしっこです。
膀胱に適度に尿が溜まった状態で、いきまずにリラックスして排尿するのが「オシッコを出すメカニズム」に一番自然なやり方といえます。
快感おしっこをマスターし、尿漏れ・頻尿とおさらばしましょう!
自宅でできる快感オシッコ訓練で頻尿・尿漏れを防ごう!
簡単にできる快感オシッコ訓練は、日々の積み重ねが重要です。
どんな訓練を行えば頻尿・尿漏れを改善できるのかを知り、継続できる訓練方法を身につけましょう。
快感オシッコ訓練①:十分に水分を摂る(1日2ℓが目処です)
1日2リットル水分を摂ると、おしっこをつくる腎臓の機能を助け、尿道→膀胱→尿道の経路の衛生と健康を保ち、膀胱を鍛えることができます。
お好きな飲み物を1時間かけてコップ1杯(200ml)のペースでゆっくりです。夜間の飲水は夜のオシッコを多くしてしまいますので、飲水は昼間にが基本です。
快感オシッコ訓練②:しっかり溜めてからゆっくり出す
「1回トイレに行きたい!」と思ってから10分程度我慢してみましょう。頻尿になると膀胱がおしっこを溜める力が低下してしまいます。
また、溜めたおしっこは、いきまずに出しましょう。お腹に力を入れてした「いきんだおしっこ」は負荷がかかって骨盤底筋群が肩こりのように疲労します。さらに、血行障害を起こし膀胱の進展性低下や尿道括約筋の筋力低下の原因となり、尿漏れや頻尿を引き起こします。
念のためのトイレ習慣はやめて、「トイレに行きたい!」と思ってもしっかりとおしっこを溜めて、いきまずリラックスしてしてみましょう。
たっぷりおしっこをためて、350mlのビール缶一杯程度の尿が出るようになるといいでしょう。
実際どれだけの量・回数トイレに行っているのかわからないという方は、自身で排尿日記でセルフチェックを行ってください。
排尿日記を付けるために必要なものは、排尿日記のテンプレート・計量カップ(缶やペットボトルでも可)・筆記用具だけです。
排尿日記のテンプレートはPDFデータで用意しているため、印刷して使えます。
快感オシッコ訓練③:女性のための骨盤底筋体操
女性は、骨盤底筋群の低下・疲労により頻尿・尿漏れにつながっている可能性があります。全身をリラックスさせて、尿道・肛門・膣だけを締める骨盤底筋体操を行い、筋力強化、血行改善を目標とします。
【基本編】骨盤底筋体操のやり方 | |
① | 仰向けになり、両足を肩幅程度に開いて軽く膝を立てる。両手は自然におへその上あたりに置く。 |
② | ①のまま全身をリラックスさせ、尿道・肛門・膣をギュッ、ギュッと連続して締めたり緩めたりを繰り返す。1秒ずつの間隔で15回行う。 |
③ | しばらく休憩したら2と同じようにギュッと締めたまま3秒間止め、サッと力を抜く。を、5回繰り返す。 |
④ | ①〜③を何度か繰り返しましょう。最初は2〜3回からはじめ、徐々に増やしていきましょう。 |
「あんまり効果がなくなってやめちゃった」という方は、入浴時などに肛門に手を添えてチェックしてみてください。もし、肛門が動いていなければ、正しい骨盤底筋体操ができていない可能性が高いです。
1度挫折した方は、骨盤底筋体操の注意点を確認してみましょう。
- 深呼吸をしながら全身リラックスして行いましょう。お腹、足、腰などに力を入れていませんか?
- 呼吸は止めずに、息を吐きながら行いましょう。
- 力を入れる際は膣をお腹に引き上げるイメージで行いましょう。
- 力を入れている部分に意識を集中しましょう。
慣れてきたら、通勤電車の中・デスクワークの最中・料理中にも全身をリラックスして行えます。
骨盤底筋体操のやり方については、頻尿・尿漏れ以外にも尿のトラブルがある方はこちらの書籍も参考にしてみて下さい。
Amazon:「気持ちいいオシッコ」のすすめ
まとめ
尿漏れと頻尿が一緒に起こってしまう方に、原因と解決策をご紹介しました。
頻尿・尿漏れを改善するためには水分をしっかりとり、膀胱におしっこをたっぷりと溜めてから、いきまずにおしっこをすることが大切です。
女性は特に骨盤底筋が低下したり血流が悪くなったりしがちです。骨盤底筋体操を行い、頻尿・尿漏れを改善しましょう。
神楽岡泌尿器科では、尿に関して悩み事がある方向けに無料メール相談も行っています。泌尿器科院長が直接返信をくれるのでお困りの方はご相談ください。
監修:医療法人 神楽岡泌尿器科院長 渋谷のプロフィール
1961年(昭和36年) | 旭川生まれ |
1980年(昭和55年) | 道立旭川東高等学校 卒業 |
1988年(昭和63年) | 札幌医科大学 卒業 |
神楽岡泌尿器科では、「排尿に関してのかかりつけ医になりたい」という思いで日々診療に努めており、早期発見・早期治療ができるよう、患者本位で気軽に緊張せず受診していただける病院づくりに励んでいます。
当院を映像でもご覧いただけるため、雰囲気を知りたいという方はぜひご覧ください。
出版年数 | 著書・メディア掲載 |
2014年 5月15日 | |
2016年 5月10日 | |
2016年 10/27号 |
【監修者】神楽岡泌尿器科 院長「渋谷 秋彦」
札幌医科大学卒業後、大手病院勤務を経て2003年に「神楽岡泌尿器科」を開業。前立腺肥大の手術「HoLEP」を1,000例以上行った実績があり、日帰り手術を実現している国内有数の医師。出版「気持ちいいオシッコのすすめ」など